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【謝罪】にまつわる文化ギャップ

【謝罪】にまつわる文化ギャップ

国と国を比べるとき、食生活の違いだとか、街中の風景の違いなど「わかりやすいもの」に目が行きがちですが・・・

 

個人的に最も興味深いのは「考え方の違い」だと思っています。以前、ドイツと日本では謝罪に対する考え方がかなり違うと書きました。たとえば、新型コロナウイルスに感染した日本人が周囲に謝罪をすることがありますが、新型コロナウイルスに感染したドイツ人が謝罪するようなことはありません。

 

今年2月に行われた北京オリンピックでは、スキージャンプの高梨沙羅選手が一回目のジャンプ後、スキースーツの規定違反で失格になってしまいました。ほかにもドイツ、オーストリア、ノルウエーの女子選手が同じ理由で失格になっており、その後、各方面から怒りの声が上がっています(これを書いている2月17日時点)。

 

でも、スポーツ音痴であり(・・・自慢できることではありませんね)、オリンピックにも疎い私(・・・こちらも自慢できることではありませんね)が気になっているのは、そこではありません。

 

気になったのは、その後の高梨沙羅選手の「謝罪」にまつわること。失格が判明した直後、泣き崩れた高梨選手でしたが、その後、彼女はインスタに真っ黒な画像をアップし、次のように謝罪の言葉を述べました。

 

高梨沙羅選手のインスタ全文

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日本チームを応援してくださっている全ての皆様

今回、私の混合団体での失格で日本チームみんなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、そして、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えてくださった皆様を深く失望させる結果となってしまったこと、誠に申し訳ありませんでした。

私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。それほど大変なことをしてしまったこと深く反省しております。

そして、私のせいでメダルを取れなかったにもかかわらず、最後の最後まで支え続けてくれた有希さん、幸椰さん、陵侑、そして日本チームのメンバーの皆さま、スタッフの皆さまには感謝してもしきれません。こんな私を受け入れてくれて本当にありがとうございました。

この度は本当に申し訳ありませんでした。

高梨沙羅

私が言える立場ではないことは重々承知の上で言わせていただけるなら、どうかスキージャンプという素晴らしい競技が混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしいと心から願います。

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日本人、または日本の文化を知っている人であれば、これを読んで「高梨選手はやっぱり詐欺を働いたのだ!」と思う人はまずいないでしょう。

 

ところが恐ろしいことに、私の知り合いのドイツ人男性は、このコメントの翻訳を読んで「やっぱり高梨選手は不正を知っていたんだ!僕の思った通りだった」と言いました。びっくり仰天する私。いや、ドイツと日本に【謝罪文化の違い】があることは、以前書いたように重々承知していたのですが、、、「ニッポンの謙虚な謝罪というのは、時にここまで悪い方向に解釈されてしまうんだ・・・」と改めて驚いた次第です。

 

あ、その後、「それは違う!」と、ニッポンVSドイツの【文化の違い】について、みっちり説明しました(笑)

 

「どこの国の人でも、同じ人間なのだから、気持ちは同じなはず」と考える人は多いです。でも実はそんなに単純な話でもなかったりします。外国の人と触れ合うとき、「気持ち」や「人間関係」の面で「文化的なギャップ」があることが最も難しい部分かもしれません。

 

「謝罪」に関しては、日本人の「心」がもっと世界に知れ渡るといいですね。

 

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン