【SZ familieのイラストを描きました!】ドイツに来て、4年。遂に夢が叶いました ! !
こんにちは、ベルリン在住イラストレーター・KiKiです。
私は4年前の2016年夏に、オペアとしてドイツ・ベルリンにやってきました。
オペアとは“AuPair”と書き、ホストファミリーの家でホームステイをしながら、主に子供達の世話、簡単な家事のお手伝いという”お仕事“をしながら、学費補助を得て語学学校にも通うことができる国際交流プログラムです。
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詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
▶︎もっといろんな人に知ってほしい!!『オペア留学って何?@ベルリン』
オペア留学の経験についての連載は、こちら◎
▶︎オペア留学ってなに?(連載2017.06〜2019.03)
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4年前に私は毎日ドイツの子供たちと遊びながら、ホストファミリーの家族の一員としてドイツ語と文化を学んでいました。その先にある夢を叶えるために。
その夢は様々な人種が暮らし様々な感覚が飛び交うこの街で、絵のお仕事を続けて、挑戦してくということ。そしてホストキッズたちと毎日過ごす中で、こども向けの媒体でお仕事としてイラストを描きたいという思いが強くなり、そして大きな夢になっていきました。
その4年後の2020年夏、遂にその夢が叶ったのです…!今回は、そのことについてお話させてください。
Süddeutsche Zeitung Familieのメイン記事のイラストを担当しました!
今回素敵なご縁あって、ドイツの新聞・全国紙『Süddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)』内の毎週土曜日に発行されるこども向け新聞『SZ familie』、2020年7月11日発売のメイン記事のイラストを描かせて頂きました!
▶︎Süddeutsche Zeitung
▶︎SZ familie
記事のテーマは(アスタリスク*)に関して。 「Lieber Kunde」とだけ呼ばれたくない女性が、現在法廷で2通の手紙をめぐって争っています。
「Lieber Kunde」は、お客様という意味ですが、それは男性を意味します。 女性なら「Liebe Kundin」と書きます。 このテーマは、私たちの日本語にはないドイツ語特有の文法に関わるもので、日本人の私にとっては少し難しかったのですが、非常に興味深いテーマでした。
アスタリスクを使用して "Kund * in"というふうに書くと、男性と女性の両方のお客様、という意味になります。
このイラストは「Kunde」と「Kundin」がアスタリスクを待っていて、 そして一緒に「Kund * in」になることを嬉しく思っている様子を表しています◎
実際の記事だけは、オンラインで読むことが可能です。
▶︎Krieg der Sternchen
ドイツらしいテーマで、そしてとても考えさせられる内容の記事です。
このイラストが、こどもたちがこのテーマについて考えるきっかけや、手助けになれたらとても嬉しいです。
諦めないで、自分を信じて続けていくことの大切さを学びました。
私の地元はとても小さな村で、一番近いまともなお店まで最低親の車で1時間かかります。電車も、バスも、とにかくそういった交通機関がありません。変わりにとても美しい大自然に囲まれて育ちました。
大自然の中で遊ぶことも大好きでしたが、それよりも何よりも真っ白い紙にカラフルなペンたちと自分の頭の中の空想で永遠に遊ぶことができる”お絵描き”が何より大好きでした。
そんな私の夢は、物心ついたときからずっと、イラストレーターになることです。
そのまま何も迷うことなく美大へ進み、ひたすら絵を描き続けましたが、一つの大きな壁が立ちはだかります。
『あなたの絵は個性的すぎる。使いにくい。』
”個性的”という言葉は、私にとってコンプレックスに変わっていきました。
今幾つかのクライアント様とお仕事させて頂けるようになり、希望と要望に答えることもイラストレーターにとって大切なことだということは充分理解していて、クライアント様に喜んでもらうためにイラストを描くこともとても楽しいと感じます。
しかし当時の自分は、服装や言動も”個性的”扱いされてしまうことが苦になり、ただただ八方塞がりになっていました。その頃のイラストも今見てみると、少し苦しそうな表情をしているようにも感じます。
