【今週のドイツ語】Etwas auf die hohe Kante legen
Etwas auf die hohe Kante legen
エトヴァス アウフ ディー ホーエ カンテ レーゲン
人間、生きていくためにはお金が必要です。最低限の生活に必要な衣食住を満たすのはもちろん、教育や文化やお休みの日の楽しみも、人生の大切な要素。そのためにみんなせっせと働き、働いた分から少しずつ、大切な人や自分の夢のために貯めているんですよね。
で、その貯めたお金、皆さんはどこにしまっていますか?
ドイツでは、どうやら「高い縁(へり)の上」に置いておくようで…。
Etwas auf die hohe Kante legen エトヴァス アウフ ディー ホーエ カンテ レーゲン
Kanteは「へり」や「ふち」、hohe はhochホーホ「高い」が女性名詞を修飾するときの形、legenは「置く」なので、auf die hohe Kante legenで「高い縁の上に置く」。
etwasは「いくらか」「多少」などという意味ですが、ここではお金のこと。また、よくあるのが、ここにGeld(ゲルト、お金)またはお小遣いやお給料やボーナスの一部という言葉を入れる使い方です。「高い縁の上に置く」というのは、お金を「貯めておく」「使わないで取っておく」という慣用表現なのです。
“Leg das Geld für später auf die hohe Kante!” 「そのお金、いつか必要な時のために取っておきなさい!」というように使います。
なぜお金を取っておくことを「高い縁の上に置く」というのか、そもそも高い縁って何なのか。この慣用句の始まりは中世にまでさかのぼると言われています。
昔のヨーロッパのベッドには、木製の天蓋が付いたものがありましたが、当時、人々は夜寝る時、身に付けていた財布をこの天蓋の縁に置いたり、もっとお金持ちの人は、天蓋の上に隠し棚を作って財産をしまったりしていたそうです。これが「高い縁の上」の由来と言われています。今では天蓋付きのベッドなんてあまり見かけませんが、それでもお金や大事なもののしまい場所は、高い棚の一番上あたりが定番のようです。日本で言えば鴨居の裏のヘソクリのようなもの…?最近は鴨居がない家も増えていますが、人間の心理として、お金は高いところに隠したくなるということでしょうか。
この週末は家の中を片付けて、高い縁の上にしまう場所を確保しようかな。しまうものがまだないのだけれど。
良い週末をお過ごしください。
©ドイツ大使館 / Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
これまでに紹介した今週のドイツ語が本になりました。
「見るだけで楽しく学べる「暮らし」と「文化」 ドイツのことば図鑑」 というタイトルで、これまで3年以上に渡ってこのサイトで連載をしてきたものを、大幅に加筆修正し、さらに詳しくわかりやすく、そして面白く、例文や関連用語なども載せて紹介しています。
画像をクリック、または「ドイツのことば図鑑」で検索してみてね!