【今週のドイツ語】Zur Salzsäule erstarren
長い夏が終わって、今となってはちょっと寂しく思っている人、いませんか?夏の楽しみといえば、昔からお化け屋敷は定番でした。ドイツでは、夏によく見かける(でも夏以外でも)移動遊園地には大抵、お化け屋敷の中を走るGeisterbahn「ガイスターバーン(おばけ列車)」があります。結構怖いと思うか、うーん…と思うかはあなた次第。
もし結構、いやかなり怖かった時、皆さんならどんな反応をしますか?平気平気と思っていても、突然暗がりから何かが飛び出して来たら、思わず固まってしまうかも?だったら、ドイツ語ではこんな言い回しがぴったりです。
Zur Salzsäule erstarren
ツア ザルツゾイレ エァシュタレン
Salzsäuleは、Salz 「塩」とSäule「柱」を組み合わせた単語で「塩柱」。erstarrenは「固まる」「硬直する」という意味で、全体で「塩柱になって固まる」となります。
びっくりしたり恐怖を感じたりしたとき、まるで塩の柱になったように固まってしまうことを言うのですが、でもなぜ塩柱?
この言い回しは、旧約聖書に登場するロトとその妻の話からきています。ソドムの町が神によって滅ぼされることになり、天使がロトとその家族のもとに遣わされ、ソドムが滅ぼされる前に町から出るように、その際に決して振り向いてはいけないと伝えたにもかかわらず、ロトの妻が逃げる途中で振り返ってしまい、その瞬間塩柱になったというお話です。そこから、恐怖や衝撃的な知らせで固まったように動かなくなってしまうことを「塩柱になる」と言うようになったのです。
ドイツ語には他にも、聖書にまつわる慣用表現がたくさんあります。そして、これは聖書に限らずですが、「振り向くなと言ったのに…あーあ」的なお話も世界中にたくさんありますよね。そんなお話や、そこから派生した慣用句、いろいろさがしてみると面白いかも。
Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
これまでに紹介した今週のドイツ語が本になりました。
「見るだけで楽しく学べる「暮らし」と「文化」 ドイツのことば図鑑」 というタイトルで、このサイトで初期から連載をしてきたものを、大幅に加筆修正し、さらに詳しくわかりやすく、そして面白く、例文や関連用語なども載せて紹介しています。
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