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『凡才な私がドイツ語でC1を取得するまでの道のり』

なぜか理科の実験室で行われていた語学コース

『凡才な私がドイツ語でC1を取得するまでの道のり』

明けましておめでとうございます!

新年早々ソーセージとジャガイモサラダを食べてドイツにいることを改めて強く実感しました。ハイデルベルクに留学中の藤井里奈です。

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さて今回のブログのテーマは、ドイツで生活する上では欠かせない「ドイツ語運用能力」についてです。私が初めてドイツ語に触れたのは高校一年次に約一年間の交換留学をした時でした。それ以降、ドイツ語から遠ざかった時期もありましたが、今回2度目の留学を経験し、私のドイツ語は一体どのレベルまで上達したのかについて書きたいと思います。

分かりやすいようにグラフにしてみました(手書きでごめんなさい)。縦軸部分に書いてあるのが、ゲーテ・インスティテュートいうドイツ政府による公的なドイツ語検定試験のレベルです。AからCに向かって難易度が上がります。CEFRというヨーロッパでの言語共通評価基準によると、一番難易度が高いのがC2となっています(出典:http://4skills.jp/qualification/cefr.html)。

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ちなみに以上の基準と独検と呼ばれるドイツ語技能検定試験を比較すると、以下の表(出典:http://www.dokken.or.jp/about/level.html#07)のようになります。 

49585745_1647405652072586_4885461231172845568_oグラフから見て分かるように、私がドイツ語を習い始めてから上級といわれるC1を取得するまでにかかった期間は約五年です。インターネットで調べてみると半年でC1のレベルまで到達したというような強者もいましたが、言語運用能力に特別長けている訳でもない私にとっては到底不可能な話です。世の中にはドイツ語を習っているけれど、絶え間ない努力はできないという私と同じような方もいらっしゃるかと思います。そこで、凡才な私がドイツ語と向き合ってきた道のりについて紹介したいと思います。

~2014年:高校生での交換留学(1年間)~

今から5年前、一言もドイツ語を話せないのにまだ15歳で若いゆえに怖いもの知らずだった私は、ドイツへの留学を決意しました。ドイツへは初入国ということもあり、空港に降り立ってからドイツ語を聞いて「宇宙人の会話みたい」と驚いたのを今でもよく覚えています。

ホストファミリーとは唯一のコミュニケーションツールであった英語を使ってコミュニケーションを図ることができました。しかし問題は現地での高校生活。現地の公立高校に通っていたため学校での授業は80%がドイツ語(20%は英語)でした。



当時の時間割

当時の時間割。大学生の今よりも一段と授業数が多かったです。



学校初日が16歳の誕生日でクラスメイトにお祝いしてもらったのは一生の思い出です。

ドイツでの初登校日が16歳の誕生日だったためクラスメイトがケーキでお祝いしてくれました。



 

 

 

 

 

 

ただでさえ新しい環境での生活に馴染まなくてはいけないのに、すぐにドイツ語ができるようになる訳がなく、最初はクラスメイトと英語で親交を深めるので精いっぱいでした。一方で、遠い日本からやってきた何も知らない私を全力でサポートしてくれる高校の先生やクラスメイトのためにもいち早くドイツ語が話せるようになりたいという気持ちを抱いていました。

そこで、まずは身近なドイツ語から覚えようと思い最初に始めたのが付箋を使った暗記法です。ホストファミリーと暮らす家の中で目に触れるあらゆるものにそのドイツ語訳を書いた付箋(例えばたんすには「der Schrank」と書いた付箋)を貼りました。日に日に増えていく付箋に来客がある度に笑われましたが、机でひたすら教材と向き合うのがあまり得意でない私にとっては楽に単語を覚えることができました。

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それと並行して日本から持って行った教材も使って基礎知識を一から学びました。ちなみに使った教材は『文法からマスター!はじめてのドイツ語(小野寺賢一)』『独検対応 クラウンドイツ語単語1600(信岡資生・荻原耕平)』です。『文法からマスター!はじめてのドイツ語』はイラストが可愛いのが特徴です。イラストが可愛いと少しモチベーションが上がる気がします(^_^;

