【今週のドイツ語】Kreide fressen
Kreide fressen
クライデ フレッセン
Kreide は「チョーク」、fressen は本来は、動物が「食べる」という意味の動詞ですが、主語が人間の場合は「ガツガツ食べる、むさぼり食う」という意味の話し言葉なので、直訳は「チョークを食べる」となります。
子供の頃に読んだり聞いたりした、グリム童話の「オオカミと七匹の子ヤギ」のお話を覚えていますか?
お母さんがお出かけをするので、留守番を頼まれた7匹の子ヤギたち。悪いオオカミが出るから、絶対にお母さんが帰ってくるまで家に誰も入れてはいけませんよ、と言われます。
そうしてお母さんがでかけてしばらくすると、オオカミがやってきてドアをノックします。「ただいま、お母さんですよ、ドアを開けて」とオオカミがお母さんのふりをしますが、子ヤギたちは、「お母さんはそんなガラガラ声じゃない!」と騙されません。そこで、オオカミはチョークを食べて声を高くし、お母さんのふりをして再び子ヤギたちのいる家へ向かうのです。
その後もお話はまだまだ続きますが、今日の表現「チョークを食べる」シーンが出てきましたね。実際、Kreide fressen はこのグリム童話のこの部分に由来すると言われています。
悪いオオカミが、チョークを食べることで声を高くしてお母さんのふりをしたように、「チョークを食べる」とは、「本性を隠す」、「猫をかぶる」という意味の慣用句になりました。腹の中でどんなことを思っていてもそれを表に出さず「我慢する、抑える」という意味で使うこともあります。
Sie können noch so viel Kreide fressen, wir werden Sie aber immer wieder enttarnen.
あなたがどれだけチョークを食べようと(猫をかぶろうと)、僕ちが何度でも本性を暴くよ。
【今週のドイツ語】
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