【今週のドイツ語】fest im Sattel sitzen
先日、テレビで競馬の中継を見て、走る馬の美しさに目が釘付けになりました。そして、馬上の騎手たちのほれぼれするような安定感。レース中はずっと腰を上げ、鞍に座ることはありませんが、鞍という字は、革に安心の安と書くということを思い出しました。
ところで、ドイツ語にも「鞍」と「安心・安定」が関係する慣用句があるんですよ。
fest im Sattel sitzen
フェスト イム ザッテル ズィッツェン
festは「しっかりと」、Sattelは「鞍」で、im Sattel で「鞍の中に」。Sitzenは「座る」。そのまま訳すと「しっかりと鞍に座る」となりますが、この慣用句は「安定している」「安泰である」を意味しています。
この慣用句の語源は、中世の騎士たちの馬上槍試合にあるとされています。1対1の試合では、騎士たちは槍を構え、直線上をお互いをめがけて馬を走らせ、相手を槍で突こうとしますが、自分自身がしっかりと鞍に座っていないと、突き落とされて相手に負けてしまうのです。このことから、「しっかりと鞍に座る」=「安定している、安泰である」という意味に派生していったと考えられています。
ドイツでは馬術競技が盛んで、子どもの頃から乗馬に親しんできたという人も多いようです。鞍が身近なものとしてあると、こういう表現もきっとしっくりくるのでしょうね。
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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