ドイツ郷土料理図鑑 【北ドイツ編】
待ちに待った春がやってきた!と喜んだのもつかの間。いきなり寒くなり雪(ひょう?)まで降りだしまた暖房を使うはめに……もう5月だというのにクレイジーなお天気のドイツです。
さて、今回は久しぶりの郷土料理シリーズ。これまで紹介した南部、西部に続きまして、今回は北部ドイツ編(地図の青い部分)をお送りします。ドイツで唯一海に面する北部ドイツでは、肉料理中心の南ドイツでは滅多にお目にかかれないような新鮮なシーフード料理が味わえます!
ドイツ第二の都市にして最大の港町ハンブルクでは、日曜日に大規模なフィッシュマルクトが開催されます。うなぎの燻製や北海エビ、サーモンなどシーフードから果物や雑貨まで様々な屋台が並ぶ市場は活気でいっぱい。あちこちで名物のたたき売りが行われ、見て歩くだけでもワクワクしてきます。シーフードを挟んだサンドイッチなどファストフードも豊富なので食べ歩きも楽しめますよ!
ハンブルクのほかにも、北海やバルト海沿岸の町ではシーフードを使った郷土料理が豊富です。
南部とはまた違った食文化をぜひ味わってみてくださいね。
アールズッペAalsuppe
ぶつ切りにして骨を抜いたウナギとリンゴやアンズ等の乾燥果物、野菜、肉を一緒に煮込んだハンブルク名物のスープ。甘酸っぱくてコクがある独特の味です。
ラプスカウスLabskaus
塩漬け肉(コンビーフ)、ポテトピューレ、赤ビーツ、ピクルスなどを混ぜて目玉焼きをのせたもの。その昔、船乗りたちが長期保存できる食材で栄養補給のためにつくったのが始まりとされ「船乗りの雑炊」ともいわれています。港町ヴィルヘルムスハーフェンでは毎年ラプスカウス祭りが開催されます。
ノルトゼー・クラッベンNordsee Kraben
北海で採れる3cmほどの小エビ。うまみが凝縮された濃厚な味わい。シンプルに塩ゆでにするほか、魚料理にかけるソースに使ったりスクランブルエッグやスープに入れたりもします。市場の魚スタンドではサンドイッチも定番商品。
ビスマルクへリング Bismarckhering
その昔、ハンザ都市シュトラールズントの魚屋がプロイセン王国宰相のオットー・フォン・ビスマルクに献上し、気に入られたことから名付けられたニシン(へリング)の酢漬け。市場ではピクルスと一緒にパンに挟んだサンドイッチも売られています。
マチェスMatjes
産卵前の若いニシンを塩とオイルにつけたもの。そのまま玉ねぎやパンと一緒に食べるほか、サワークリームにリンゴや玉ねぎ、ディルを混ぜたソースを合わせる「Matjes Hausfrauenart」も定番。旬の6月頃には市場で新鮮なマチェスが出回ります。
キーラ―・シュプロッテンKieler Sprotten
北海の町キールの名が付いた小さなニシンの燻製。スーパーにはオイル漬けの缶詰が1ユーロ前後で売られていますが、おつまみにぴったりなので買い置きしておくと便利です。ドイツでは生魚を食べる習慣はないものの燻製魚が豊富で、ニシンのほかにも鯖や鱒、ウナギなどを見かけます。
グリュンコール・ミット・ピンケル Grünkohl mit Pinkel
冬野菜のグリュンコール(ケール)とピンケル(カラスムギや大麦などの穀物とラード入りのソーセージ)を煮たボリューム満点の料理。ドイツ北部では市場やクリスマスマーケットでも食べられます。
次回は北ドイツのスイーツ&ドリンク編をお送りします。どうぞお楽しみに!