フライブルグの同化政策
こんにちは!
フライブルグのみおです(*^^*)
日本は梅雨の季節でしょうか
ドイツは爽やかな青空に冷たい風が吹いて、とても気持ち良いのいいお天気が続いています。ときどき通り雨が降りますが、すぐに止むので傘もあまり必要ありません。
さてさて、毎回恒例の、季節のお花を紹介したいと思います!笑。しかし今日のお花はいつもと違ってちょっと特別です。なぜなら、普段公園などで咲いているものではなく「共同農園」で撮影したお花たちだからです。
この「共同農園」を訪れるようになったきっかけは、フライブルグの地域の特性について学ぶ授業でした。各自プレゼンテーションのテーマを選ぶのですが、その選択肢としてこの農園があげられていました。
この農園は"zusammen gärtnern" というプロジェクトが行われています。日本語に直訳すると、一緒に(=zusammen)、庭仕事をする(=gärtnern)という意味になります。プロジェクトの目的は「同化政策(=Integration)」。ドイツにとって欠かせない話題です。近年難民の流入もあって、さらに熱く議論が展開されています。フライブルグでも同化政策の一環として地域に属した社団法人がこの農園を運営し、難民や移民などの外国人とドイツ人の同化を図っています。
このプロジェクトに関心を持った私は、プレゼンテーションのテーマとして選んで実際に農園に足を運ぶことにしました。月に一度誰でも予約も何もなしに気軽に参加できる日があり、その日に行きました。
農園に来ていたのは、やはり多くがフライブルグ市民でした。もちろん移民と思われる外国人も何人か見かけました。そういう私も紛れもなく外国人ですが、ドイツ人たちと同じように温かく迎えられ、すぐに一緒に作業を始められました。
おもしろいことに、フライブルグ市民と言ってもその人がドイツ人とは限りません。私が一番仲良くなったのはバルセロナ出身のスペイン人でした。「純ドイツ人」と言える人が大半を占めているわけではなく、まさにそこは同化政策が必要な環境でした。
一緒に農作業をしたりお昼ごはんを作ったり、それぞれが得意とすることやしたいことをしながら、話し対話し笑い合って、交流を深めていました。みんな本当に親切でフレンドリーで気前もよく、「あなたはどこから来たの?」と見ず知らずの私にも気軽に声をかけてくれました。この共同農園に参加する世代も幅広く、子どもから高齢者まで様々です。精神障がい者の方も参加していて、自分のできることを楽しそうに一生懸命やっていました。
この農園では私が想定していたような外国人が対象の同化政策だけ出なく、出身、母語、年齢、障がいの有無などに関わらずすべての人が共に生きられる「共生」がなされていました。
このプロジェクトにとても感動した私は、月に一度続けて農園を訪れています。まだこのプロジェクトの一片しか見れていないので正確に評価するのは難しいですが、学ぶことが本当に多くあります。人は一人では生きていけません。けれども今の世の中で完全な共生は全く実現していません。実現されるべきなのに、されていない。よく考えてみれば少し不思議かもしれません。これだけ多くの人間が長い間生きているのに、希望を持って生きている人がどれほど多くいるでしょうか。
同化政策の難しいところは「どこまでを個性として認めるか」という点です。特に異国の文化や習慣は、自分のものとはかけ離れていて受け入れられない、ということが多々あります。
私は、受け入れられなくてもいいと思います。だた、非難したり蔑んだりしなければ、それでいいと思うのです。自分の思いを正直に伝え、互いに分かり合おうとすることが大事ではないのででしょうか。相手がどう思っているか正しく知らないと、誤解が生じてしまいます。その人が嫌いなのではなくて、その人の行動が受け入れがたいだとか、そういうことです。非難することと受け入れないことは全く違います。考え方次第で、本当に変わるのです。また、誤解がさらに状況を悪くさせるから、対話してお互いのことをきちんと知り理解することが重要です。その機会として、共同農園はとても貴重な環境を提供していると思います。
日本でも共同農園ができたらいいなと思いますが、開発が進み緑が減った都市部では難しいのが現実です。ですが、共生を実現するために根本的に必要なのは「お互いを正しく分かり合うこと」だから、別の形でやることができると思います。ただ自然に触れることでもきっと何かメリットがあると思うので、残りの留学期間に代替案も併せて探っていけたらと考えています。