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ラインガウ・ワインとグルメ旅 2【薔薇の町とエーバーバッハ修道院】

ラインガウ・ワインとグルメ旅 2【薔薇の町とエーバーバッハ修道院】

ラインガウのワインとグルメをめぐる旅。ヴィースバーデンの次に向かったのは、ライン川沿いの小さな町エルトヴィレ(Eltville)。日本ではあまり知られていませんが、1988年にドイツ薔薇協会から「薔薇の町」の称号を受けているとても美しい町です。

19世紀前半からゼクトを製造しているマテウス・ミュラー社。ライン川沿いでひときわ目立ってます

19世紀前半からゼクトを製造しているマテウス・ミュラー社。ライン川沿いでひときわ目立ってます



エルトヴィレにはドイツの有名ゼクト・メーカー、マテウス・ミュラー(Matheus Müller)の本拠地があり、「ゼクトの町」としても知られています。私が訪れた日はちょうどゼクト祭りが開催中で、町のあちこちでゼクトを楽しんでいる人々に出会いました。

薔薇があふれる中世の城塞。ショップには可愛い薔薇グッズがたくさん。

薔薇があふれる中世の城塞。ショップには可愛い薔薇グッズがたくさん!



町のシンボルである中世の城塞は14世紀に建てられたもので、150年間もの間マインツ大司教と選帝侯の居城でした。薔薇に覆われた門からして素敵ですが、なかに入ると見事な庭園が広がっています。毎年6月に開かれる薔薇祭りは人気が高く、遠方からも大勢の人がやってくるそう。一面に咲き誇る色とりどりの薔薇はさぞかし綺麗なことでしょうね・・・その頃にまた訪れてみたいものです!

木組みの家が並ぶ石畳の小路にカフェ。絵になる風景がいっぱいのエルトヴィレ

木組みの家が並ぶ石畳の小路にカフェ。絵になる風景がいっぱいのエルトヴィレ



町を散歩してみると、普通の民家の軒先にも薔薇が飾られているところがたくさんありました。町全体が可愛らしくて絵になる風景がいっぱい。さすがは薔薇の町ですね~

エルトヴィレ一番の観光スポットといえば、郊外にあるエーバーバッハ修道院(Kloster Eberbach)。
知る人ぞ知る「ワインの聖地」へ、いざ!

森の中にたたずむエーバーバッハ修道院。中世の時代からワイン造りが続けられてきた「聖地」

森の中にたたずむエーバーバッハ修道院。中世の時代からワイン造りが続けられてきた「聖地」



森とブドウ畑に囲まれてひっそりと佇むエーバーバッハ修道院は、12世紀に建設されたシトー派の修道院。中世の時代からこれまでずっとワイン造りが続けられてきたという、ドイツワイン史を語るには欠かせない場所です。

ワイン樽が並ぶ歴史的なケラーも見学できます。静寂に包まれ雰囲気たっぷり。

ワイン樽が並ぶ歴史的なケラーも見学できます。静寂に包まれ雰囲気たっぷり。



ほぼ当時のままの状態で残されている建物は歴史的にとても貴重なもので、ショーン・コネリー主演の映画『薔薇の名前』のロケ地としても有名です。現在修道院はヘッセン州が所有しワイン醸造所も運営。一般にも開放され、地下のワインセラーや修道士の寮を見学することができます。

中庭で開催されたヘッセン州のイベント。名物料理の屋台が並びました

中庭で開催されたヘッセン州のイベント。名物料理の屋台が並びました



修道院ではコンサートなどイベントが開催されることも。 この日はヘッセン州のイベントが開催され、中庭にヘッセン州の名物料理の屋台が並びました。

フランクフルト周辺の名物アップルワインは様々なバリエーションが登場。甘口辛口にコーラ味まで!

フランクフルト周辺の名物アップルワインは様々なバリエーションが登場。甘口辛口にコーラ味まで!



 

赤ずきんちゃんの可愛らしさにメロメロ……リアルなメルヘンの世界に興奮してしまいました!

赤ずきんちゃんの可愛らしさにメロメロ……リアルなメルヘンの世界に興奮してしまいました!



ワインにビール、肉料理に舌鼓をうっていると、前から赤ずきんちゃんが歩いてきてびっくり!ふとまわりを見渡すと、いばら姫やラプンツェルなどグリム童話の主人公たちがそこかしこにいるではないですか!そういえば、グリム童話の舞台を結んだドイツ・メルヘン街道の一部はヘッセン州にあるのですよね。なんとも粋な演出に大興奮してしまいました。

世界に名だたる銘醸畑シュタインベルク。ブドウ畑の景色を楽しみながらワインがいただけます!(期間要確認)

世界に名だたる銘醸畑シュタインベルク。ブドウ畑の絶景を楽しみながらワインがいただけます!(期間要確認)



エーバーバッハ醸造所はラインガウ各所にブドウ畑を所有し、その規模はドイツ最大級となっています。なかでも銘醸畑として有名なのが単一畑のシュタインベルク。「石の山」という名のとおり周囲を石の壁で囲まれた畑で、現在は訪問客のために異なる品種の葡萄が並べて植えられており、実際に見たり食べたりという貴重な体験ができます。この壁は元々は盗難防止のために作られたものでしたが、冷気を遮断しブドウの熟成に好影響を与えました。豊かなアロマとひきしまった酸を持つ「シュタインベルガー」は、かの鉄血宰相ビスマルクが愛したワインとしても知られています。

修道院の教会ではコンサートが開催されることも。

修道院の教会ではコンサートが開催されることも。



ドイツワインの聖地ともいえる修道院をめぐり、修道士たちがワインを造りながら慎ましく暮らしていた当時に思いを馳せつついただくワインはおいしい!以上の格別な味わいです。

観光地としても見応えたっぷりなのでぜひ訪れてみてくださいね

ラインガウのワインとグルメ旅、次回はとっても可愛いワインの町へ向かいます!

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツを拠点にフリーライターとして活動。共同通信、朝日新聞デジタル、NHK他で旅や食文化、最新トレンドなどについて執筆。近年は世界各地でプチ移住&プチ留学を体験しながら発信中。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 /ドイツ・ニュースダイジェスト」レシピ連載中 / 2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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坪井由美子