三ヶ月が経過すると、簡単な文が言えるようになったり、細かい内容はよく分からないけど会話のテーマが何なのかが次第にわかるようになっていきました。ホストファミリーと友人に英語での会話をやめて、たとえわからなくても良いからドイツ語で話しかけてもらうように頼み、毎日書いていた日記もドイツ語に切り替えました(今読み返せばドイツ語の間違いだらけでとても恥ずかしいです。)放課後は語学学校に通いました(最初の頃はA1・A2コース/後半はB1・B2コース)。私が通った語学コースはさほどインテンシヴではありませんでしたが、そこで出来た友人とお互い拙いドイツ語を駆使しながら話すのが楽しく、週に二回程度(各一時間)通っていました。

A1・A2コースで一緒だった2人。右の彼女は難民としてドイツにやって来ましたが今では情報学を立派に学んでいます。

A1・A2コースで一緒だった2人。左の彼女は5年前に難民としてドイツにやって来ましたが今では大学で情報学を立派に学んでいます。



大人が多かったB1・B2コース

大人が多かったB1・B2コース



 

 

 

 

ドイツに渡って半年が経つ頃、学校の修学旅行でパリに行きました。ドイツの女子高生もガールズトークは大好きなようです。5日間の滞在中ほぼ毎晩ガールズトークが繰り広げられました。そして友達とくだらないことで笑い合っている時ふと、「宇宙人の会話のように聞こえていたドイツ人の会話に自分も参加できてる!」と実感したのを覚えています。
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私の成長を温かく見守り続けてくれたクラスメートには感謝してもしきれません。



 

 

 

 

 

また、他の留学生とのキャンプではお互いの留学生活だけでなくドイツ語の学習方法についても意見交換をしました。集まった留学生の中ではRosettaStoneというオンライン学習プログラムの使用率が高かったです。

留学中に三回あったオリエンテーションキャンプ

留学中に三回あったオリエンテーションキャンプ



同じ時期に同じ州に留学してた留学生たち

同じ時期に同じ州に留学していた留学生たち



 

 

 

 

ドイツ語が段々分かるようになってからも、机に座って教材とにらめっこするような勉強はあまりしませんでしたが、ドイツ語が分かるようになったからこそ取り組める学校での宿題と、語学学校での宿題だけはこなしていました。語学学校では『Erkundungen: Kurs- und Arbeitsbuch B2』という教材を使っていました。初めて受けたドイツ語の試験はGoethe-ZertifikatB1。留学終盤の2014年12月に受験し、合格しました。今振り返ってみてもこの一年間が人生の中で一番濃く、そして(最初があまりにも無知だったからというのもありますが)ドイツ語の成長の幅も一番広かったです。

「英語以外の新しい言語を学びたい」と思っていても、いざ手を付けてみると母国語や英語と違って思ったよりも難しいものです。しかし、最初の一番大きな一歩を踏み出し、少しだけ我慢をすればその先には無限の可能性が待っていると思います。翻訳アプリも増えた現代では第二外国語を学ぶことの意義が薄れつつありますが、現地で出会う全ての人と深いコミュニケーションを取れるようになるには英語だけでは足らず、自分がその国の言語を学ぶしかないということを一年間の留学から実感しました。

ホストファミリーの協力で開いたお別れパーティー

ホストファミリーが開いてくれた最後のお別れ会



 

 

 

 

 

~2015年:日本の高校を卒業~

留学を終えて日本に帰国してからはすぐに大学受験が控えていました。SNSを使ってドイツの友人やホストファミリーと定期的に連絡は取っていましたがこれといったドイツ語の勉強はしておらず、現状を維持した1年間だったと言えると思います。

ちなみに日本で独検と呼ばれるドイツ語技能検定試験の2級も受けました。Goethe-ZertifikatのB1と比べると、特にリスニングは得点しやすく、試験時間も合計110分と大変短く、さらに口頭試験がないのが特徴です。ちなみに問題形式を把握するために、『独検合格らくらく30日 2級(飯嶋 一泰・清水 朗)』という教材を買いました。B1に受かった人ならほとんどの確率で2級も受かると思います。

 

~2016年:大学に入学~

とにかく大学でもまたドイツに行きたかった私は、日本で唯一1年半のドイツへの交換留学制度があるということを知り、上智大学外国語学部ドイツ語学科への入学を決意します。大学では集中的かつ高度な授業が展開され、今まで不確かだった知識が確かなものに変わっていきました。また、大学で初めてドイツ語に触れるのにも関わらず、速くドイツ語を習得していく友人を見て、優秀とはこういうことを言うのだと感心しました。そして大学1年生の夏休みにはGoethe-ZertifikatB2に合格しました。ちなみに、B2はB1よりも少々出てくる単語の難易度が上がりますが試験形式に大きな違いはありません。

