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ニッポンでドイツ人をやってる私の悩み

ニッポンでドイツ人をやってる私の悩み

みなさん、明けましておめでとうございます。今年は昨年より良い年になりますように!!

 

さて今回はコロナとは全く関係のない悩みです。

 

私(東京在住)は初対面で「どちらの国の方?」と聞かれることが多いです。そんな時は決まって「日本とドイツです」と答えます。しかし何故だか「日本」の部分はスルーされることが多く、「あ、ドイツの方なんですね!」なんて返されたりします。

 

でも悩みはそこではありません。

 

その後、会話の中で「ドイツ」について聞かれることが多いです。ドイツの食事や学校などに関するものまで幅広く質問されますが、私は自分が南ドイツはバイエルン州ミュンヘンの出身だということを相手に伝えつつ、思い出話も交えながら南ドイツの話をします。「昔からSchweinshaxeはよく食べますよ~」とかね。

 

そうすると、最近は相手から「東ドイツではどうなんですか?」と聞かれることが多くなってきました。

 

旧東ドイツや、その旧東ドイツのあった地域の「今」について興味を持つ人が増えたのは大変喜ばしいことなのですが・・・・私自身に関しては、それらの地域には行ったことがなく、現地の食生活や慣習についても詳しくないので、「東ドイツは?」と聞かれることが悩みなのでした(笑)

 

大阪出身の日本人が外国に行った時に「日本の大阪ではこうなんですよ~」と話したら、外国人から「でも、茨城ではどうなんですか??」と聞かれるような感じです。確かに茨城も大阪も日本には変わりないわけですが、茨城に行ったことのない関西人の場合、「茨城のこと」を「直球」で聞かれると困ってしまうかもしれません。

 

その国で育っていても、その国の「全ての地域の風習や慣習」について知っているわけではない人が(自分も含めて)やっぱり多いんじゃないでしょうか。

 

80年代のドイツでは・・・・・」

 

私は記事に「80年代のドイツでは・・・・」と書くことがありますが、この場合も「それは西ドイツの話ですよね?当時は西ドイツと東ドイツは分かれていたのですから、いっしょくたに語るのはどうかと思います。東ドイツではどうだったんですか?」なんて厳しめのツッコミをいただくことがあります。

南ドイツはバイエルン州ミュンヘンの80年代の状況をことを書くときに「80年代のドイツでは・・・」ではなく「80年代の西ドイツでは・・・」と書けば、「誤解」はないのかもしれません。

 

しかし1989年に西ドイツと東ドイツを隔てていた壁が壊れ、翌1990年にドイツが統一された時、それは「東ドイツが西ドイツ(ドイツ連邦共和国)に編入される形」で行われました。

 

「ドイツ」という言い方が「ドイツ連邦共和国」の省略だとすると、「80年代のドイツでは・・・」は当時のドイツ連邦共和国すなわち西ドイツを指しているのです。

 

逆に80年代の「東ドイツ」の話をするのであれば、私は「ドイツ」ではなく、「旧東ドイツでは・・・・」とか「当時の東ドイツでは・・・」という言い方をします。

 

もし当時の壁があった頃の話をする時に「西ドイツ・東ドイツ」というふうに「西・東」をつけなければいけないのだとしたら、私は「西ドイツ出身」であるため、プロフィールにもそう書かなければいけないことになります。しかしプロフィールに「サンドラ・ヘフェリン、西ドイツ出身」な~んて書いたら、それはそれで統一して30年以上も経っているのですから、「わざわざ西って書くなんて・・・」とドイツ人の同胞からツッコミが入りそうです(笑)

 

そう考えると、これはMan kann es nicht jedem recht machen...(和訳「全ての人を満足させることはできない」)という問題なのですね~

 

Man kann es nicht jedem recht machen. といえば、数年前にある日本人からSNSで「ドイツの民族衣装ってどんな感じですか?」と聞かれたので、「バイエルンはDirndl がありますよ~」と写真を貼りつけたら、それを見ていた首都出身のドイツ人から「ドイツの他の地域の民族衣装も紹介すべきでは?」「バイエルンの民族衣装=ドイツの民族衣装ではない!」と怒られてしまいました。ただ南ドイツはバイエルン州ミュンヘン出身の私からすると、「バイエルンだってドイツですよ!」と言いたいです(笑)

 

そんなこんなでニッポンとドイツを比べながら「ああでもない、こうでもない」と言っているのはお気楽な仕事(?)だと思われがちですが、色んなところに敵(?)を作ることでもあるのでした。

 

でもこれが私の宿命(?)だと思って、2021年もドイツとニッポンについて色々と発信していきます!

 

★「西ドイツ」&「東ドイツ」の話を、このあいだYoutubeでもお話ししました。ぜひご覧ください。サンドラの真剣な悩み相談 ドイツって言えば○○の事です

 

サンドラ・ヘフェリン

 

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン