ドイツデザイン最新事情

Kaffeeform

デザインファンの皆様、こんにちは。

今回は、元気が出て、目が覚めるような刺激的なテーマ(コーヒーのことです!)で、記事を書こうと思います。

(写真1 コーヒーの抽出かす)

(写真1 コーヒーの抽出かす)

コーヒー。ドイツは現在世界で有名なコーヒー消費大国ではありませんし、このレポートを書いた後もその事実が変わることはないでしょう。でも、ドイツ人はコーヒーをたくさん飲むのです。そのため、かなりのコーヒー抽出かすが出ます。この「抽出かす」がこの後いったいどうなるのか、また何かに再利用することはできないのか、皆さんは考えたことがありますか。

(写真2 創設者のジュリアン・レヒナー)

(写真2 創設者のジュリアン・レヒナー)

ベルリンの新コーヒー会社カフェフォルムの創設者、ジュリアン・レヒナーが、北イタリアでデザインの勉強をしていた最中に、このことが大変気になりました。そしてどのように、この再生可能な未使用廃棄物をリサイクルし、有益な原材料にするのかを考えました。また、それを実現しビジネスとして良い結果を出すために、ジュリアンは専門家や科学者の協力を得ながら研究を重ねました。

開発から3年、ようやく原材料が出来上がりました。

(写真3 完成品)

(写真3 完成品)

(写真4 原材料の隣にある完成品)

(写真4 原材料の隣にある完成品)

(写真5 コーヒー豆のような包装)

(写真5 コーヒー豆のような包装)

(写真6 ドリップコーヒーにも使えるサイズ

(写真6 ドリップコーヒーにも使えるサイズ

(写真7 エスプレッソ用カップ)

(写真7 エスプレッソ用カップ)

ジュリアンはコーヒーカップを丈夫にするため、リサイクルされた植物性バイオポリマーと木材の混合物を粘着剤に加えました。そしてカップを食洗器に適したものにして、日常使用に耐えられるようにしました。ベルリンに戻ってからは、地元の飲食店とネットワークを結成し、コーヒー抽出かすを数週間にわたって収集しました。提供された抽出かすは、広げて乾燥させ、大きな袋に梱包されます。

(写真8 製造前)

(写真8 製造前)

最初に開発されたエスプレッソ用カップは2015年に発売されました。

6杯分のエスプレッソに使ったコーヒーが、1つのコーヒーカップに生まれ変わります。

ジュリアンはビジネス展開のために、ベルリンの有名デザイナーの他に、障がい者のための作業所モザイク – ベルリンと共に仕事をしています。今ではカプチーノ用カップも追加して生産されています。

(写真9 新発売のカプチーノ用カップ)

(写真9 新発売のカプチーノ用カップ)

(写真10 発売中の2種類のカップ)

(写真10 発売中の2種類のカップ)

ベルリンの20カ所のカフェやお店でカップを購入することができ、時にはこのカップで熱いコーヒーが提供されることもあります。また、カフェフォルムは早期に外国での販売代理店のネットワークを確立しました。今では日本でもこのコーヒーカップを買うことができます。これから先、さらに多くの製品が販売されると思いますので、「コーヒー抽出かす」が次は何に変身するのか、楽しみにしていましょう。

 

リンク:

https://www.kaffeeform.com/

 

 

 

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著者紹介

Torsten Hüren

トルステン・ヒューレン(Torsten Hüren)ドイツデザインと日本市場を専門とするプロダクトデザイナー。6歳で柔道を始め、日本に興味を持つ。2005年、愛知万博のドイツパビリオンでドイツ文化を紹介し、日本におけるドイツのイメージを身をもって体験。ベルリン及びポツダムでの大学在学中、独日青少年協会の交換留学プログラムに参加するなど日本を8回訪問。その成果である論文『日本市場におけるドイツデザイン』でディプロマを取得。ベルリンの国際的デザインフェスティバル『DESIGNMAI』(現在のDMYフェスティバルの前身)の共同企画者。その経歴から、ドイツの最新デザインシーンに詳しく、また新進気鋭のデザイナーと幅広い親交がある。現在は日本とドイツのデザインを専門としたアドバイザーおよびライターとして活躍。昨年、日本にドイツのプロダクトデザイン専門オンラインショップ、ヒューレン・ベルリン(www.hueren-berlin.jp)を開店。ドイツデザインのショウルームとして、また総合情報ポータルとして、日々最新事情を発信している。

Blog : http://www.hueren-berlin.jp/

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