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コロナウイルスの登場で「考えさせられること」

©Colourbox.de

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コロナウイルスの登場で「考えさせられること」

コロナウイルスが猛威を振るっています。中国では感染者が3万人超、死亡者が722人、世界各国でも感染者が増え続けています。この原稿を書いている2月8日現在、ドイツでの感染者は13人です。

 

バイエルンはミュンヘンの郊外にある自動車関連企業Webastoの従業員が武漢に出張しコロナウイルスに感染、ドイツへ帰国後に、同僚や家族も感染してしまいました。感染した人達はMünchen Klinik Schwabingで治療を受けています。

 

新型ウイルスの登場で、どこの国の人もナーバスになり、一部パニック状態になっていますが、それにしても気になるのは、ニューヨークの地下鉄でアジア系の女性が「この病気の女め!」と男に暴言を吐かれ殴られるという事件が起きたり、ベルリンでも23歳の中国人女性が、女性二人に人種差別的な言葉を浴びせられた後、つばを吐かれ、殴る蹴るの暴行を受けたという事件があったりと、「アジア系」の人が暴力や人種差別的な行為の被害者になっていることです。

 

ドイツの雑誌Spiegelの2月1日号の表紙にも、Made in Chinaと書かれたタイトルに赤い防毒マスクと防護服を着用した中国人らしき人の写真が載っていて、人種差別的であると、ドイツの国内外から非難を浴びています。

 



 

ドイツでは、たとえば地下鉄やお店などで、知らない人であっても、誰かがクシャミをしたら、”Gesundheit”(「お大事に」)と声をかけてコミュニケーションを図る習慣があります。ところが、今やドイツで東洋人がクシャミをすると、”Gesundheit”と声をかけてもらえないばかりか、周囲の人がスーッといなくなるとことがしばしばあるといいます。

 

前述の表紙が問題となったSpiegelの中の記事にも、「ドイツに住んで20年、ドイツに帰化した台湾系ドイツ人の女性」がドイツ国内のスポーツ展示会で自分の登録カードを担当者に返そうと近づいたら、後ずさりをされたエピソードが載っており、ドイツに住む多くのアジア系出身者が差別の対象となっていると書かれています。

 

「マスク」に関する「習慣の違い」もひとつの要因となっているようです。

 

中国や日本では、コロナウイルスが流行る前から、マスクを着用する人が多かったのですが、ドイツを含むヨーロッパには普段から「マスク着用」の習慣はないため、たとえば東洋人が「あくまでも防備のため」にマスクを着用していても、「あの東洋人はマスクをしているからコロナウイルスを持っているはずだ」と周囲が早とちりしてしまうことがあるのだといいます。

 

このようなことを聞くと、コロナウイルスは充分に恐ろしいのだけれど、それに伴う人種差別も深刻だと考えさせられます。

 

ドイツに関していえば、確かに今(これを書いている2月8日現在)コロナウイルス感染者は13人ですが、インフルエンザの患者数はドイツで7000人もいるのです(1月末の数字)。インフルエンザで死亡した人が今シーズン、ドイツでは42人いるそうで、なんだかコロナウイルスの猛威がドイツでは誇張されている気もするのです。

 

人種差別に走る前に、手洗いやうがいを徹底したいですね。

 

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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