新入生のサポートをするヘルパー

新入生のサポートをするヘルパー



 

 

 

 

~2017年―2018年:大学での交換留学(1年半)~

そして大学2年生の秋、交換留学のためにドイツに渡ります。ドイツに着いて最初に大学であった事前語学コースは1ヶ月間毎日3時間開講されました。クラスにはヨーロッパや英語圏からの留学生が多く、彼らのドイツ語のレベルに圧倒されることもありましたが、振り返ってみると彼らと一緒に学べたことは良い刺激になったと思います。ちなみに授業で使っていたテキストは『MIT Erfolg Zum Goethe-Zertifikat: Testbuch C1』です。

なぜか理科の実験室で行われていた語学コース

なぜか理科の実験室で行われていた語学コース



この時一緒に授業を受けた彼らとはその後もずっと仲良しです。

この時一緒に授業を受けた友人とはその後もずっと仲良しです。



 

 

 

 

いざドイツ人学生に混じってみるとまだまだ分からない内容も多く、時には苦戦することもありました。大学の留学では当たり前ですが高校生の時よりも机上の学びが増えました。特にレポートはドイツ語の一つ一つの単語が長いためか日本の大学よりも要求されるページ数が多く、何ヶ月も前から準備する必要がある場合もありましたが、それもまた貴重な経験になったと思います。

※ドイツでの大学生活については別の記事にも書いたのでそちらもご参照ください。

また、今回の留学では大学に通うだけでなくドイツ社会と繋がれる活動がしたいと考え、2つのボランティア活動に参加することにしました。1つ目は以前ブログにも書いた難民支援施設でドイツ語を教える活動です。ドイツ語にまだ不備があるのは自覚していますが、自分のドイツ語運用能力に満足できる日が来るとは思えないので、とにかくやってみることにしました。そして2つ目の活動が高校の留学時にお世話になった国際交流団体のAFSでの活動です。具体的にはこれから留学に行くドイツ人高校生へ向けたオリエンテーションキャンプの運営をお手伝いさせてもらいました。

HeidelbergのKönigstuhl

HeidelbergのKönigstuhlというところに皆で行きました。絶景が見渡せます。



月1回のミーティング

月1回のミーティング



 

 

 

 

いざ活動してみると、外国人である私がドイツ人と同等の業務を任されるということは想像以上に大変でした。月に一回開かれるミーティングの議事録を作るといったドイツ人にとってはさほど大したことのない作業でも、私にとっては負担が大きく感じることもありました。また、高校や大学で友人に使うドイツ語と、大人を相手に使うビジネスドイツ語の間に立ちはだかる壁を初めて痛感しました。しかしこれらの活動を通して、ドイツ語でメールをたくさん書いたり、電話対応をしたり、幅広い世代のドイツ人と交流ができたことはドイツ語能力の向上にも繋がったと思います。

 

充実した時間というのはあっという間に過ぎ去るもので、留学も終盤になりGoethe-ZertifikatC1を昨年フランクフルトで受験し、合格しました。受験の前にはゲーテ・インスティテュートがホームページで公開している模擬試験を解きました。リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの全ての分野の対策ができるのでオススメです。

改めてB2とC1の差について考えてみると、B2ではまだ理解できないこともあったニュース番組やドイツ人の大好きなKrimi(推理ドラマ)、あるいは新聞などのメディアを今では大体理解できるようになりました。また、それぞれの動詞に合わせた的確な前置詞を使えるようになったり、今までは辞書で一番上に出てくる意味しか把握していなかった単語の2つ目や3つ目の意味も把握できていたり、一つ一つは些細だけれど総括的にはB2とC1には一つの大きな壁があるように思いました。

以上私がドイツ語に出会ってから現在までの道のりについて紹介しました。インターネットで調べればもっと速くドイツ語を習得してきた秀才な方が見つかるように、もっと効率の良いドイツ語との向き合い方があったのかもしれません。しかし、ドイツ語を学ぶ上で私にとって何よりも大切なのは「楽しむ」ことです。これからも終わりなきドイツ語の学びを、自分のペースで楽しみながら続けていきたいと思います。

藤井里奈

上智大学ドイツ語学科学生チーム

上智大学外国語学部ドイツ語学科在籍中の大学3年生(2019年4月現在)。2018年夏学期〜2019年夏学期 までドイツ各地に留学中。
真野 萌(Bonn)
大橋 ふみな(Heidelberg)
磯貝 理津子(Freiburg)

上智大学ドイツ語学科学生チーム