シナゴーグそしてビーガン体験・リーケ通り
さぁ、今月も私の住むベルリンのプレンツラウアー・ベルク地区をご案内しましょう。今回は、前回ご案内した給水塔の続きともいえる散歩なんです。なぜって、今回の散歩道はリーケシュトラーセ(Rykestraße=リーケ通り)。その1番地は、給水塔に面しているんです。
この給水塔を背にして、番地順に北へ向かって歩きます。それでは出発です!
ユダヤ人が多かったエリア
以前「ドイツの通りの名前の多くは、地名または人名から命名されています」とお伝えしましたが、 リーケシュトラーセの名前の由来は、1447年にベルリン市長に就任したベルント・リーケから来ています。歴史的重要人物なので、この市長の名前を冠した小学校も別の地域にあるんですよ。
1番地に立つと、左手に茶色いレンガの立派な建物が目に入ります。
これはシナゴーグ(ユダヤ教徒の礼拝所)。礼拝所は通りに面した部分ではなく、その奥の中庭にあります。そのため、1938年11月9日にナチスらによってユダヤ人たちの店や施設が破壊された「水晶の夜」では、壊滅的な被害は免れたそうです。
シナゴーグにはふだんは入れませんが、以前公開された際に見学したことがあるので、そのときの写真をご覧に入れましょう。
ベルリンにゲットー(ユダヤ人の強制移住地区)はありませんでしたが、ユダヤ人が大勢住んでいた地域はありました。この辺りも1930年代には多くのユダヤ人が住んでいたそうです。このシナゴーグのすぐそばに、ユダヤ人墓地があることからもわかります。ナチスが台頭するまで、ベルリンではユダヤ人はともに日常を過ごす人々でした。
その向かい側、進行方向右手の壁を見てみましょう。3番地の壁です。プレートが掛けられていますね。
これはナチスに抵抗し、33年に殺害されたドイツ共産党のフランツ・フート(Franz Huth)がここに住んでいたことを示すものです。こうしたプレートに記された人物は日本では知られていないことも多いのですが、調べていくと興味のある分野につながることもありますね。
アイスに、サウナに、お買いもの
先に進みましょう。左手にはこの夏にできたばかりのアイス屋さん。今年の夏も昨年同様とても暑かったので、開店以来ずっと大にぎわいです。
その先には持続可能性をコンセプトにしたセレクトショップ。洋服やアクセサリーなど、センスのいいものがそろっています。お土産やプレゼント探しにもよさそうです。
右手には、何やら彫刻が。アーティストのアトリエ?
いえいえ、じつはここ、サウナなんです。普通のアパートの1階(地上階)にあるんです。驚きですよね。ちなみにドイツのサウナは、全裸で男女混浴が一般的で、ここも例外ではありません。もちろん、性的な場所ではありませんよ。
さて、信号のない交差点に出ました。ちょっとこの辺りで振り返ってみましょうか。
ほら、給水塔が見えますね。この風景が私は大好きなんです。
ビーガンアイスをお試し
交差点の角に自転車コーナーがありますね。
これはシェアバイクサービスです。いっとき何社もシェアバイクサービスがベルリンに参入しましたが、いくつか撤退して最近は落ち着いてきました(その代わりいまは電動キックボードシェアサービスが大変なことになっていますが)。
この通りは、アパートもきれいなんですよ。1800年代後半から1900年初頭にできた建物ですが、当然ながら改修されて現在に至っています。
この付近にはビーガン(完全菜食主義者)のお店が2つあります。 1つは左手にあるノイエ・リーベ(Neue Liebe)。軽食やケーキがあります。
そしてさらに先、同じく左手にビーガンのアイス屋さんトライベッカ・アイスクリーム(Tribeca ice cream)。アイスなのにビーガン?と思いますよね。素材にはナッツミルクやココナッツオイルなどを使用しているそうです。
どんなお味か試してみましょうか。種類がたくさんあって迷いますが……ラズベリー・ココナッツにしてみました。
あぁ、ココナッツの味が効いていますね。もっと淡白な味を想像していましたが、しっかりした味です。ちなみにお値段は2.20ユーロ。やっぱり(?)というか、普通のアイスよりはお高いです。私はビーガンでもベジタリアンでもないので、これは特別な経験ということにしておきます。
アイスも食べたし、一気に通りの最後まで行きましょう。少し先には左右に小さな公園があります。アイスを食べたり、ベンチでおしゃべりをしたりするのにちょうどいいですね。
そしてダンツィガー・シュトラーセに突き当り、ここでリーケシュトラーセは終わりです。
今回の散策は楽しんでいただけたでしょうか。ではまた次回、プレンツラウアー・ベルクのおすすめスポットをご紹介します。