ドイツ人はハーブティーで病気を治す?メディカルハーブとは

最近日本でも注目されているメディカルハーブという言葉をご存じですか?古くから薬草を使った自然療法が身近にあるドイツでは、現代の暮らしの中にも様々なハーブが根付いています。料理やハーブティー、アロマ、コスメに入浴剤、そして医療にも使われる植物の力。毎日を心地よく過ごすヒントになりそうなメディカルハーブの世界をのぞいてみましょう。
■ドイツも日本もハーブ大国?

メディカルハーブとか自然療法とか聞くと、なんだか専門的で難しそうな気がするかもしれません。
でもじつはドイツに限らず日本でも古くから薬草は身近な存在で、今も多くの人が暮らしのなかに(自覚はなくても)自然療法を取り入れているんですよね。
例えばお風呂。
毎日のように湯船につかったり、こんなに多種多様な入浴剤がある国は他にないのではないでしょうか。

よもぎ風呂も古くから親しまれていますし、最近はよもぎ蒸しができるところも増えてきて愛好者としては嬉しい限り。
私は薔薇の香りが好きでオーガニックのローズウォーターやコスメを愛用しているのですが、これも薬草療法のひとつといえるかもしれません。
■ドイツのメディカルハーブの歴史

ハーブ研究において先進国のドイツには、メディカルハーブの長い歴史があります。
ドイツの薬草を語るに欠かせないのが、なんといっても「薬草療法の母」ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの存在。
中世ドイツの修道女だったヒルデガルトは、薬草学や医学に強く、自然療法を取り入れた治療家としてのみならず、詩人や作曲家、哲学者としても活躍しました。
ライン川沿いのワイン産地として知られるビンゲンには、ヒルデガルトゆかりの修道院や施設があり、今も世界中から多くの巡礼者や観光客が訪れています。

ヒルデガルトが薬草療法の母ならば、クナイプは「自然療法の父」。

日本でも人気のハーバルブランド「クナイプ」は、じつは人の名前なんです。
セバスチャン・クナイプ神父が広めた自然療法は、のちにクナイプ療法としてユネスコ無形遺産にも登録されています。

クナイプ療法発祥の地として知られる南ドイツの温泉保養地バート・ヴェーリスホーフェンは、豊かな自然の中でクナイプ療法の5大要素(水療法、運動療法、栄養療法、調和療法、薬草療法)を五感を使って体験できる癒しのパワースポット。
ドイツではクアオルトと呼ばれる医療保険が適用される温泉保養地があり、長期滞在する療養者も多く見られます。
■ドイツの医者もすすめるメディカルハーブティー

ドイツで一番身近にあるメディカルハーブといえばハーブティー。
日本では、食事やティータイムにもお茶やハーブティーが気軽に飲まれていますよね。
一方、ドイツでのお茶の位置付けはどちらかというと「薬」よりで、味が好きというよりも健康のために飲む人が多いようです。
健康志向の高まりとともにここ数年で日本の緑茶、グリーンティーの人気も急上昇。
最近は普通のスーパーでも手に入るようになり、「マッチャ Matcha」として親しまれているんですよ。
抹茶ラテや抹茶スイーツを提供するカフェも増えて、今後も抹茶ブームはますます盛り上がりそうです。

スーパーやドラッグストアにはものすごい種類のハーブティーがずらりと並び、日本では見ないフレーバーも多く興味深いです。
ミントティーやカモミールティーなどおなじみのものや、フルーツやスパイスを組み合わせた嗜好品としてのハーブティーの種類も豊富ですが、様々な効能をうたった薬用茶(Arzneitee)、メディカルハーブティーの充実ぶりはドイツならでは。
例えば「Erkältung Tee(風邪の時に飲むお茶)」「Immun Tee(免疫力のためのお茶)」「Schlaf- und Nerven Tee(神経をしずめて眠りに誘うお茶)」といった具合に期待される効能がそのまま商品名になっているんです。
その他にも「咳」「喉の痛み」「熱」「消化不良」「膀胱炎」「婦人科系の不調」「筋肉のため」「骨のため」「ストレスに」……などなどありとあらゆる効能がわかりやすく謳われており、症状によって選ぶことができます。

ドイツでは病院に行く前にまずお茶を飲んで治すことも一般的で、医者に「○○茶を飲むように」とすすめられることもよくあります。
日本でいう漢方薬に近いかもしれませんが、ティーバックなのでもっと気軽な感じですね。
ドラッグストアで手軽に買えるので、我が家にも常備薬(常備茶?)として数種類ストックしています。
ちなみにドイツのドラッグストアでは入浴剤の種類も豊富で、こちらも「風邪に」「関節と筋肉に」「ストレスフリー」などなど薬草系のラインナップが揃っています。
毎日の生活にメディカルハーブをうまく取り入れて、心地よく生きていきたいものですね。
※本記事は特定の企業や商品を宣伝するものではありません。
ハーブのなかには体調等により摂取が制限されるものもありますのでご注意ください。