ドイツが「外国」の親と、ドイツが「地元」の息子たちの話
みなさま、どうもこんにちは。
ドイツの南西部の田舎町で、2人の野生児を追いかけ回す毎日のふくい WU みらいです。
共用庭は社交家長男の『井戸端尋問』の場
ドイツ生活も早いもので気がつけば5年目。
住み始めてから今までは出なかった花粉症もしっかり開花してきている今日この頃です。
そんな私たちがドイツに住むようになってから4年強、1度も引っ越さず同じアパートに住んでいます。
このアパートは3階建て6世帯が住む同じ建物が二つ並んで建っており、1階に住む私たち専用の小庭と、アパート全体でシェアする共用庭とがあります。
で、その専用と共用の庭は繋がっているのですが、もう、それをいいことに、我が家のMr.社交性(5歳長男)は常にご近所の誰かと井戸端会議。
いや、長男が一方的に質問責めにしてるので、正しくは『井戸端尋問』をする日々です。
息子たちは目指せマルチリンガル!!
話は変わりまして、我が家を取り巻く言語は4つあり、息子2人がマルチリンガルになればいいなぁと思って育てています。
その四言語とは英語・日本語・広東語・ドイツ語。言葉とは、使ってなんぼ!使わないと忘れる!ものなので、四言語のバランスはその時々の環境によって流動的ではありますが、息子たちはそれぞれ小さいなりによくやっています。
2年前の冬休みに日本帰省をしたら、例のウィルスのパンデミックが始まり、そのまま日本に8ヶ月いることになった時の話 ↓↓↓
頑張っている息子たちに対しダメなのは親である私たち夫婦で、未だにドイツ語がほとんど話せません。
私たちが関わってきたドイツ人は平均的に英語がとても上手で、医療関係は流暢な人がほとんど、役所・銀行・レストラン・幼稚園etc...英語で通じるので、特に生活上で困った経験がありません。
という環境に甘んじて、ドイツ語を勉強せずに4年以上も過ごしてしまっています。
(ただ、ドイツ各地を回って仕事をしていた友達は、シュトゥットガルトは特に英語がよく通じるし、国際的な都市なのでドイツ語を話さないことに対しての壁があまりないと言っていました。私たちがラッキーだっただけかもしれません。)
子どもたちの話に戻って、親がそんなダメダメなのにも関わらず、現地の幼稚園ではドイツ語を話し、その他も相手によって各言語を使い分け始めています。
しかし長男は、去年の夏から英語が共通語のインターナショナルスクールに通っているので、ドイツ語に触れる時間が一気に減りました。
そこで、ご近所さんたちに
「私たち家族はまだまだドイツにいる可能性もあるし、長男のドイツ語を維持したいな。」
と話すと、
皆さんがこぞって
「じゃあ、私たちはドイツ語で話しかけるね。」
と言ってくれたのです。
共用の庭で一緒に花を植えながら、犬の躾の仕方を教わりながら、サッカーボールの蹴り合いをしながら、、、例え息子が英語で話しても、自然とドイツ語で返してくれるのです。
無口なご近所さんまで、最近はしょっ中ドイツ語で話しかけてくれるなぁと思っていたら、他のご近所さんからうちの長男を見たらドイツ語で話しかけるように言われたとか。
どんなけ優しいんやーーー!!!
確かに流行りのウィルス規制の影響はあるけれど
長男がドイツの現地幼稚園から転園するときに、彼のドイツ語が弱くなる(もしくは忘れる)ことは予想できたので、維持する方法を私なりに考えてみました。
地元のサッカーや体操、音楽教室を探してみたけれど、もう2年ほど流行っている例のウィルスの影響により閉鎖かオンライン。
地元の友達とのプレイデートを定期的に設定していたけど、冬になるとまた例のものが流行りだし、友達と遊ぶ機会は激減。
ドイツに住んでいて、お店や街で周りはみんな話してるから大丈夫だろう、と思うかもしれません。
でも、ここはドイツ。
そして、息子の第一言語は英語。
先ほども言ったように、皆さん英語がとても上手なので、息子の英語にはだいたい英語で返してくれます。
もちろん、息子がドイツ語で話すとドイツ語で返ってきますが、
つまりは、息子の方から、息子発信でドイツ語を話さないと、ドイツ語の会話にはならないのです。
息子が意識的に
「僕はドイツ語を維持した方が今後のためになるから、話しやすい英語ではなく、頑張ってドイツ語を話そう」としないと難しい状況なのです。
どこの4−5歳がそんなことを思うっちゅーねん!!!
