雨ニモ風ニモ○○○ニモ!?マケズ ~親子でたくましくなるドイツ育児~
こんにちは、シュトゥットガルトで子育てに奮闘中のふくいWUみらいです。
今回はドイツでの「幼稚園生活その1【服装について】」をお届けします。
服装といっても、特に園指定の制服があるわけではないんですが、まるで制服かのようにみんなが着ているものがあるんです。その名もマッチホーゼ(Matschhose)!についてのお話です。
ドイツの幼稚園では「持ち物リスト」の中に必ずと言っていいほど入っている、マッチホーゼ(Matschhose)
マッチホーゼ(Matschhose)とは、日本語に直訳すると泥ズボンで、服の上から着る防水ズボンのことです。いわゆる「つなぎ」スタイルで、またそこに長靴を必ずセットで履くもんだから、もう魚市場のおっさんにしか見えず。
冬には中がフリース素材のスノーパンツに近い防寒効果のあるタイプを持たせます。
まあそれも、分厚いつなぎを着た魚屋さんであることに変わりはありませんが。
説明が長くなったわりにあまりピンとこないと思うので、百聞は一見に如かず。イラストをどうぞ。
このマッチホーゼと長靴は幼稚園にセットで常置しておきます。つまり、『常に』履いて遊ぶということです。
そうです、
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、
雪ニモ雹ニモ霰ニモマケズ、
子どもは毎日外遊び数時間。
これがドイツの幼稚園では当たり前の光景です。
特に私たちの住むシュトゥットガルトは、かの有名なシュタイナー教育(※)の発祥の地(シュタイナー校の第一校目ができた都市)です。
なので、特にシュタイナー校でなくても、やっぱり幼少期のうちは体をしっかり使って自然の中で遊ぶことが大切という考えが根付いているように感じます。
そうやって考えると確かに、文字の練習も7歳(小学校に入って)から、幼稚園のおもちゃも木製や森から拾ってきた木の実が中心だったりと、シュタイナー教育の影響があるのかなと思い当たる点が多々あります。
※シュタイナー教育(独: Waldorfpädagogik、英:Waldorf education)とは、20世紀はじめのオーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した「教育芸術」(独:Erziehungskunst)としての教育思想および実践のこと。1919年にドイツ南部ヴュルテンベルク州シュトゥットガルトに初めての学校が開かれた。彼は0歳から7歳の時期は体を作ることが大切で、幼児期に体がしっかり成長することが、やがて意志力や行動力を生み出すための源になると考えた。(一貫教育の一部抜粋)
「森の週」(Waldwoche/ヴァルトヴォーヘ)は登園ならず、登森の1週間
さらに面白いのが、幼稚園の年間行事の中にある、「森の週」(Waldwoche/ヴァルトヴォーヘ)。
名前そのままの行事で、その1週間は幼稚園ではなく、森に直接通うというもの。
毎日先生と一緒に森の中を探検しながら葉っぱや小枝を拾ったり、動物の観察をしたりと、それはもう楽しそうです。もちろんその週に雨が降ろうが、風が吹こうが(うちの子の幼稚園は毎年初夏に行われるので雪はないかな)、マッチホーゼを履いて登園ならず登森です。
毎日泥んこになって、ポケットに枝やら石やらを詰め込んで帰ってきて、宝物箱に嬉しそうにしまう息子をみていると、なんだか某ハムメーカーのCMが頭に浮かびます。
「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」
マダニ(Zecke(n)/ツェッケン)は恐ろしい!?
