【新連載「アクティブ ドイツ!」】 アウトドアアクティビティが凝縮されたメッセ会場に潜入
――2016年8月から連載「アクティブ ドイツ!」を執筆するシュルテ柄沢 亜希です。アクティブ ドイツ!では、ドイツ中部のドルトムントを拠点としたトピックスや、スポーツやアクティビティが盛んでアウトドアが大好きなドイツ人とその文化を紹介していきます。
ドイツ南部のボーデンゼー(英語では“レイク コンスタンツ”)湖畔の町、フリードリヒスハーフェンで7月13日から16日、アウトドアブランドなど出展社960が集うメッセ「OutDoor 2016」(アウトドア ショー)が行われました。2万2千人ほどの来場者の内、6割ほどはドイツ国内をはじめ世界中から訪れた小売業者。各ブースでは新製品・素材のアピールが活発に行われていました。熱気に包まれた会場で、わたしも注目の新製品をピックアップしてみました。(2016年8月31日)
|ドイツを代表する企業アディダスも満足
ドイツのスポーツブランドとしてみなさんに最も馴染み深いのは、「adidas」(アディダス)でしょうか。スニーカーからジャージ、バックパックまで、あの3本ラインのデザインは広く世界に知れ渡っています。サッカードイツ代表の公式ユニフォームもアディダスですね。
今回アディダスは、アウトドア向けブランド「terrex」(テレックス)を発表。テレックスは、もともと“アディダスアウトドア”として展開していた製品群を、山系スポーツ製品の専門として昇華させたブランドです。同社グループシニアディレクターのマーク・フィッシャー氏によれば、メッセは大成功のうちに終えたとか。体を張って(アルファベットを背負って?!)会場を練り歩きブランドをPRしたテレックススタッフたちも報われたようで、よかったよかった。
|中小企業のブースにも魅力満載
ドイツの小さな企業にも、いくつか出会いました。カラフルでおいしそうな製品を展示していたのは、「Ni-Glo」(ナイグロー)。キーホルダー状の小さな筒には、太陽光のほかLEDやクルマのヘッドランプといった人工光のもとで10分蓄光すると10時間発光を続けるという成分が入っています。身体に無害、バッテリー不要で光るため、子どもの通学バッグや犬の散歩時の首輪に取り付けたり、キャンプ時のテントのジッパーの目印にしたりといった使い方ができますね。
ドイツ・ゾーリンゲン発のライトブランド「LED LENSER」(レッドレンザー)は、最大3200ルーメンの光を放つフラッシュライト(懐中電灯)やヘッドランプなどが展示されていました。レッドレンザーのライトの中には、ドイツ警察が採用するモデルもあります。明るい会場の中で明るさを体感するのは難しいですが、ソーラーを背負った昆虫ロボットをライトの明かりで動かすなど趣向を凝らした展示で観客を呼び込んでいました。
またメッセ会期中がブランドのローンチほやほやだったのが、「natchi!」(ナッチ)。アディダス向け製品などのOEMで培ったノウハウが投入された、スポーツシューズやウェア専用のケアグッズを展開していくとのことでした。右寄りのグループをイメージさせる怪しげな名前に、「反対意見もあったのですが社長のイチオシで…」というのがスタッフの弁。ナッチは“ナチュラル”のショートバージョンで、自然に優しい成分を用いた製品ラインナップということをアピールしているのだそうです。化粧品を思わせる爽やかなカラーリングのパッケージが印象的でした。
|日本企業の真空ボトルが受賞
出展企業は欧州ブランドだけではありません。日本のアウトドアブランド「Mont-bell」(モンベル)も、毎年OutDoorへ出店している世界のアウトドアブランドのひとつです。アメリカのほか、スイス・マッターホルンのお膝元のツェルマットとグリンデルヴァルトに直営店を持ち、欧州でもその名が知られ始めています。ドイツでは、8〜9月をめどにオンラインショップを開設する準備を進めているそうです(2016年8月26日現在で未開設)。
ことしのメッセでは、モンベルの「アルパインサーモボトル 0.5L」が機能性や革新性、エコロジーといった観点から与えられる「INDUSTRY AWARD 2016」に選ばれました。真空でありながらスリムに作り上げた技術、シンプルながら美しさを備えるデザインが評価された結果とのこと。
真空ボトルって、「あれ、お茶があんまり入らない?」というように内容量の割にごっついイメージがありますよね。モンベルでは、素材のスリム化と共に、真空槽のスリム化にチャレンジ。その幅なんと1.2mmだそうです。受賞した0.5Lのボトルも、日本人女性の小さな手ですんなり持てるサイズ感でした。
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会場の一角では、求人・求職情報を貼りだしたジョブマーケットコーナーも賑わいを見せていました。またアウトドアの最新ウェアに身を包んだモデルたちが登場するファッションショーも実施。体験型コーナーは経験者が華麗な技を見せる横で、子どもがチャレンジする機会が設けられるなど、フェアに留まらずアウトドアの魅力を発信するイベントとしても存在感を発揮していました。すでにOutDoor 2017のスケジュールも確定していますよ。