【今週のドイツ語】alter Wein in neuen Schläuchen
秋といえば…?と聞かれて、新酒!と答えるあなたは結構な酒飲みですね。秋の新酒で思い浮かぶのはワイン。白くてシュワシュワの新酒、Federweißerフェーダーヴァイサーの季節は終わりましたが、来週にはお隣フランスの新酒ワイン、ボジョーレー・ヌーボーが解禁になります。というわけで今日はワインを使った慣用句をご紹介しましょう。
alter Wein in neuen Schläuchen
アルター ワイン イン ノイエン シュロイヒェン
alter Weinは「古いワイン」、in neuen Schläuchenで「新しい皮袋に」。SchläucheはSchlauchシュラウホ(液体を入れる皮袋)の複数形。昔、お酒などは動物の皮で作った袋で保存したり運搬したりしていたのだそうです。ワインを入れる皮袋を特別にWeinschlauchヴァインシュラウホ と言いますが、今ではバッグインボックス型の箱ワインの容器もWeinschlauchと呼ばれています。
話しが脇にそれました。この慣用句、直訳すると「古いワインを新しい皮袋に入れる」となりますが、その意味は「新鮮味のない内容を形だけ変えて提供する」。政策や改革案など、新しく見せかけているけれど中身は前と一緒、というような時に使います。
もとは、聖書の中の「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」という言葉から派生したとされていて、ご紹介したのとは逆のneuer Wein in alten Schläuchen(新しいワインを古い皮袋に入れる)という慣用句もあるんです。こちらは「中身を刷新しようとしても形式は古いまま」ということで、中身と外側の新旧が入れ替わっていますが、結局は「中途半端な改革」ということで、似たような意味になっています。
Dieser Plan ist doch nur alter Wein in neuen Schläuchen.
この計画、前のものの焼き直しに過ぎないじゃないか。
ところでSchlauchという言葉、違う意味で知っているという方も多いのでは。今では「ホース」や「管」という意味の方が一般的ですね。語源を調べてみると「ヘビの抜け殻」という古いドイツ語から来ているんだそうです。なるほど、細長い管…。
来週は家族や気の合う友だちとワインパーティー?新しいワイン、よかったら新しい入れ物で味わってみてくださいね。
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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