そして、重要なことを忘れていました。この週に森から持って帰ってくるのは、枝やら石やらだけではないのです。マダニ(Zecke(n)/ツェッケン)も持って帰ってくるのです。
この週は、「帰宅したら毎日ツェッケンをチェックしてください」と先生から言われます。
幼稚園初年度の「森の週」には、え?ツェッケンとは何ぞや?と辞書を調べるところから始まりました。
マダニとは、別名吸血ダニと呼ばれる黒い小さな虫で、一度吸い付いたら皮膚に頭を食い込ませて血を吸うという。そして放っておくとそのまま血を吸い続け、どんどん膨らんでいくというなんとも気持ちの悪いダニです。
さらに、中には脳炎ウィルスを媒介するマダニがいて、その媒介するマダニに咬まれると脳炎を発症し最悪の場合死に至ることもあります。
マダニに咬まれた人全員が脳炎を発症するわけではありませんが、特に子どもや高齢者は強い症状が出ることが多いと小児科医から説明を受けました。
「それなら予防接種を受けたい」
と言うと、そこで医者は、
「推奨は三歳からなんだけど、、、」
と当時二歳だった長男を前に渋り出したので、
「でも、来月には森の週があるんです!」
と押し切ってなんとか受けさせることができました。
死に至ることもあると説明しておいて、でも予防接種はまだよと言われても、当時はドイツにきて間もなく、特に心配性だった母(私)には通じません。
ドイツ南部、特に緑の多い地域に夏発生するので、ここシュトゥットガルト(南西部)で、初夏に、毎日森(緑しかないところ)に行くなんて、マダニに咬んでください~と言ってるようなものですよね。
我が家の長男は、ドイツ一年目で心配性の私がマッチホーゼの下にも長ズボン長靴下を履かせた上にマダニ除けスプレーをしていたので免れましたが、実際に幼稚園のクラスメイトも先生も、何匹か家にお持ち帰りしていたようです。
そんなママ友に、「もしマダニに咬まれたらどうするの?」ときくと、
薬局などで売っているマダニを取る専用のカードやピンセットで自分で取る派の人と、
そんなのマダニの頭が皮膚の中に残るのよ。絶対に医者に行かなきゃ派の人とに意見が分かれていました。
そして、幼稚園では「マダニを教員が取ってもいいか」同意書にサインを求められます。説明を読むと、幼稚園の先生はマダニを取る研修を受けているので、もし幼稚園にいるときにマダニに咬まれた場合、見つけた先生が除去処置をすることを許可するか。というものでした。
私はサインしましたが、このママ友たちの様子だと同意せずに、自分で医者に連れていく選択をする人もいるんだろうなと。
そもそもこんな同意書があること自体、日本で生まれ育った私には興味深いですが。
ただ、私はとても恐ろしい生き物のようにマダニのことを書いてしまいましたが、
地元では
「ツェッケンなんてそっこら中にいるじゃない。私もうちの犬も毎年咬まれてるけど、ぴんぴんしてるわ。大丈夫よ。」
と大らかな反応の人もたくさんいます。
実際に先週小児科で、二男(1歳10か月)にも2歳健診のときにマダニの予防接種をしたいと言ったところその日の担当だった医者は、
「3歳以上じゃないとだめだめ!脳炎はお年寄り以外はそんな怖がることないから、毎日ツェッケンが付いていないか体中よく調べれば大丈夫よ」
と大らかタイプ反応の方でした。
私もドイツ生活にも子育てにも慣れたのか、
長男の時のように
「どうしても受けたい」
と食い下がることはしませんでした。
私一人の中でも時が経てば考え方が変わったように、慣れてうまく付き合えば、マダニをそこまで怖がる必要はないのかもしれません。
朝目覚めたら、なんと子どもの足にマダニを発見!どうする???
また、ママ友にも色んな考え方の人がいて、心配性タイプ、大らかタイプ、そして笑いの絶えない個性派タイプに分かれます。
ここで、マダニを自分で取る派の中にいた、個性派タイプママ友のお話をさせてください。
彼女が朝目覚めたら、なんと子どもの足にマダニを発見!
大らかタイプと個性派タイプの混合の彼女は、とりあえず最初は少し引っ張ってみたらしいです。
(絶対に真似しないでください)
けれどもやっぱり取れず。
(当然やろ!むしろ下手に取れなくてよかった)
でもその日は朝から家族で飛行機に乗らなくてはいけなかったので、小児科に行く時間もなく
(ほら、ダニの一部が皮膚に残ってたら、絶対に医者行かないとやし、下手に取れへんでよかったんやで)
でも、なんとかしないと!と焦って色々ググり、
なぜか選んだ検索結果が「バターで取る」。
(でたー、個性!(笑)なんでそれを選んだ。他にもあったやろうに。)
彼女いわく
「バターをマダニの上にのせて待つこと5分…バターが溶けたらペロっと取れた。」
(何おいしそうに言うてんねん!!!
しかし、絶対とは言いませんが真似しないでください。万が一真似するときは、自己責任でお願いいたします。)
では最後にもう一度やり直しまして。。。
夏のマダニにはバターをのせて
子どもは元気に外遊び
わんぱくでもいい
親子ともに
たくましく育つぜ!ドイツ育児