【今週のドイツ語】auf Holz klopfen
auf Holz klopfen
アウフ ホルツ クロプフェン
auf は 主に「〜の上で、〜の上に、〜の上を」などの意味で使う前置詞
Holzは、素材としての「木」(英語のwood)、
klopfenは、トントンと叩く、ノックする(英語のknock)という意味で、
直訳はそのまま「木を叩く」となります。
これ、実は口で「木を叩く」というだけではなく、実際に行為として行います。つまりドイツでは、木でできた机などを叩くことがあるのです。誰かに対して幸運を祈る時や、(自分も含め)不運や不幸な出来事が起こらないように祈る(悪霊を追い払いたい)時などに使います。
例えば、大きな病気をしたけれどなんとか治療がうまくいって体調が回復してきた。あともう少しで全快するのでこのまま何事もなく順調に行ってほしい、という時。悪いことが起こらないようにという思いを込めて「木を叩こう」と言うこともできますし、実際に机などをコンコンコンと叩く人もいます。
また、なんだか運も良くて仕事のプロジェクトが順調に進んでいるので、この順調さが続くように祈って「木を叩こう」と言う(または木を叩く)こともできます。
なぜこのように木を叩くようになったのか、由来を少し調べてみるといくつかの説が見つかりました。
1つ目の説は、キリストが架けられた十字架に由来し、その昔十字架の一部として売られていた木の欠片を触ると幸運が訪れると言われていたことから派生したというもの。
2つ目の説は、人々が木造の家で暮らしていた時代(日本ではまだまだ木造建築は主流ですが)、家の中で自分たちの幸せを話している時に、それを聞いた悪霊を引き寄せてしまわないように(悪霊に聞こえないように)木でできた壁を叩いたことから来ているというもの。
そして3つ目の説は、昔、鉱山では木材で柱などを作った地下の坑道で人々が働いており、労働者たちはその木材が腐っていないか、中に入って大丈夫かを知るためにまず木を叩いて確認したことから来ている、というものです。
どの説が正しいのかはわかりませんが、ドイツで誰かが机や壁などを叩いていても不思議に思わないでくださいね!
今週のドイツ語
©ドイツ大使館
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