【今週のドイツ語】mehrere Eisen im Feuer haben
皆さんはアイロン掛け、お好きですか?嫌いな家事の上位に常に入っているそうですが、好きな人ももちろんいて、無心になれるとか、しわが伸びるのが気持ちいいという意見を聞いたこともあります。
最近のアイロンは進化していて、小型で軽くて、服をハンガーにかけたままさっとスチーム当てれば、すっとしわが取れるようなものもありますよね。でも、昔はアイロンと言えば結構手間のかかる仕事だったようです。昔というのは、電気アイロンが登場する前の、赤く焼けた炭や鉄の板を入れるタイプが使われていた頃のことで、使っているうちにだんだん温度が下がってきて不便だっただろうなと想像します。でも、段取りをしっかりしておけば、うまくこなすことができるということを昔の人は知っていたんです。
それを表す慣用句がこちら。
mehrere Eisen im Feuer haben
メーレレ アイゼン イム フォイヤー ハーベン
mehrere Eisen で「複数の鉄、いくつもの鉄」という意味になります。Feuer は火、im Feuerで「火の中に」。直訳すると、火の中にいくつもの鉄を持っているとなりますが、これで「いくつもの策がある」「チャンスはたくさんある」という意味になるのです。
昔のアイロンは、先にお話した通り、中に熱源となるものを入れて使っていましたが、その中に熱く焼けた鉄の板を入れるタイプのものがありました。その鉄をたくさんかまどの火の中に入れておけば、温度が下がって来てもすぐに次の鉄の板と取り換えられる、策はたくさんあるというわけです。
ドイツ語でアイロンはBügeleisenビューゲルアイゼンと言います。Bügelは弧の形をしたアイロンの取っ手を指しEisenは鉄。取っ手の付いた鉄、というような意味です。日本で使われているアイロンという言葉も、英語のIron(アイアン、鉄)から来ているので同じですね。
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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