少なくとも、うちの子はそんなことを意識しながら生きる幼児ではないので、ただ何もせずにぼーっと過ごしていたら確実に彼のドイツ語は廃れていきます。
実際に、ドイツから離れた友達家族(両親とも家庭内でドイツ語を使わない)の子ども達は、半年もしないうちに「僕は◯◯です。」すらドイツ語で言えなくなった。俗に言うドイツ語ペラペラからゼロに、本当に一瞬でなったと言っていました。
私の働くインターナショナルスクール(英語が共用語)でも、ドイツに住んでいるけどドイツ語を話さない子どもや家族、(私を含め)スタッフは山のようにいます。
私の夫は日本に3年間住んでいましたが、私が常に通訳していたので日本語は身についていません。
ドイツに住んでいるからドイツ語が話せるようになる。
〇〇語を話す国に住んでいるからその〇〇語は維持できる。
これは、全くの幻想のようですね。
もちろん、その言語が身に付くチャンスは多いと思いますが、必ず本人の努力は要します。
ぼーっと過ごしていたら普通に無理です。
と、すぐに話がそれてしまいますが。。。
コロ◯やコ◯ナや◯ロナで、一旦は閉ざされた長男ドイツ語キープへの道も、ご近所さん達の愛によって、また開けたのです。
ここまで言っておいてなんですが、言語はそんなに大事じゃないと思うこともあります。(えっ覆した!!!???)
息子のドイツ語維持やマルチリンガル育児にすごくこだわったようなことを言っていますが、もし今後ドイツを離れることになれば、ドイツ語は息子達にとって必要な言語ではなくなります。
その時はドイツ語を失っても、それが自然な流れかなと思います。
ですが、今、この私たち家族とご近所さんとの良い関係を築けているのは、間違いなく息子(特におしゃべりの長男)たちのおかげです。
遠くの親戚より、近くの他人???!
先日、共用庭でご近所さんの誕生日を親戚総勢15人くらいで祝っていた時に、私たち家族も呼んでもらえました。
おじさん・おばさん達が、まるで孫を可愛がっているかのように、うちのやんちゃ2人と遊んでくれました。
私は2−3回で嫌になる二男の「もう一回!」攻撃も、100回ぐらいやってくれました。
私はすぐわからなくなって他の人に振る長男の「何それ?なんで?どうして?の井戸端尋問」にも、根気よく付き合ってくれていました。
そんな様子を見ていると、流行りのウィルスや海外生活でささくれた気持ちが、スーッと滑らかになります。
日本や香港にいる実のじいちゃん・ばあちゃんにはなかなか会えずにいるこの時期に、こんな人々の温もりを感じられる時間は貴重だなぁと、1人でジーン。。。としていました。
親にとっては外国でも、息子たちにとっては地元
私たち夫婦は国際結婚で、しかも住んでいるのは夫婦どちらの地元でも出身国でもなく、私たちにとっては外国であるドイツ。
でも、ドイツで生まれ育っている息子たちにとっては、今は、ここが「地元」。
日本や香港は、たまにじいちゃん・ばあちゃんに会いにいくところ。
(二男はまだ香港に行ったこともありません。ましてや、夫の国籍があるカナダやイギリスは、親戚は住んでいるものの当面行く予定もありません。)
そんな地元の「ご近所さん」というコミュニティーに入り、周りに可愛がられながら育っている息子たち。
彼らの心を豊かにしてくれているこの経験は、今後、TCKとしてどこに住むことになったとしても、きっと自身を強く支えてくれるだろう。
小さな声で、公言。。。私も息子たちを見習って、ドイツ語がんばろ〜っと。
※地元:生まれたときからずっと住んでいる地域、もしくは子どもの頃に長く暮らした深く関わりのあるエリア
※TCK:Third Culture Kidsとは、子供時代を両親の母国以外の国で送った子供たちです。 (第1)両親の国の文化、(第2)子供時代を過ごした国の文化、のいずれでもなく、(第3)サードカルチャーを生きている子供のこと