そんなこともあり”みんなが違うことが当たり前の世界に行きたい”と考え、紆余曲折あり、ご縁があって国際都市で様々な国の人たちが住むドイツ・ベルリンに辿り着きました。
ホストファミリーに教えてもらったドイツ人の精神、”自分の意見を主張することの大切さ”、”自分は自分、他人は他人”は、私にとても必要な要素でした。
そしてベルリンで、ドイツ以外の様々な国の人たちと出会い、様々な文化や価値観に触れることで、尖っていた私の心は丸くなっていきました。それと同時に、イラストもどんどん前向きに変化していきました。
そんな生活の中でとても嬉しいことに、Young Germany様をはじめ、一緒にお仕事をしてくださるクライアント様も増えていき、素敵な経験をたくさんさせて頂きました。本当に感謝しています。
しかし、ずっとこどもたちのための媒体でイラストのお仕事をするということは叶いませんでした。
様々な媒体にたくさん売り込みメールを送ったり、昨年はイタリア・ボローニャで毎年開催される世界最大の国際絵本見本市に行き、世界各国から集まってきた絵本出版社の各ブースをまわって、ポートフォリオを見てもらいました。それでも何も繋がらず、それでも諦めず、絵を描き続けました。
instagramも重要な営業ツールとして丁寧な投稿を心がけているのですが、ある日、たくさんの”LIKE"を押してくださったアカウントがありました。辿ってそのアカウントを見てみると、SZ familieのアートディレクターさんだったのです。
とても嬉しくて、ドイツ語で”たくさんLIKEを押してくれてありがとうございます”とメッセージを送ると、”あなたのイラストがとても好きです。SZ familieにも、きっと合うと思います。あなたに合ったテーマの記事があったらご連絡します”とお返事を頂けたのです…!
しかし今まで多くの営業メールを送り、返事があっても”機会があれば、ご連絡します”、そしてその機会はずっとやってこない…。ということがほとんど。
嬉しさの反面、社交辞令かな…と期待しすぎないように、はやる気持ちを抑えていました。
でも、本当にお仕事のご依頼を下さったのです…!
それから全てご依頼のメールをドイツ語で頂き、今まで勉強してきたドイツ語が報われるときがきた!とワクワクしながらも難しいテーマに頭をたくさん悩ませました。
記事内容の関係で多少の修正指示はあったものの、基本”あなたのイラストが好きです。あなたのイラストらしく描いてください”という指示で、のびのびと心を込めて描かせて頂けたことが、とても嬉しかったです。
諦めずに、考えられる可能性を1つずつこなしていく、続けていく。そうして、ある日見つけてもらえるチャンスが巡ってきたら、それを絶対に一生懸命こなす。それの繰り返しだなあと、改めて実感した出来事でした。
しかしこのチャンスに巡り会えて掴むことができたのは、ベルリンにやってきて、ドイツの文化をはじめ様々な国の文化に触れたことによって、ほぐされた心の変化によるものだと思っています。
改めて、私の人生の中でこんな素敵な機会を下さったドイツとSZ familieに心から感謝します。
これからの夢
もちろん今頂いているお仕事をこれからも全力でしていきたいのですが、もっとこども向けの雑誌の挿絵や、絵本をかくことが、これからの大きな夢です。
例えば、私のように小さい集落で暮らしている子が、そこから旅立つ時期を迎えたときに、『世界はこんなにも広くて、こんなにも選択肢があるんだ』って気づけるようなものを残していけたら、最高だなと願っています。
そして”みんなが違うことが当たり前の世界に行きたい”と思ってやってきましたが、4年間国際都市ベルリンで暮らしてみて感じることは、”みんな違う人間で、みんな同じ地球人”だということ。
何人だからこう、というステレオタイプに全く当てはまる人なんていうのはいなくって、私たち日本人は”外国人”とひとくくりにカテゴライズしがちですが、言語がわかるようになってきて、改めて”同じ人間”なんだと実感しました。
地球全体で、私たち人間というものを捉えると、
同じ人間ですが、みんな個性を持つ違う人間で、みんな同じ地球人なんです。
この言葉を日本に置き換えて表現すると、
同じ人間ですが、みんな個性をみんな違う人間で、みんな同じ日本人なんです。と、いうこと。
うまく言葉で表現できないのですが、今では
みんなが違うのは当たり前で、それは日本でも、世界のどの国でも同じこと。
でも私たちは同じ人間で、同じ地球に住む地球人なんだということがだんだんわかってきました。
だから今では、個性があるということに関してはコンプレックスを持っていません。
それは誰もが持っている当たり前のことだから。
これからは、この個性とも仲良くして、より良いイラストレーションを描けるようにしていきたいと考えています。