【今週のドイツ語】In den sauren Apfel beißen
梅雨に入り、ぐずぐずとした天気が続きますね。雨が降っていると、出かけるのもちょっと億劫になってしまいます。何か楽しい予定であれば、たとえ大雨でも喜んで出かけるのですが、それが特にやりたいわけでもなく、気も進まないのだけれど「やらなければならない用事」だと、雨の中出かけるのは本当に面倒ですよね。
今日紹介するのは、そんな状況を表した慣用句です。
in den sauren Apfel beißen
イン デーン ザウレン アプフェル バイセン
in den sauren Apfel は「酸っぱいりんご(の中)に」、beißenは「かじる」なので、直訳すると「酸っぱいりんごをかじる」となります。
誰だってりんごは甘くて美味しい方が良いはずなので、好き好んで酸っぱいりんごをかじる人はまずいないでしょう。それでも人間誰しも生きていれば、酸っぱいりんごをかじらなければならい時があるのです。つまり「仕方なく嫌なことをする」、「気乗りしないこと、不愉快なことを我慢してやる」ことを意味しています。
この表現は数百年前から使われており、最も古い記録では、宗教改革で知られるマルティン・ルターが手紙で使用しています。おそらく表現自体はもっと古くから使われていたものと考えられています。
例えばこのように使います。
„Ich werde wohl in den sauren Apfel beißen und heute ein paar Überstunden machen.“
(本当は嫌なんだけど、今日はすっぱいりんごをかじって、少し残業するか)
また "Not lehrt in saure Äpfel beißen" ということわざもあります。文字通り翻訳すると「必要は酸っぱいりんごをかじることを教える」で、これもまた必要であれば(そうするしかなければ)酸っぱいりんごでさえかじる、つまり「たとえ嫌なことでもそれが必要であれば、他に選択肢がなければ、受け入れる」という意味です。
【今週のドイツ語】
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