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国際都市ベルリンで味わう世界のグルメ

国際都市ベルリンで味わう世界のグルメ

歴史的・文化的な見所がいっぱいのベルリンではグルメも楽しみ。ベルリン名物だけでなく国際都市にふさわしく世界各国のレストランも豊富です。トルコ、レバノン、ロシア、ウクライナ……料理をとおして未知の国の文化にふれてみませんか。

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みなさんこんにちは。お元気ですか?ドイツはすっかり春です。
クリスマスマーケットめぐりをしていたのはついこの間だったような気がしますが、気が付けば桜が満開になっていてびっくり。
毎年必ずやってくる当たり前の奇跡に驚かされますね。

日本を象徴する花として知られる桜ですが、じつはドイツにも桜の名所がたくさんあります。

ドイツの有名な桜の名所のひとつ、ボン旧市街



ボンの旧市街や、広島から平和を願って桜が贈られたハノーファーなどと並び、有名なのがベルリンの壁跡地。そのきっかけとなったのは、日本のテレビの呼びかけで始まったプロジェクトでした。平和を願う募金によって植樹された桜並木が多くの人々を和ませてくれています。

というわけで、今回は(少々強引に)ベルリンからお伝えします。

ベルリンの名物グルメといえば、アイスバインやカリーヴルストがよく知られていますが、今回ご紹介したいのはドイツ以外の各国料理。

ベルリンには世界中の様々な文化を背景にもつ人々が暮らしているため、色んな国の料理に出会うことができます。なかなか知る機会がない国の食文化を体験することは、食い意地が張っている私にとって大きな喜び。ベルリンの大きな魅力のひとつです。

ではでは、食で世界旅行inベルリン、いってみましょう!

まずは移民を背景に持つ人々のなかでも一番割合が大きい、トルコのファストフードから。

パンからこぼれんばかりに具がたっぷりのケバブ。写真は野菜多めのタイプ



もはやベルリングルメともいえるケバブ。カリーヴルストと並ぶ、おなじみのストリートフードです。お肉も野菜もたっぷりで日本サイズの2~3倍はあるのでは?というボリューム。
ケバブ屋さんはいたるところにありますが、トルコ人街として有名なクロイツベルク地区あたりへ行くと多くのお店がひしめきあっていて、色んな意味でよりトルコっぽい雰囲気が味わえます。

 

お次はレバノンなど中東方面へ。

ファラフェルのサンドイッチ。写真のお店では薄いパリパリの生地に包まれていました



ファストフードですませたいけれど、お肉たっぷりのケバブはちょっと重すぎるなあという時におすすめなのが、ひよこ豆のコロッケ、ファラフェル。
そして、ファラフェルとともにベジタリアンに人気なのがハルーミ。山羊と羊のミルクで作られた弾力のあるチーズで、おもに焼いて食べられます。
どちらもレバノンなど中東系のインビス(軽食屋)にある定番メニューで、野菜と一緒にパンに挟んでサンドイッチにしてもらえます。

 

ベルリンでは知られざるユダヤ文化にふれる機会も多くなりました。

イスラエルの定番朝食、シャクシュ―カ(写真左)



ここ数年のブームといえばイスラエル料理。ミッテ地区にあるシナゴーク付近には以前からユダヤ関連の施設やお店がいくつか点在していましたが、最近はその他のエリアでもイスラエル料理を出すお店がみられるようになりました。イスラエルから移住する若者が増えたことで、伝統にとらわれない気軽なカフェやおしゃれなレストランも増えています。
フムス(ひよこ豆のペースト)や朝食で定番のシャクシュ―カ(卵を落としたトマト煮込み料理)のほか、私が大好きなメニューがカリフラワーの丸ごとグリル。まるっと一個食べられそうなほど美味しいのですよ。

 

そして、先日はロシアカフェへ行ってきました。
カフェ密集地にわりと古くからあるお店で、今は姉妹店もいくつか経営されている人気店です。

ロシアによるウクライナへの侵攻が始まってすぐ、お店のホームページにメッセージが掲載されました。そこには以下のようなことが書かれていました。

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ロシア、ウクライナ、ラトビアなど様々な国からベルリンへやってきて、この街が新しいホームとなったこと。

欧州各地のほかジョージアやイスラエル、南米など様々な国籍のスタッフがともに働いていること。

ドイツに30年以上住み、すべての欧州人と同様に、自由、平等、正義の民主的価値観を支持していること。

ある国が他の国に対して攻撃することは、現代社会では受け入れられないという意見を共有しており、人的被害や暴力を伴う軍事行動、政治家の不法行為に断固として反対すること。

私達のコミュニティに戦争の余地はありません。

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ベルリンではブランデンブルク門を中心に大規模な平和デモが行われ、ベルリン中央駅にはウクライナから避難してくる人々が到着し始めていました。
メッセージを読んで思わずお店に足が向かいました。

温かいボルシチとビール。しみました。



ロシアのビールとウクライナ発祥とされるボルシチをいただきました。
店内には近所の常連さんと思しきカップルや多国籍な若者グループ、カウンターで一人で飲んでいる初老の(おそらく)ロシア人男性……みんなどんな気持ちでここにいるのだろう、と考えたら涙がこみあげてきました。

翌日はウクライナへの支援物資の寄付を受け付けていた姉妹店のカフェへ行ってみました。
(※3/28現在は物資の受付は行っていないようです)

クヴァルクを包んだブリニのチェリーソースがけ。トッピングはパリパリの麺状ブリニ



おやつにロシアのパンケーキ、ブリニを。この時いただいたのはクレープのような薄い生地でクヴァルクチーズを包んだデザートブリニでしたが、そば粉を使ったり、塩味のカナッペ風など様々な形で食べられるのだそう。紅茶も香り高く美味しかったです。

お店の前に出ていた看板



 

まだまだいろんな国の料理が楽しめるベルリンですが、すっかり長くなってしまったので今回はこのへんで。
また機会がありましたら、「食で世界旅行」の続編を書いてみたいと思います。

 

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツを拠点にフリーライターとして活動。共同通信、朝日新聞デジタル、NHK他で旅や食文化、最新トレンドなどについて執筆。近年は世界各地でプチ移住&プチ留学を体験しながら発信中。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 /ドイツ・ニュースダイジェスト」レシピ連載中 / 2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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坪井由美子