【今週のドイツ語】auf Tuchfühlung gehen
日本ではもうすぐ新年度が始まりますね。進級、進学、就職を前にしている方々、おめでとうございます!新しい環境にワクワクすると同時に、不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
新しい環境に慣れるには、新しいクラスメートや同僚と早く仲良くなって、お互いの期待や不安を話し合うのが一番ですよね。今日は、そんな人とのふれあいを表すドイツ語表現をご紹介します。
auf Tuchfühlung gehen
アウフ トゥーフフュールング ゲーエン
TuchfühlungのTuchは「布」、Fühlungは動詞 fühlen「触れる」の名詞形で、Tuchfühlungは「布に触れること」を意味します。ここでいう布とは、着ている服の布地のことで、この句全体は直訳すると「服の布地が触れるほど近付く」という意味になります。でも、実際に服が触れるほど近づくというだけでなく、心理的にも相手との距離がぐっと近づくという意味で、誰かと親しくなることをこのように表現するのです。
例えば、
Am Ende geht die Sängerin mit ihren Fans auch auf Tuchfühlung.
「その女性歌手は、最後にはファンと実際にふれあいます」
この例文の場合は、歌手が舞台の上で歌うだけでなく、実際にファンの中に入って行って直接話したりするんだな、ということが伝わってきます。
この表現が初めて文献に現れたのは、20世紀初めの軍隊に関する本だったそうです。兵士たちが集合する際に、お互いに軍服の袖と袖が触れ合うぐらい密集するため「(軍服の)布が触れ合うほど」近付くという意味でこのような表現が使われるようになり、そこから人と人が良く知り合う、仲良くなるという意味が派生したと考えられています。
コロナによる制限がようやく緩和され、人と人とが直接近くで会えるようになって、新しい環境での仲間づくりにもきっと弾みがつくことでしょう。新生活を楽しんでくださいね!
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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