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歴史の一部としての文字とタイポグラフィー ベルリンのブッフシュターベン博物館

©vanishingberlin

歴史の一部としての文字とタイポグラフィー ベルリンのブッフシュターベン博物館

先日ベルリンに行った際、ずっと気になっていたブッフシュターベン博物館(Buchstabenmuseum)を訪れました。場所はSバーンのBellevue駅の高架下アーチの中。ロケーションもちょっぴり独特でわくわくします。

ブッフシュターベン博物館の入り口。「B」のネオンサインがお出迎え!



ここで収蔵しているのは、かつて街を彩ってきたネオンサインの看板やお店のロゴ、タイポグラフィーなどです。「Schuhe」(靴)、「Möbelhaus」(家具店)、「Zierfische」(観賞魚)、「Eis」(アイスクリーム)……などなど、家族経営の小さな商店で掲げられていた、工夫を凝らしたデザイン性あふれるネオンサインの数々。しかしグローバル化の影響もあって、今日ではその多くが姿を消しつつあります。

お店が閉店してしまえば、これらのネオンサインもまた、ただの廃棄物になってしまう。ブッフシュターベン博物館では2005年から、そんな看板文字やタイポグラフィーを救い出し、博物館として修復や保存、そして展示などの活動を行っています。ちなみにここにある看板文字のほとんどは、ベルリン市内で集めたものだそうです。

©vanishingberlin



©vanishingberlin



◾️特別展「FINAL SALE – vom Kaufhaus ins Museum」

私が訪れた際には、「FINAL SALE - vom Kaufhaus ins Museum」(ファイナルセール - 百貨店からミュージアムへ)というタイトルの特別展示が行われていました。Horten、Quelle、Hertie、Kaufhof、Karstadtなど、ドイツの歴史ある百貨店たちも時代の変化によって閉店を余儀なくされています。

© Buchstabenmuseum Berlin/Nik Stohn



この展覧会では、1980年〜今日に至るまでの百貨店の看板文字。展示室には、実物の大きな看板文字だけでなく、各百貨店の歴史や当時の写真などが合わせて展示されています。特に興味深かったのは、これらの看板文字を博物館が収集した状況についても詳細に説明されていたこと。

例えば、閉店後の百貨店の解体工事現場の前を偶然車で通りかかった際に、看板文字が外されて路上に置かれているのを見つけ、これらを博物館として引き取りたいとその場で交渉したという例もありました。

© Buchstabenmuseum Berlin/Nik Stohn



© Buchstabenmuseum Berlin/Nik Stohn



© Buchstabenmuseum Berlin/Nik Stohn



看板文字のデザインから、その街の歴史や建築のことが物語られるというのが新鮮でとても面白かったです。なおこちらの特別展示は、9月17日(日)まで開催。

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ブッフシュターベン博物館に収蔵された色とりどりのネオンサインを眺めていると、まるでタイムスリップをするかのように、かつてこの街を彩っていた文字とその風景を発見することができます。入り口にあるミュージアムショップでは、タイポグラフィーやデザインに関する書籍やグッズのほか、収集された看板文字も一部販売しているので、こちらもお見逃しなく。

文字やタイポグラフィーから街の歴史を深掘りできる、とても興味深い博物館でした。

©Franziska Schoenberner



Buchstabenmuseum

Stadtbahnbogen 424, 10557 Berlin

www.buchstabenmuseum.de

SEA SONS PRESS

ライプツィヒを拠点に活動するリトルプレス。ライプツィヒで中古のリソグラフを購入し、それを使ったアートブックや陶器の本、雑誌、紙のおもちゃなどを制作。ほかにもドイツをはじめ各地のアートブックフェアなどに出店している。現在は、ライプツィヒの変わりゆく街と、そこに生きる人々を記録するプロジェクト『Die Straße』を進行中。

Blog : https://www.sea-sons-press.com/

Instagram : https://www.instagram.com/sea_sons_press/

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