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ドイツ&ドイツの企業文化について書かれた本「なぜ日本社会では女性が輝けないのか」(文芸社、著者:大島愼子)

ドイツ&ドイツの企業文化について書かれた本「なぜ日本社会では女性が輝けないのか」(文芸社、著者:大島愼子)

大島 愼子(おおしまちかこ)さんが書いた「なぜ日本社会では女性が輝けないのか」(文芸社)をご紹介します。

 


 

著者は長年ルフトハンザに勤務していましたが、本を読んでビックリしたのが、ルフトハンザでは1969年から既にフレックスタイムを導入していたということ。絶対に会社にいなければいけないのは10時~16時までのコアタイム。会議も当然その時間帯に行われます。「夜、会議が入っちゃった。。。」なんていうのは、ニッポンの会社員にとって「あるある」的な悩みだったりしますが、ドイツだと「まず、ないこと」なのですね。

 

日本ではコロナ禍になって、ようやくリモートワークなどのフレキシブルな働き方にスポットが当たるようになりましたが、ドイツの企業では50年以上も前(!)からフレキシブルな働き方をしているのですね。

 

本を通して「ドイツ流の働き方」や「ドイツの企業文化」について知識を深めることができますが、個人的に興味深かったのは96頁と97頁。ここではジェンダー・ステレオタイプに関する日本の社会の刷り込みについて書かれています。

 



日本の人が一般的に「女性」について持つイメージは次のようなものです。

 

美しい、おしゃれ、行儀がよい、優しい、涙もろい、気が利く、謙虚、従順、依存的、家庭的 (97頁より抜粋)

 



その一方で、日本の人が「男性」について持つイメージは次のようなものです。

 

冒険好き、攻撃的、意志が強い、自己主張が強い、理性的、行動力がある、指導力がある、決断力がある (96頁より抜粋)

 

パッと見ると、「女性」にまつわるイメージのほうが「男性」に対するそれよりも「良い」印象ですが、これが実は厄介なのですね。

 

というのも、「美しい」「優しい」「行儀が良い」というのは確かに「プラス」ではあるのですが、「誰に仕事を頼みたいか」という観点から考えると、やっぱり②にあげられた性格の人に頼みたい、と思う人が多いのではないでしょうか。要は日本の社会は、女性に対して「仕事面であまり役に立たない立ち振る舞い」を求めてしまっているのですね。そんなところに、日本の社会で女性が輝けない理由がある気がしてなりません。

 

友達のパスカルさんと一緒にやっているYoutubeでも、この本について「あれこれ」お話しさせていただきました。Youtubeはこちらからご覧いただけます。

 

「ドイツ」について書かれた本は沢山ありますが、実際にドイツの企業に勤めた人が書いた本はあまりないので、この、貴重です!

 

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン