ドイツ情報満載 - YOUNG GERMANY by ドイツ大使館

温泉の街、バート・オルプ

@tomogermany

温泉の街、バート・オルプ

暗く長い冬も終わりが近づいている今日この頃、みなさまどうお過ごしでしょうか。

寒い日は家でぬくぬくしたいのも山々ですが、雪の中でも楽しめるハイキングコースがフランクフルト郊外にはたくさんあります。

私の所持しているヘッセン州のハイキングコースを紹介したガイドブックには、コースの長さや難易度と共に、何キロ地点に何があるか細かく書かれているため、気分に合わせて簡単にハイキングに行けます。



今回はその一つ、バート・オルプ(Bad Orb)のハイキングと街の様子をお届けします。

雪の残るハイキング道!@tomogermany



バート・オルプは、ヘッセン州マイン・キンツィヒ県にあり約1万人が住む小さな街です。その名前のBad(ドイツ語で入浴、という意味)からもわかるように源泉があります。Kurort(温泉療養地)でもあるこの街には、ヘッセン州各地から人々が訪れる800㎡にも及ぶ浴場・サウナ施設があります。この6つの浴場のうち5つには、32 ℃の温塩水が供給されています。フランクフルトから車で1時間弱北東に行ったところの山間地に位置するバート・オルプには、シュールラントハイム・ヴェクシャイデ(Schullandheim Wegscheide)と呼ばれる、1920年に旧オルプ軍事演習場跡に子供の体験型学習を目的に設立された施設があります。フランクフルトの学校に通う子供たちがほぼ全員利用するそうです。ちなみに、フランクフルト出身の私の夫も小学校の際に何度も利用したことがあるそうです。みんなでハイキングをしたり、焚き火をしたり、夜には子供のディスコができてみんなで踊ったりしたそうです。日本で言うところの自然学校のようなものですね。

 

私たちは、まだ雪が残るある晴れた日に街から山に入りまた街に戻るという13kmに及ぶハイキングをしました。

森の中をハイキング。@tomogermany



上り下りが多少あり、所々滑りやすくなっていますが、ハイキングコースは整備されており、道にコースごとの目印が立っています。休日、多くのお店やスーパーが閉まるドイツでは、散歩やハイキングが好きな人々が多く、この日もたくさんのハイキング客を見ました。そして、13kmの道のりを歩いて、最後の山を抜けた際の白い屋根の街の景色はとてもきれいだったのを覚えています。

途中途中に表示が出ているので安心です。@tomogermany



最後の下り坂。街まであと少し。@tomogermany



ドイツで最も大きな森林地帯のひとつであるシュペッサルト自然公園(Naturpark Spessart)内の森林に囲まれた場所に位置するバート・オルプは、Eselweg(エッセルヴェーク・ロバの道)」と呼ばれるシュリュヒテルン(Schülichtern)からシュペッサルト(Spessart)を通り、グロースホイバッハ(Großheubach )まで続く道沿いに位置しています。その昔、オルプの塩がこの道を通ってマイン川へ運ばれ、出荷されていました。

 

この地域には紀元前650年頃にケルト人が居住していたことが分かっていますが、塩泉が既に知られていたかどうかは定かではないそうです。また、古代末期から中世初期にかけての時代についても、ほとんど知られておらず、1059年の文書に初めてこの地方の昔の名前が記されています。1244年ごろに街としての権利を与えられ、19世紀まで塩を採取することで街が発展していきました。しかし、19世紀の初めには、より工業的な採掘方法との競争に直面し、この街で行われていた採取方法の採算が合わなくなっていきました。そのため、天然物であるかん水を薬用に利用しようという考えが生まれていき、1837年、8つの浴槽を備えた最初の食塩水浴場が設立されました。そして1909年以来、州公認のクアオルトとなり、専門的な温泉事業が行われるようになっていきました。

 

フランケン地方の典型的な木骨造りの家屋が数多く残っており、一番古い木組み建築は下層部が石造りになっています。キルヒガッセ(Kirchgasse)と呼ばれる通りには、古い木組みの家々が並んでいます。中には、ヘッセン州で一番小さな木組みの家もあります。狭い辺の幅はわずか1.58mしかないと言うこの家には、抽象表現主義を代表する建築家、ヘルムート・ヤーン(Helmut Jahn)が2013年まで住んでいました。



右側の家が最も小さい木組みの家。@tomogermany



たちが訪れたのは日曜日で、残念ながらお店はほとんど閉まっていました。人通りも少なかったですが、ハンドメイドのお店や小さなカフェ・レストランなどが木組みの家の1階部分に入っており、きっと平日は地元の人々で賑わっているんだろうなあという雰囲気がありました。

ガイドブックなどではあまり紹介されていないバート・オルプですが、休日に1日訪れて温泉施設に入ったりハイキングしたりゆっくりするには楽しい街です。



坂の上からパシャリ。@tomogermany



外に出るのが楽しくなる暖かい春が近づいています。今年はもっと色々なハイキングコースを歩いてみたいです。

 

もこちゃん

茨城県出身。幼いときにスイスに住んだことがきっかけで海外、特にドイツ語圏に興味を持つ。大学卒業後、ドイツ関係の仕事を転々とし、2018年からフランクフルトに在住。仕事後や週末の趣味はボルダリングやドイツ国内、ヨーロッパ各地の小旅行。

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