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【ドイツ語の言い回し】Berge versetzen

私が好きなドイツ語の言い回し、それはBerge versetzenです。

 

なぜ好きなのかと言うと・・・「幸せな時に使う言い回し」だからです。

 

Berge versetzenは直訳すると「山を動かす」ですが、もちろん人間に山など動かせるはずがありません。でも、物事が上手くいって、達成感を感じている時、とても幸せな気持ちの時、「これだったら、今まで以上にもっと色んなことができる!」と前向きな気持ちになること、ありますよね。そんな時に”Ich fühle mich, als könnte ich Berge versetzen.”(和訳「なんだか自分が山を動かせる気がしてきた」)なんて言うわけです。

 

私もたま~に「Berge versetzenができそうな気分」になることがあります。例えば自分が書いた本の増刷が決まった時、「おー!?もしかしたら、これからヒットにヒットを重ねるベストセラー作家になっちゃたりして!?」なんて思ったりするわけです。

 

ずっと素敵だなと思っていた人に会えた時も高揚感があってパワーをもらったと感じます。

 

あとは体重計に乗って、体重が減ったと分かったその瞬間も叫びたいぐらい嬉しいですね。「こんなに痩せたんだから、もっともっと痩せるかもしれないし、何でもできちゃうかも!」なんてまさにBerge versetzen(山を動かす)ができるような気分になっちゃいます。実際に減っている体重はごくわずかだったりするのですが・・・・。

 

ドイツは(特に南ドイツは)山が多いから、このような山関連の言い回しがあるのかと思いきや・・・実は由来は新約聖書 です。

 

以下、抜粋です。

 

Die Redewendung “Berge versetzen zu können” hat ihren Ursprung im Neuen Testament (1. Kor. 13,2) der Bibel, denn dort steht: “Und wenn ich weissagen könnte und wüßte alle Geheimnisse und alle Erkenntnis und hätte allen Glauben, also daß ich Berge versetzte, und hätte der Liebe nicht, so wäre ich nichts.”

 

だから英語にも同様の言い回し(to move mountains)があります。

 

日本にも「山が動いた」という言い方 がありますね。ただ「わー!私、山を動かせちゃうかもしれない!」というような言い方はあまりしないように思います。

 

・・・・また”Ich fühle mich, als könnte ich Berge versetzen.”(「なんだか自分が山を動かせる気がしてきた」)と思えるような良いことないかしら?きっとあるはず!・・・なんてやけにポジティブ思考になっている秋の夜長でした。

 

サンドラ・ヘフェリン

著者紹介

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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