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【今週のドイツ語】ein Engel geht durchs Zimmer

©Miwako Kamo

【今週のドイツ語】ein Engel geht durchs Zimmer

ein Engel geht durchs Zimmer

アイン エンゲル ゲート ドゥルヒス ツィンマー

親しい友人とのランチ会、親戚の集まり、ご近所さんとのお茶会、…そんなことが当たり前だった時には特に意識していなかったけれど、他愛ないおしゃべりがこんなに大切なものだったなんて、と今思っている人も多いのではないでしょうか。目をつぶると、そんな集まりの和やかな話し声が、コーヒーの香りや食器のカチャカチャいう音と共によみがえってきて、なんだか胸のあたりが温かくなってきます。

でも、そんな談笑の最中、それまで盛り上がっていた会話が一瞬ふっと途切れる瞬間ってありませんでしたか?なんだか気まずいような、思わず笑い出してしまいそうな、突然の「シーン…」。そういう瞬間を表す慣用句がドイツ語にはあるんですよ。

ein Engel geht durchs Zimmer アイン エンゲル ゲート ドゥルヒス ツィンマー

ein Engelは「天使」が一人。gehtは動詞gehen「行く、歩く」の変化形です。durchsは前置詞durch「~を通って、~を抜けて」とdasがくっついたもの。このdasは次に来るZimmer「部屋」の定冠詞です。最初から訳すと「天使が部屋を通っていく」。

天使が部屋を通る…示し合わせたわけでもないのに、突然会話が途切れてしんとした瞬間を「天使が通った」と言ってみるその気持ち、なんとなく分かるような気がしませんか?

このような表現は、古代にまでさかのぼるそうで、神々の世界に属するものが人間界に降り立つと、人は畏敬の念から言葉を慎んだとされています。

それが、おそらくキリスト教のエッセンスと混ざり合い、現代のドイツ語に受け継がれて「一瞬しんとしたのは、天使が通ったからだね」と言うようになったのではと考えられています。

早くまた親しい人たちと集まって、時には天使も顔を出してくれるような、そんなおしゃべりに興じたいですね。

Text by Kumiko Katayama

 

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