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中世の面影が残るリンブルク

ライトアップされた大聖堂。@tomogermany

中世の面影が残るリンブルク

フランクフルトから北西に車で1時間ほど行ったところに、リンブルク(Limburg)という街があります。

ここは、ガイドブックにもあまり載っていないのですが、ドイツ人観光客には人気の知る人ぞ知る可愛らしい街なのです!

ラーン川から眺める大聖堂@tomogermany



今回は、そんな日帰り旅行にもってこいの穴場観光地、リンブルクをご紹介します!

リンブルクの正式名称はリンブルク・アン・デア・ラーン(Limburg an der Lahn)、ラーン川沿いのリンブルク、といいます。

街の象徴的な建物はなんといっても大聖堂。

旧市街から高台に向かい小道を歩いていくとたどり着くリンブルクの大聖堂は、赤と白のカラフルなもので、ドイツの他の街のシックな大聖堂とはまた違い、厳かさと可愛らしさと兼ねています。

正面から眺める大聖堂@tomogermany



大聖堂の基盤は1206年に建築され始め、ロマネスク様式と初期ゴシック様式が入り混じる形で完成しました。また、1969年から4年かけて外装の改修、その後1995年までかかり内部の精密な修復が行われ、当時の色合いが浮かび上がり、内装の一部にあるロマネスク時代のフレスコ画も当時のように修復されたそうです。

大聖堂を横から。@tomogermany



大聖堂の内部は、白が基調でシックながら明るい空間が広がっています。淡い色合いのフレスコ画やオルガンが見ものです。



また、初めに載せた写真のように、ラーン川にかかる、アルテ・ラーン橋(Alte Lahnbrücke)から眺める大聖堂も絵になるので、ぜひ橋からの景色も楽しんでください。

 

さて、大聖堂のすぐ横にはリンブルク城があります。こちらの歴史は大聖堂よりも古く、7世紀のメロリング朝時代に城のある一角に要塞が築かれその後修道院が建設されました。1200年以降、大聖堂が建設されるにあたり、リンブルグの領主がこの要塞の東側を自分の城館に変え、それが現在のお城の基礎となり、現在この城はリンブルク市のものになっています。



お城からはラーン川と川にかかる高速道路と線路がよく見えます。この日もドイツの新幹線、ICEが見えるかなーと思って少し眺めていたのですが、この日はちょうどドイツ鉄道のストライキの日だったので、全く電車が通ってきませんでした。笑

ラーン川、高速道路と鉄道線路まで見えます。@tomogermany



ドイツ鉄道はよくストライキをするので、ドイツ旅行がまたできるようになった際にはニュースなどをチェックしてストライキの時にはできるだけ電車での移動は避けるようにすることをおすすめします・・・

(私は何度かストライキとぶつかり大変な思いをしました。)

 

さて、リンブルクの街に戻ります。大聖堂の周りはリンブルク旧市街となっており、伝統的なカラフルな木組みの家々が立ち並びます。



アルテ・ラーン橋から旧市街に入るとすぐに目に飛び込んでくるのが、「7つの悪徳の家(Haus des sieben Lasters)」です。この家は16世紀に建てられ、ファサードには聖書に出てくる7つの悪(右から高慢、妬み、不摂生、貧欲、欲望、怒り、怠惰)と解釈される彫刻が施されています。

7つの悪徳の家。@tomogermany



どんどん旧市街の中を進んでいくと、フィッシュマルクト(Fischmarkt)と呼ばれる広場に出ます。広場といってもそこまで大きな広場ではなく、少し開けた場所なのですが、360°細部まで装飾が施されているさまざまな色の木組みの建物に囲まれており、観光客も足を止めて周りを見渡したり写真を撮っていました。

フィッシュマルクト中心部。@tomogermany



ここは街の中でも特に歴史のある地区で、1317年には書物への言及があったそうです。元々は小さな一角だったのですが、時間をかけて17世紀までに現在のようになり、2015年には改修工事が行われました。

奥には魚の装飾がある家も。@tomogermany



街は坂道がたくさんあります。フィッシュマルクトから伸びる道を降りていくと、もう少し大きな広場に到着します。広場で目に入るのは大きな噴水です。この噴水のモチーフとなっているのは、強盗だったフリードリヒ・フォン・ハットシュタインで、別名「酔っ払いの泉(Säuferbrunnen)」と呼ばれています。

酔っ払いの泉。@tomogermany



彼は強盗として1350年代に名を馳せていました。1357年にリンブルクを訪れた際に、自宅を襲撃され、帰るところがなくなり街に残ることになった彼は、商人たちに頼られるようになり、とうとう町長まで上り詰めました。

その背景には、今後彼に襲撃をされないようにするという町人の思惑もあったそうですが、ハットシュタインは町長として街に利益を出すことに貢献したそうです。

彼は「Runkeler Rote」という憧れのワイン樽を手に入れたかったため、一気飲みができたら樽をプレゼントするという誘いに乗ったという話から、酔っ払いの泉が生まれたそうです。



リンブルクの旧市街はこじんまりとまとまっているため、半日あれば十分に見て回れますが、クリスマスシーズンもおすすめです。コロナの関係で、今年はクリスマスマーケットが開かれるか分かりませんが、以前訪れた際は、町中にクリスマスツリーが立っていたり、夜は点灯されていたり、また夏とは違う趣がありました。



 



そんな年中楽しめる可愛らしいリンブルク、ドイツの新幹線、ICEも止まるため、フランクフルトからのアクセスは簡単です!



ぜひフランクフルトを訪れ、時間がある際は足を運んでみてください♪



 

もこちゃん

茨城県出身。幼いときにスイスに住んだことがきっかけで海外、特にドイツ語圏に興味を持つ。大学卒業後、ドイツ関係の仕事を転々とし、2018年からフランクフルトに在住。仕事後や週末の趣味はボルダリングやドイツ国内、ヨーロッパ各地の小旅行。

もこちゃん