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世界遺産の大聖堂とケルンのおすすめグルメ

世界遺産の大聖堂とケルンのおすすめグルメ

前回お伝えしたデュッセルドルフの南に位置する、ドイツ西部最大の都市ケルン。世界遺産の大聖堂があまりにも有名ですがグルメも忘れちゃなりません。地ビールや郷土料理などケルンで飲みたい&食べたいものをご紹介します。

 

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正面から見たケルン大聖堂はド迫力!



ケルンのシンボルといえば、ドイツで一番訪問者が多い大聖堂、ケルナードーム。私は「駅前世界遺産」と呼んでいるのですが、本当に笑っちゃうほどすぐ隣に建っているので、初めて見た人はきっと驚くと思いますよ。駅を出たとたんに目の前に立ちはだかる、黒々とした巨大な物体の威圧感たるや!何度みても畏怖の念を覚えます。

鮮やかなステンドグラス「バイエルン窓」



中に入るとまた違った角度から巨大さが体感でき、さらに圧倒されます。バイエルン王ルートヴィヒ1世が寄贈した5枚の鮮やかなステンドグラス「バイエルン窓」に感嘆しながら奥へ進むと、ある一角だけまわりと違う現代アート風のモダンなステンドグラスが現れます。これはドイツの画家ゲルハルト・リヒターが2007年に手掛けた作品で、11,000枚以上もの72色のガラスを配列したもの。光がさしこんだ時はことさら美しく、ついつい時間を忘れて見入ってしまいます。

ゲルハルト・リヒターが手掛けたステンドグラス



ステンドグラスのほかにも、東方三博士の聖遺物を納めた黄金の聖棺やケルンで活躍した画家シュテファン・ロホナーによる祭壇画なども見逃せません。お宝がいっぱいつまったケルン大聖堂は、ここだけでもひとつの美術館並みに見ごたえがあります。アートのメッカともいわれるケルンには多彩な美術館や博物館、ギャラリーが豊富にあるので、芸術鑑賞目的で訪れると時間がいくらあっても足りません。

 

さて、大聖堂に圧倒された後に飲みたいのが地ビールです。前回お伝えしたデュッセルドルフの地ビールは褐色のアルトでしたが、ケルン自慢の地ビールは黄金色のケルシュ。心地よい苦みとすっきりした飲み口で、私も大好きなビールです。大聖堂の南に広がる旧市街は、ケルシュの醸造所兼クナイぺ(居酒屋)の密集エリア。ケルシュの専用グラスは小さめなので、何軒かめぐって飲み比べてみるのもおすすめです。

ケルシュとメット。生の豚ミンチに生玉ねぎと塩・胡椒だけのシンプルな旨さ!



醸造所のレストランでは新鮮なビールとともにライニッシャ―・ザウアーブラーテン(馬肉または牛肉を酢などでマリネし煮込んだ料理)やフレンツ(血のソーセージ)などこの地域の名物料理が味わえます。私のお気に入りは「メット・ブロートヒェン」と呼ばれるオープンサンド。ブロートヒェン(小型パン)にのっかっているメットとは、なんと生の豚ひき肉。これがビールのおつまみに最高なんです。

 

ザウアーブラーテンはドイツ各地で食べられる。ライン風はソースに甘みがあるのが特徴



 

 

ケルンでは、ロッゲルヒェンとよばれるライ麦の小型パンも料理と一緒によく出てきます。これにチーズをのせたハルヴァ・ハーンはビアレストランで定番のおつまみメニュー。ロッゲルヒェンはパン屋さんでも売っています。

小型ライ麦パン、ロッゲルヒェン。小さな丸パンが2つくっついた形



 

旧市街からライン川沿いに南下すると、船を思わせる形のガラス張りの建物「チョコレート博物館」が見えてきます。チョコレートとカカオの歴史や作り方を学んだり、食べたり、買ったりできる、チョコレート好きにはたまらない博物館です。

チョコレート博物館ではできたてのチョコレートもいただける



スイーツ系では、今の季節ならアイスもおすすめ。街のアイスカフェで巨大なパフェやアイスカフェー(という名のアイスクリーム入りの甘いアイスコーヒー)を楽しむのもいいけれど、アイス片手にライン川を散歩するのも気持ちがいいです。ケルンが誇るサッカー選手、ルーカス・ポドルスキのアイス屋さんもあるんですよ。

参考記事>>アイス天国!ドイツのアイス事情とは【伝統編】

 

ケルンはドイツ一お祭り好きといわれ、デュッセルドルフ、マインツと並ぶカーニバル三大都市としても有名。ここでもデュッセルドルフの名が出てきましたが、この両者のライバル意識の高さは有名で、サッカー、ビール、人々のフレンドリーさなどなど、何かと対抗するのがお約束みたいになっており、たびたびネタにされています。人間って、お隣とは張り合ったり争ったりしたくなる生き物なのでしょうかね……

 

個人的にはその感覚がよく分からないので、今年の4月にケルンとデュッセルドルフ合同の観光キャンペーン「Entdecke(発見) Düsseldorf/Köln」が行われたのは喜ばしいニュースでした。

プレスリリースには「悪意のあるゴシップは両都市の仲の悪さを取り上げますが、それが間違いだと証明するために、友情をもって共通の目標に取り組みます」といった趣旨のことが書かれてあり嬉しく思いました。よかった、よかった。

 

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツを拠点にフリーライターとして活動。共同通信、朝日新聞デジタル、NHK他で旅や食文化、最新トレンドなどについて執筆。近年は世界各地でプチ移住&プチ留学を体験しながら発信中。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 /ドイツ・ニュースダイジェスト」レシピ連載中 / 2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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坪井由美子