【今週のドイツ語】Schrottwichteln
Schrottwichteln
シュロットヴィヒテルン
今年もいよいよクリスマスがやってきました。ドイツでは25日と26日がクリスマスの祝日。
でも、その1か月ほど前からキリストの降誕を待ち望むアドヴェント(待降節)が始まり、クリスマスモードが高まります。日本ではサンタさんがプレゼントを持ってきてくれる24日が最も盛り上がりますね。子どもたちもこの日へ向けてきっと良い子モードが全開でしょうね。
プレゼントと言えば、ドイツにはクリスマスのプレゼントでとても楽しい習慣があるんです。
Schrottwichteln シュロットヴィヒテルン
クリスマス期間中のパーティーなどで行うプレゼント交換をWichteln と呼ぶのですが、その頭に「がらくた」を意味するSchrottを付けた言葉です。訳すと「がらくた交換会」。えっ、クリスマスだというのにあまりなネーミング…
いえいえ、がらくた交換会は、最近では通常のプレゼント交換以上に盛り上がると人気が高まっています。パーティーに参加する人は、それぞれ家にあるいらないものをラッピングして持ち寄り、くじ引きやサイコロなどで中身も贈り主も分からないプレゼントをもらいます。
その後、みんなの前でプレゼントを披露するのですが、包みを開けた瞬間にいかに笑いを取れるか、どれだけサプライズ感を演出できるかが「がらくた」選びの腕の見せ所。ゴミを包めばよいというものではないのです。
Schrottwichtelnのプレゼントとしては、もう観ないDVDや聴かないCD、読み終わった本、子どもの小さい時のおもちゃ、使わなくなった食器、自分では絶対に着ないロゴ入りTシャツ…などが考えられます。自分にとっては「不用品」でも、誰かにとっては嬉しいプレゼントかも。フリマ出品に近い感覚で選ぶと良さそうですね。さらに、ちょっとしたジョークやユーモアの要素があると、贈り主のセンスが光るというものです。
毎年、クリスマス前に家族や友人へのプレゼントを探すのがストレスに感じる人が多いこと、ごみの削減やサステイナブルな生活を心掛ける人が増えてきていることなどから、Schrottwichtelnは今後ますます広がっていく予感がします。
ところで本家のWichtelnですが、Wichtel(ヴィヒテル)とは、おとぎ話に出てくる小さな妖精、こびとのことです。夜、食器を洗わずに寝てしまったのに朝起きたらきれいになっていたとか、脱ぎ捨てたままの服がちゃんと片付いていたとか、作りかけの靴が翌朝立派に完成していたとかいうことはありませんか?それはみんな、Wichtelがやってくれているんです(ほんと??)。
言い伝えでは、クリスマスに、いつの間にかプレゼントが置かれているのもWichtelの仕業ということです。そこから、贈り主が分からないようにしてクリスマスのプレゼントを交換することをWichtelnと呼ぶようになったのだそうです。
Wichtelnは、クリスマスだけでなく大晦日の年越しパーティーでも楽しめます。ドイツでは、オンラインでWichtelnを楽しむサービスまで登場しているようです。
今年のクリスマスは、年末大掃除も兼ねて、オンラインSchrottwichtelnなんていかがでしょう。
楽しいクリスマスをお過ごしください。
©ドイツ大使館 / Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
これまでに紹介した今週のドイツ語が本になりました。
「見るだけで楽しく学べる「暮らし」と「文化」 ドイツのことば図鑑」 というタイトルで、これまで3年以上に渡ってこのサイトで連載をしてきたものを、大幅に加筆修正し、さらに詳しくわかりやすく、そして面白く、例文や関連用語なども載せて紹介しています。
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