バーデン地方のワインリゾート【ハイトリンガー】
今年はすごい暖冬だ~と油断していたら、今週からぐっと気温が下がり冬らしくなってきたドイツ。寒さを吹き飛ばすべく、2018年最後の『美味しいドイツを伝え隊』は、ドイツで最も暖かい地域バーデンのワイナリーを紹介したいと思います!
ワイン生産地域のひとつバーデン地方は、北のタウバー川から南のボーデン湖まで南北400kmにもわたる温暖な地域。南部はブルゴーニュの延長ともいわれ、特にブルグンダー種(ピノ種)の栽培が盛ん。白ワインのほか赤やロゼワインも造られています。
今秋参加したワイン取材ツアーは、このバーデン地方からスタートしました。最初に訪れたのはハイデルベルクから約40km南に位置するÖstringen。この小さな町にある「ハイトリンガーHeitlinger 」は、ホテルやレストランも有するワイナリー。ぶどう畑の中に現れたモダンな建物の中へ入ると、田舎町にあるとは思えないようなおしゃれな空間が広がっていてびっくり。
ハイトリンガーは、カジュアルワインから高級ワインまで多彩なワインを生産する「Weingut Heitlinger」と、単一畑のぶどうから造られるグロース・ラーゲ(グラン・クリュ)に特化した、ドイツで最も古い醸造所のひとつ「Weingut BURG RAVENSBURG」から成るワインメーカー。ビオワインの生産にも力を入れています。
ぶどう畑の真ん中に設置されたテントで、オーナーで醸造家のクラウスさんを囲み試飲会が始まりました。
トレンドのブラン・ド・ノワール(赤ワイン品種のぶどうから造る白ワイン)のゼクト(スパークリングワイン)に始まり、スパイシーなグラウブルグンダー(ピノグリ)、爽やかなシャルドネ、苺やチェリーを思わせるシュペートブルグンダー(ピノノワール)などどれも素晴らしかったですが、一番印象的だったのは特級畑「HUSARENKAPPE」のリースリング。パッションフルーツのような新鮮なアロマと力強いミネラル感を併せ持つフルボディで、私史上最高のリースリングに出会った! と思えるほど感動的な味わいでした。
ぶどう畑に囲まれて美味しいワインを堪能……なんて贅沢なことでしょう!
すっかりいい旅・夢気分になっているところへ、次のサプライズが。
案内された先にあったのは……
これってもしや、ゴルフの時に乗るカート?
「さあ皆さん、今からこれに乗ってゴルフ場へ向かいましょう!」とオーナー。
なんとまあ、このワイナリーにはゴルフ場まであったのでした!
皆それぞれにカートを運転し(私は免許ないので助手席)夕焼けに染まるゴルフ場へ。なんだか突然別世界へ迷い込んでしまったような気分です。
コーチに教えてもらいつつ、ゴルフデビュー(打ちっぱなしですが)。まさか自分がゴルフをやることになろうとは思いもよりませんでしたが、けっこう楽しくてテンションが上がってしまいました。貴重な経験をさせていただきありがとうございます。
さて、レストランへ戻ってお待ちかねのディナー。
料理に合わせたワイン4種とともに美味しくいただきました。
この日は別の宿に泊まりましたが、ハイトリンガーにはホテルも併設されているので、美食とワインを堪能した後はそのままベッドへ直行なんてことも可能。いやはや、なんともラグジュアリーなワインリゾートでありました。
ドイツでは最近、風光明媚なワイン生産地で休暇を過ごすのがトレンドとなっており、宿泊施設やレストランを経営する醸造所も増えています。日本で働いているとなかなか休暇がとりづらいと思いますが、ドイツ人を見習って、たまにはしっかりゆっくり休みたいものですね。
人生一度きりですから。
■Weingut Heitlinger
www.weingut-heitlinger.de
こちらのドイツワイン記事も参考にどうぞ>>>ドイツワイン完全ガイド!種類や等級、産地と人気銘柄
終わりに。
今回のワインツアーには、日本、韓国、香港、ハンガリー、ベルギーから総勢10名が参加。私たちはともに旅をし、大いに食べて飲んで話して、国籍や齢を越えて楽しい時間を共有しました。
じつはこの1か月後、メンバーの1人だったベルギーのグルメ誌編集長の訃報が届きました。
最終日の食事の席で、皆への感謝を述べられ、またこのメンバーで会いましょう!と素晴らしいスピーチをしてくれた彼。さすがはセンパイ、と一同感心したものです。
一期一会。心よりご冥福をお祈りいたします。
R.I.P. Frans
6月から書かせていただくことになったYoung Germanyも今年はこれで最後。素晴らしい機会をくださった方々、読んでいただいた方々に感謝いたします。
来年も美味しいドイツをどしどし伝えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆さん、温かいクリスマスと良いお年をお迎えくださいませ。
坪井由美子