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【今週のドイツ語】Luftbrücke

【今週のドイツ語】Luftbrücke

Luftbrücke

ルフトブリュッケ

 

Luft はここでは(そら)、Brücke はという意味なので、直訳は「空の橋」となります。

Luft は英語のAir なので、空気という意味もありますが、Luftpost = Airmail = 航空便 のように、「航空機による」という意味にもなります。

 

このLuftbrücke は歴史の授業などで聞いたことがある人もいるでしょうか。

第二次世界大戦後のドイツは東西に分けられ、西側を米・英・仏の3カ国に、東側を旧ソ連によって統治されていました。

ただし分断前の首都であるベルリンは、さらに西ベルリンと東ベルリンに分けられ、西ベルリンは西ドイツの領土となりました。ベルリン自体は東ドイツ領内にあるため、西ベルリンは事実上、西ドイツの飛び地となりました。

次第に東西両陣営の対立が深まると、1948年、ソ連は西ドイツから西ベルリンへの陸路・水路を完全に封鎖しました。ベルリンの周囲と、市内を通る地区境界線には、東ドイツの国境警備隊が検問所を設けました。周辺地域からベルリンへの電力と食糧、様々な物資の供給も遮断されました。


こうして当時220万人ほどの西ベルリン市民に加えて2万人を超す米・英・仏の兵士(とその家族)が暮らしていた西ベルリンの生活が危機にさらされると、アメリカやイギリスを中心とする西側陣営はすぐさま支援を開始。唯一取り決めによって遮断されていなかった空路を使って、西ベルリンに物資を供給し、西ベルリン市民を救うことにしたのです。

©dpa

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ソ連が封鎖をあきらめ解除するまでの間、約1年にわたり、食料・医薬品・その他生活必需品に加え燃料となる石炭やガソリンなど、ありとあらゆる物資を空輸で供給しつづけ、西ベルリンの市民生活を支えました。

この空輸作戦を、Berliner Luftbrücke ベルリンの空の橋(架け橋)」と呼ぶのです。

実際、大量の物資を積んだ航空機は、約3分間隔で次から次へと西ベルリンへ飛んで来ていました。

これだけの頻度で飛行機が飛んでいると、まるで飛行機から次の飛行機へ飛び移れそうなほどたくさんの機体が連なって見え、本当に空に希望の橋がかかっているように見えたのでしょう。

 

さて、長くなりましたが、これが本来のLuftbrückeの説明でした。

話を現在に戻すと、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界の多くの国が外国人に対して入国制限をしたり、国境を封鎖したりする動きが広がっています。国と国とを結ぶ航空便が完全に停止してしまったところもあります。

その結果、旅行や出張などの理由でドイツ以外の国にいた多くのドイツ人たちが、ドイツへ帰国できず取り残されてしまいました。

そこで、ドイツ政府はこれまでに類を見ないほどの大規模な帰国支援プログラムを発表、5,000万ユーロをかけて外国に取り残されたドイツ人たちを迎えにチャーター機を向かわせることにしました。


この大規模な航空機による(帰国)支援を、マース連邦外務大臣は「Luftbrücke」と呼んだのです。

現代の「空の架け橋」はすでに開始されており、現時点ですでに9カ国からのチャーター機が、多くのドイツ人を乗せ無事ドイツへ到着しました。今後も続けられ、おそらく10万人以上のドイツ人が外国からドイツへ帰国する見込みです。

マニラ(フィリピン)の空港で帰国用のチャーター機を待つドイツ人観光客ら ©dpa

マニラ(フィリピン)の空港で帰国用のチャーター機を待つドイツ人観光客ら ©dpa



©Auswärtiges Amt

ミュンヘンに到着したチャーター機 ©Auswärtiges Amt



フランクフルトへ着陸するチャーター機。©dpa

フランクフルトへ着陸するチャーター機。©dpa



色々と不安も不便なことも多く大変ですが、なるべく早く収束することを祈って、この困難な時をみんなで乗り切りましょう!

 

©ドイツ大使館

今週のドイツ語

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ドイツ大使館 広報部の職員による投稿です。

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