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ああ、勘違い!文化の違いによる【勘違いあるある】

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ああ、勘違い!文化の違いによる【勘違いあるある】

先日の台風、皆さんだいじょうぶでしたか…?

 

日本人もビックリの大型台風でしたが、日本在住のドイツ人も相当ビビッていました。。

 

今回の台風の被害に遭われた方々へ謹んでお見舞い申し上げます。

 

さて、仕事などでドイツ人と日本人がかかっていく中で、どんなに互いの文化の違いを尊重していても、時おり起きてしまうのが「勘違い」。今回はそんなお話です。

 

日本国内で、あるドイツの企業で働くA子さん(日本人女性)。A子さんも含め、そのドイツ企業には、「以前は日本企業で働いていた日本人」も多くいるのだそう。

 

A子さんは語ります。「ドイツの会社に転職してから、無駄な残業もないし、夜の飲み会もないし、土曜日に呼び出されることもないし、社員行事もないし、いいよね、なんて同僚と言ってたんです。」

 

そんなある日、ドイツから新しい上司Mayerさん(仮名です)が赴任してきました。そのドイツ人上司Mayerさんになってからというものの、やたらと、土曜日に社員全員でBBQをしましょう、などの「イベント」が増えたのだとか。赴任してきて間もないので、社員との交流も兼ねて最初だけなのかな、、、と思いきや、イベントがけっこう続くので、A子さんは遠回しに別のドイツ人にその理由について探ってみたとのこと。すると、「あー、Mayerさんは、どこかで日本人は社員行事が好きって聞いたみたいで、それで色々企画してるみたいよ。」との返事が。

 

「ここ(ドイツ企業)に転職してきた人の中には、一部の日本企業のそういうイベントが嫌だった人もいるのに、そのMayerさんは『日本人はみんな会社のイベントが好き』だと信じていて、それで色々企画してるってことなんだけど、なんだか皮肉な話よね」と語るA子さん。

 

なんだか文化にまつわる大きな勘違いが起きているようです(笑)

要約すると、日本人は、ドイツ流の社風も期待して、ドイツの会社に転職した。入社したら、実際に面倒な社内イベントなどが一切ナシで働きやすかった。ところが、新たにやってきたドイツ人が「ニッポンの会社ではよくイベントをやるらしいから、我が社ももっと日本人に歩み寄って、そういうイベントを企画しよう」と考え、色々と企画を実施してしまった。・・・という流れだったのでした(笑)

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これ、色んな場面で、起きるタイプの勘違いだったりします。

 

私が日本に来た20代の若かったころ、日本人と一緒に仕事がらみの食事を・・・となると、なぜかドイツ料理が予約されていることが多かったです(笑)どうも「サンドラさんは、ドイツから来たばかりで和食が大丈夫かどうか分からないから、ドイツ料理ならきっと大丈夫だろう」と先方は考えたみたいです。でも気遣いは嬉しいですが、私は「お食事しながら、打ち合わせ」なら、ほんとうはニッポンの居酒屋のほうが嬉しかったのでした(笑)

 

さて、冒頭の会社の話に戻すと。

 

A子さんはその後、同僚らと「Mayerさん、そのうち、昭和のニッポンの会社みたいに、『運動会をやろう!』とか言い出さないといいね~」なんて冗談を言い合っていたのだそう。そうしたら、後日、運動会ではないけれど「みんなで社員旅行をしよう」とMayerさんが言い出し、日本人社員からは苦笑いが漏れたのだとか。

 

まあ、もちろん社員旅行も実際に行ってみれば楽しいこともありますし(私サンドラも経験済みです)、この手の社員行事を一概に否定はできないのかもしれませんけれど、なんというか、社員旅行はその名の通り「会社といっしょにする旅行」であるため、「やっほー、旅行だ~」という爽快な気分にはならないのですね。そこは旅行といえども、やはり仕事の一環といいますか、日本人的な感覚だと「社員旅行中は、なにかと気を遣う」のでした。ニッポンに住んで間もないドイツ人上司と一緒の社員旅行だと、日本人の社員は日本の文化や観光地などについてガイド的な役割も求められそうですしね。そして、社員旅行中に、気遣いの一環でやたらと笑顔を振りまいてしまうと、「社員が楽しんでいたようなので、また来年も社員旅行を・・・」な~んて展開になりかねないのが、この話の頭の痛いところ。

 

ただ、日本とヨーロッパの文化の違いを差し置いても、今のニッポンではバブルの頃のような豪華な旅行先はあり得ないですし、そもそも社員旅行じたいが減ってきている感があります。日本の今の若い人は、昔よりもやっぱり自分の時間が大事ですしね。

 

ちなみにネットで「会社行事が面倒な人」というスレッドを読んでいたら、なかなか面白かったです。こちら、ガールズちゃんねるをご覧ください(笑)

 

もしかしたら、かつて「大企業なのに、社員旅行や運動会をするファミリー気質的なニッポンの会社」がドイツを含むヨーロッパのメディアで多く取り上げられた時期があったので、外国人からしてみると、その印象が今なお強いのかもしれない・・・・なんて思いました。

 

それにしても、何々人(なになにじん)だから、何々が好きだと思った という考え方も、時に上に書いたような「勘違い」を産んだりするので、異文化理解というのはほんとうに難しいですね~。みなさんは、どう思われますか?

 

次回は、ドイツ人の「仕草」について書きます。また来月!

 

サンドラ・ヘフェリン

 

※ ニッポンのお寿司とドイツのWeißwurstの歴史について書きました(笑)Sushi pedia をご覧ください。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン