【今週のドイツ語】Hand aufs Herz
プライベートでもビジネスの場面でも気になる相手の本音。しかし「正直にものを言いなさい!」とストレートには中々お願いできない上、仮にお願いできても結局は建て前が返ってくる、という経験は誰でもあるのではないでしょうか。
こういった状況を打破したい時にドイツ人は
Hand aufs Herz
ハント アウフス ヘルツ
のフレーズを使い、相手に発破をかけることがあります。
Handは「手」、aufs Herzは「心臓(胸)の上に(あてる)」、つまり胸に手を当てるという意味なのですが、日本語での
「心を静める、よく思案する」の意味とは少々異なります。
ドイツでは古来より、心臓は身体の中心であり、感情や人格の座とされてきました。法廷での宣誓で右手を左胸にあてる習慣ができたのもそのためと言われています。良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べない旨を誓う証人は、このような仕草を取る事で誓いを強化します。
そのように18世紀に定着したといわれるこの表現は、今では相手の本心に迫りたいときに使われるようになりました。
例えば、
Jetzt mal Hand aufs Herz. Haben Sie schon einmal bei einer Prüfung geschummelt?
さあ、手を胸にあてて(正直に言いましょう)。あなたは試験でカンニングをしたことがありますか?
Hand aufs Herz! Haben Sie Ihre Wohnung mit Rauchmeldern gesichert?
さあ、手を胸にあてて(正直に言いましょう)。お宅に火災警報器を設置しましたか?
また、自分が心から意見や気持ちを伝えていることを強調したいときにも使います。
Hand aufs Herz und jetzt mal ganz ehrlich: Jeder von uns hat doch so seine kleinen Untiefen, nicht wahr?
手を胸に、そして正直に言おうよ:私たち誰一人にもちょっとクセのある趣味や習慣をもってるだろう?
実際に本音を話すかどうかは別として、ドイツ人に Hand aufs Herz と言われたら、相手は自分に正直に話してほしいのだな、ということだけは覚えておきましょう。
【今週のドイツ語】
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