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【第2回目学生インタビュー】大学生の外国語学習について

©Ritsuko Isogai

【第2回目学生インタビュー】大学生の外国語学習について

こんにちは!学生ライターのRitsukoです。今回のブログは、前回に引き続きインタビュー記事になっています。

 

最近の個人的な関心事は「社会言語学」です。春学期に履修した社会言語学の授業をきっかけに、人がなぜ特定の言語を学習するのかに興味を持ちました。

 

この学問についてまだ初心者なので、私が面白さを語るのはおこがましいのですが、そのような理由で今回はドイツ人の友人に「言語習得について」ついてインタビューしました。

彼女は「外国語としてのドイツ語教育」を専攻としており、多言語が当たり前に飛び交う環境で育っています。そんな彼女の独自の視点や意見を色々聞いてみました。

 

社会言語学に関心がある方は是非どんな学問なのか調べてみてくださいね!

 

<インタビュー目次>

ドイツにおける外国語学習

学ぶ外国語の選択

学びと留学

 

ドイツにおける外国語学習

1995年のEU閣僚理事会で、母語以外に原則としてEU圏内の言語を最低2言語取得する、母語プラス2言語の——「ヨーロッパ市民の3言語主義」が謳われました。*果たしてドイツの学生にとって本当に外国語を学ぶことは当たり前のことなのでしょうか?

 

———はい、外国語を学んでいる学生の多くは若いうちから他言語を習得しなければならない方針を知っていますよ。大学に入る以前に英語以外の外国語を学ぶことが義務になっているので、学校では、英語に加え、ラテン語、フランス語、スペイン語の中のいずれかの言語を学びます。

大学では外国語履修の義務はありませんが、私を含め、多くの人が学んでいます。

*EUにおける「多言語•多文化」主義 ― 複数言語教育の観点から言語と文化の統合教育の可能性をさぐる ― 杉谷眞佐子 高橋秀彰 伊藤啓太郎 (2005)


学生たちはその言語に関心があってこそ学んでいると思うのですが、なぜ彼らは関心を持つようになると思いますか?

 

———ええ、多くの人が特定の外国語に関心を持って学んでいると思います。大学入学資格取得に外国語の学習が必要であることを理由として学んでいる人もいると思います。しかし、大学生の場合には、外国語の習得が就職の際にチャンスを広げてくれることを期待する人もいるでしょう。

 


©Ritsuko Isogai

古い建築物とオフィスが混在するフライブルク中心街。
日本での留学経験があるサラリーマンも働いていました。

 

②学ぶ外国語の選択


なぜ外国語に関心を持ったのか気になります。学生は学ぶ言語をどのように決めていると思いますか?文化や国そのもの、食べ物などへの関心が考えられますよね。

 

———多くの人は何らかの理由で最も関心を持つ国の言語を選んでいると思います。つまり、その国の文化的な関心事が動機となっているのは確かだと思います。例えば、私は韓国語を選びました。一つの理由としてはとても美しい言語だと感じたことがありますが、韓国のドラマや映画を観たり、音楽を聴いたりすることも好きなので、私にとっては実用的だとも思い選択したのです。観るもの聞くもの全てに字幕が付いているとは限らないため、言語に精通して字幕に頼らないようにしたいと考えました。

アジアの言語に対して躊躇する人も多くいるようですが、私にはその気持ちが理解できません。とても美しいと思います。そして韓国語に加えて日本語も学びたいです。

なるほど。アジアの言語を選択したことが興味深いですね。ちなみに、一般的にはヨーロッパの言語を学ぶべきという考え、もしくはアジアの言語を学ぶべきという考えはあるのでしょうか。ご自身は今も純粋に興味関心のために韓国語を学んでいますか?

 

———多くの人が仕事のためにヨーロッパの言語を学びつつ、非ヨーロッパの言語に興味関心を抱いていると思います。ただ、話者の少ない言語を駆使する人に対する需要はますます大きくなっているので、仕事のために非ヨーロッパの言語を学ぶことも非常に有用だと考えています。

実際に、最近アジアの言語を学んでいる学生は増えていると思いますか?

 

———ええ、そう思います。アニメや漫画、そしてK-POPに対する関心から、日本語と韓国語を習うことに対する興味も高まってきたと思います。そして多くのK-POPグループが欧米で成功しているので、これからもその影響で言語への関心が高まっていくと思います。

 

©Ritsuko Isogai


駅で手軽に買える黒パンのサンドイッチ。
皆さんはドイツ料理をきっかけにドイツに興味を持ちましたか?

 

③学びと留学


これまでの答えから外国語習得への前向きな姿勢が読み取れますね。ドイツの学生にとって外国語の学習と留学がワンセットなのでしょうか?

 

———外国語を習っている人全員が留学をするとは言えませんが、現地で言語を学ぶことは大切だと思います。もちろん語学力の向上もありますが、海外で新しい文化を実体験することが魅力的だと考えています。新しい世界に飛び込むことは本当に人生に変化をもたらすと思います。

 

今回のインタビューはここまでです。

 

読者の皆さんが外国語を学ぶ決め手となった理由もとても気になります。

インタビューに応じてくれた彼女は、興味関心をきっかけに言語を学びつつ、就職の際のアドバンテージも見据えてアジアの言語を学んでいるようですね。日本の場合は、主に「英語」が重視されますよね。就活の際は、英語を仕事で実際に使う必要がなくても、人物の能力を測る一定の指標として英検やTOEICなどの英語力を測定する試験の点数が利用されているのではないでしょうか。ただ、個人的には学生時代の英語圏への留学の有無は考慮されず、点数そのものが選考の上の評価対象になっているようにも感じています。

 

私は5年間ドイツ語を勉強していますが、悲しいことにドイツ語ができることは日本の就職活動においては評価されづらいです。英語の場合は留学経験よりもテストの点数が重視されますが、ドイツ語の場合は逆だという実感があります。

正直に言うと、残念ながら就職活動中にドイツ語能力が評価対象になったと感じることは現在に至るまでありません。むしろ、ドイツ語そのものが評価されないならば、何か自分らしいことを加えてアピールできなくてはいけないと悟りました。現在はドイツ語を「自分で選んだ長い付き合いのある言語」というアイデンティティの一部だとみなして、それを生かしながら就活を乗り切るべきだと考えるようになっています。

 

今後、日本で就活の際やビジネスの場において需要が高まる言語は何だと思いますか?個人的には経済発展が目まぐるしい中国語やヒンディー語など挙げられると思います。読者の皆さんはいかがでしょう?

 

個人的に外国語を学んで良かったことは、ひとつの事件や事故の報道を、違う国のニュース番組からも聞いて考えられることです。

その国ごとの意見や観点を理解することができ、ニュースをより体系的に捉えることができます。

また、日本ではほとんど報道されないニュースを知ることができる場合もあり、教養につながると考えています。

 

また、次回の記事でお会いしましょう!

 

Ritsuko

群馬県出身。日•英•独•韓が話せる。 2021年上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、現在グローバル•スタディーズ研究科国際関係論専攻博士前期課程1年在籍。同大学言語教育研究センター所属ドイツ語リーダーを務める。 学部時代にミクロネシアとペルーに短期滞在、フライブルク大学に1年留学したことで、現地の人々の生き方に魅了され価値観が刺激される。現地では日独協会やボランティアに関わる。 学問の関心分野も広がり、国連人口基金インターンシップや包括的リーダーシッププログラムを修了。 社会問題を学術的に分析•考察し、理性的でオリジナリティのある考えを持てる学生を目指す。 好きな食べ物は湯の花饅頭。

Ritsuko