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Vol.5 新しくものを買わない生活

Vol.5 新しくものを買わない生活

きっと最近日本でもよく聞くようになっている言葉「サステナブルな生活」・「エシカルな生活」とは、一体なんなのでしょう?

 

サステナブルとは「持続可能な」という意味で、あるものをずっと大切に長く使うこと、または新しい”アイディア”をプラスして再利用すること。そうすることでゴミを出さず、ずっと一緒に生活していく仲間を増やしていきます。

 

エシカルとは、倫理的・道徳的な観点を大切にすること。ちょっと難しいことのように感じるかも知れませんが、これは物事の表面だけでなく、裏側もきちんと考えて選ぶようにする、ということ。

 

例えば、この商品を作っている会社の利益は何に使われているのか? 何か社会貢献をしている会社であるのか?「自分が支払った代金の結果が何に繋がっていくのか」。それを考えて買い物をすることが、エシカルな生活を送ることにつながると思います。

 

私はチョコレートが大好きなのですが、ドイツには5枚購入すると1本木を植えてくれる活動をしている魔法の板チョコをつくっている会社があることを最近知りました。

 

それから、チョコが食べたい!と思ったときは、その会社の板チョコを購入するようにしています。

 

このように私は日常生活でサステナブル・エシカルを意識して過ごしているのですが

新しくものを買うシチュエーションで以下のことを考えるようにしています。

 

・これは本当に必要なものなのか?

・これに支払った代金の結果は、何に繋がるのか?

 

そして、ベルリンらしいもう一つの項目…

・これは、もしかしたら道で拾えるんじゃないのだろうか?

 

そう、ここベルリンでは不要になったものを路上に放置し、そこに通りかかった次に必要だと思った人がピックアップしていく、という面白い文化があります。

 

ベルリン以外の都市出身の友人に聞いても、こういう文化が根付いているは他になく、ベルリン独特の文化のようです。

 

それは宝探しのようで、街全体で行っている究極のサステナブル活動だと思っています。

 

今ベルリンはやっとロックダウンが緩和され始めてきていますが、昨年の11月から約7ヶ月間は、スーパーやドラックストアなどの日常必需品以外のお店はすべてしまっており、それ以外の買い物はすべてオンラインに頼る必要がありました。

 

そのロックダウン中に、こっそり始めたこと。それが、このシチュエーションを生かして「新しくものを買わない生活を極める」ということ。

 

試してみると、以外と”新しいもの”って必要ないことがわかりました。

ロックダウン中は、食料と日常生活で必要なシャンプーや石鹸、トイレットペーパーなどぐらいしか購入していません。

 

それでも、何か新しいものを迎い入れるということは、真っ暗な冬とロックダウン中の心には必要なことでした。そこで大活躍したのが、この「路上の宝探し=zu verschicken」システム。

 

路上の宝探し=zu verschickenを極める


 

「zu verschicken」には、2タイプがあります。

 

①ダンボールや袋にものを入れて、道端に放置するパターン。

②ご近所さんたちが持寄る「zu verschicken」用の棚などが設置されているパターン。

 

①は神出鬼没ですが、ある程度このあたりでよく見かけるなと散歩する中で把握できるようになりました。

②は場所が固定されているので、毎日の散歩コースに組み込んでいます!

 

そして、なんだかこれをいうとスピリチュアルな感じに聞こえてしまいますが

「これがあったらいいなあ〜」と軽めに思いながら(軽めがポイント。強い念力を送ると、なんだか出会えない気がします)散歩していると、欲しかったものに出会えます。

 

そんな一期一会で運命的な出会いが、さらに大切にしよう!と思えるのです。

 

以下、私がロックダウン中に道端で出会った必要なものたちです。

 

1、ジョウロ


3月末から、友人と小さな畑を実験的に始めました。

種を植えて、毎日の水あげが楽しみにしていましたが、ジョウロがなく、コップで水をあげていました。しかし、ある日の散歩で、持ち寄り「zu verschicken」の棚で黄色の可愛いジョウロを見つけます!!これは形も可愛いし、畑づくりのテンションも上がる!と即座に持ち帰りを決定。重宝しています。

 

2、ティーポットと可愛いカップたち


実は7月から、ついにベルリンで一人暮らしを始めます。以前にも記事に書いたことがありますが、ベルリンでの部屋探しはとても難しく、多くの人たちがルームシェアをしています。私もずっと誰かとルームシェアする生活を送っていました。

 

しかし、コロナ・ロックダウン・ホームオフィスが主流になると、常にみんな家にいることが多くなり、ルームシェアでの生活で難しいことがたくさん出てきました。

 

私はもともと家で仕事をするスタイルだったのですが、一人で静かに部屋にこもらないと集中できないタイプで、その部分でも難しさを感じていました。

 

今回友人が日本に完全帰国することになり、その一人暮らしの部屋を譲ってもらう形で、お部屋が決まりました。なので絶賛、新生活に向けて食器や雑貨などを集めているのです。

 

そして、こちらがその道端の宝探しで出会ったものたち。

 


 


 

3、夏に向けたベルリンらしいワンピース


夏になると、身軽なワンピースを1枚まとっただけの身軽な格好で街を歩く人たちが増えます。私も夏に向けて、身動きしやすい可愛いワンピースが欲しいな、と思っていました。

 

するとある日の散歩で、持ち寄り「zu verschicken」の棚に可愛い水玉のワンピースがかけられているのを見つけました!

 

状態も良く、洗濯して置いてあるようで、柔軟剤のいい匂いがしました。念のため、家の洗濯機でもう一度洗濯。試しに来てみると、体を締め付けず、丈もちょうどいい!

 

この夏、大活用できそうです!

 

以上、今シーズンのロックダウンで道端で拾ったものたちのご紹介でした◎

もちろん拾うばかりではなく、私自身も必要でなくなったモノを「zu verschicken」として道端に放置するようにしています。

 

この間は、友人にせがまれて作りすぎた折り紙たちと、着なくなったお洋服や、拾ったけれどやっぱり必要ではなかったものたちも、路上に置いてきました。それらは1日も立たずに、新しい拾主の元へ旅立っていきました。

 

このように、順調に新しいものを買わない生活を送っている毎日です。

 

これこそ循環するサステナブルで、モノを捨てずに大切にし続けるエシカルな精神に基づいた究極の生活なのではないかなと思っています。笑

 

今ベルリンでは、24時間以内のコロナ検査陰性証明書とお店に予約をとる形で、日常生活必需品以外のお店も行けるようになっています。

 

でも、今ではむしろこの”新しいものを買わない生活”を楽しみたいと思って生活している自分がいます◎

 

KiKi

イラストレーター/コラムニスト

西伊豆の小さな美しい村出身。京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業後、同大学マンガ学科研究室にて副手として3年間勤務。その後フリーランスに。2016年夏よりベルリンに移住。例えば、私のように小さな集落で暮らしている子が旅立つ時期を迎えたとき、『世界はこんなにも広くて、こんなにも選択肢があるんだ』と気付けるようなものを残していけたら、最高だなと想いながら絵と文章をかいています。

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