世界一がある小さな街、ウルム
ドイツ南部バーデン・ヴュルテンベルク州とバイエルン州の境界に位置し、ドナウ川が流れるウルム(Ulm)という街に行ってきました。
フランクフルトからはシュトゥットガルト乗り換えでローカル電車を乗り継いて4時間ほどかかるため、アクセスが良いとは言い難いですが、訪れる価値があるほど可愛らしい街でした。
ウルムには、ある世界一のものがあります。みなさんはご存知でしょうか?
それは、ミュンスターと呼ばれるウルム大聖堂(Ulmer Münster)の塔の高さです。これは教会の塔としては世界一の高さを誇り、161.53mもあるそうです。
教会の建築自体は14世紀に始まりましたが、1500年中盤から1800年前半まで工事が中断されていたこともあり、塔が完成したのは1890年ごろとされています。
また、驚くべきことに、第二次世界大戦でウルムの街の大半が破壊された際にも、この大聖堂は無事だったそう。
さて、教会のステンドグラスをよく見ると、面白い発見があります。
それは、ウルム出身の物理学者アルベルト・アインシュタインをモチーフにしたステンドグラスなのです。戦争による大規模な破壊を逃れた大聖堂ですが、ステンドグラスは部分的に破壊されてしまい、青を基調としたビックバンを表しているこのステンドグラスは1985年に改修されました。
1879年にウルムで生まれたアインシュタインは、ウルムで最も有名な人として、今でも街の至る所に面影が残っています。
教会を見ると、なんとなく建築様式や建物がフランスのアルザス地域ストラスブールにある大聖堂と似ているなあ、と感じたところ、なんとストラスブールの設計者の一人がこのウルムの大聖堂の総監督に当たっていたとのことです!少し似ているのも偶然ではなかったのですね。
大聖堂には展望台が143m地点にあり、ドナウ川まで一望できるそうです。残念ながら私が立ち寄った日は時間の関係で上まで上がることができませんでしたが、体力に自信のある方は是非!
また大聖堂の周りは大広場になっており、他の観光地のようにお土産ショップが立ち並ぶこともなく、綺麗な景観を保っていました。
さて、もう一つ忘れてはならない歴史的建造物があります。それは市役所。黄土色の壁一面に装飾がなされ、真ん中には立派な天文時計を見ることができます。1370年に建てられ、第二次世界大戦で被害を受けた後、修復されました。
市役所から坂道を降りていくと、ドナウ川に出ます。ドナウ川沿いにはレンガの城壁が続き、その上はとても気持ちのよい遊歩道になっています。
ここから、ドナウ川を挟んでバイエルン州に属するノイウルム(Neu-Ulm)という街が一望できます。
遊歩道を歩いていくと茶色い塔が見えてきました。メツカートゥルム(Metzgerturm、肉屋の塔)と呼ばれるこの塔は1340年頃に建てられました。微妙に傾いているこの塔は、当時ここで食肉処理をしていた肉屋が、粗悪な品質の肉を提供していたために罰せられるのを恐れ、市長が怒って入ってきた時に隅の角(かど)に隠れるため、という言われがあるそうです。本当だったのでしょうか。気になります。
城壁をずっと歩いていくと、フィッシャーフィアテル(Fischerviertel、漁師の地区)というエリアに出ます。ここの建物や風景が、もうなんとも可愛らしく絵になるのです!
至る所に小川が流れており、時間が止まったかのような静かな雰囲気を作り出しています。中でも外せないのは、シーフェスハウス(Schiefes Haus、傾いた家)という名前の通り傾いている家です。13世紀から漁師が代々住んでいたそうですが、1995年からはホテルになっています。そして、世界一傾いた家として1997年にはギネスブックに登録されました。中がどうなっているか気になったので、次回はここに泊まってみたいです!
もう一つはショーネスハウス(Schönes Haus、綺麗な家)という名前の建物です。1717年に建てられ、ベオグラードの街の様子が描かれています。壁際にはgespottと呼ばれるウルム伝統のボートが立てかけられています。
さて、ウルムといえば、ドイツ語の早口言葉もあります。
Im Ulm und um Ulm und um Ulm herum.
(イム ウルム ウント ウム ウルム ウント ウム ウルム ヘルム、意味はウルム市、ウルム市の周り、そしてウルム市の周り一周)
短いけれども意外と難しいです。笑
ドナウ川沿いの可愛らしい静かな街、ウルムを訪れる際は是非、早口言葉も思い出してみてください♪
ではでは!