ドイツ情報満載 - YOUNG GERMANY by ドイツ大使館

ちょっぴり悔しい!?

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ちょっぴり悔しい!?

はい、タイトル通りです(笑)

 

最近、本屋さんに行くたび、いわゆる「フランス本」の多さにびっくりします。

 

そしてちょっと悔しくなります(笑)

 

「フランス本」とは最近流行りの【フランスの生活習慣】や【暮らし】【恋愛】などについて書かれている本のことですね。

 

代表的なものに、ベストセラーとなった「フランス人は10着しか服を持たない」があります。

 

・・・何が悔しいかって、このタイトルは「フランス」だから成り立つという紛れもない事実。「フランス」だから素敵に聞こえるのですね。

 

仮に「フランス」を「ドイツ」に置き換えてみたとしましょう。

 

「ドイツ人は10着しか服を持たない」

 

・・・・笑。あまり「ステキ」というイメージはわかないですね(苦笑)

 

仮に「ドイツ人は10着しか服を持たない」という本があったとして。「やっぱりドイツ人だから節約をしているのかな」とか「もしかしたらケチなのかな」「古い服はリサイクルにでも出したのかな」などと思ってしまいそうです(笑)

 

「フランス」の4文字を入れただけで、ある種の素敵なイメージがついて回るのは、書き手(はしくれですが)としては、ちょっとうらやましいな、なんて思う次第。

 

この手の「フランス本」(ライフスタイルや恋愛に関する「フランス本」)には他にも「フランス女性は80歳でも恋をする」、「フランス人は年を取るほど美しい」などがあります。

 

ちなみに、後者の「年を取るほど美しい」に関しては、確かに、私から見ても、フランス人は年をとってもとらなくてもスレンダーな体型を保っている人が多いな、という印象。ワインとゆったりとした食事スタイルがそうさせるのでしょうか。見習えるところはありそうです。

 

では恋愛に関してはどうでしょう?「フランス女性は80歳でも恋をする」う~ん、恋愛に関してはドイツのおばあさんも負けてない気がしますけど!(笑)

 

・・・はい、張り合ったところで、そしてタイトルを「ドイツ人女性は80歳でも恋をする」としたところで全然ステキなイメージは持ってもらえないみたいなので、悔しいけれどやめておきます(笑)その代わりといってはなんですが、『男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のビックリ恋愛事情』(原作:サンドラ・ヘフェリン 漫画:流水りんこ)をご覧くださいませ。

 

さてさて「フランス本」に話を戻すと。生活習慣を題材にしたものに関しては「フランス人は10着しか服を持たない」と同様「アメリカ人から見たフランス人」という視点で書かれている「フランス人は子供に振り回されない」「フランスの子供は夜泣きをしない」というものから、「フランス人の部屋にはゴミ箱がない」、そして「フランス人はお菓子作りを失敗しない」(!)というタイトルのものまで幅広くあります。

 

個人的には「フランス人は1割しかお嫁に行かない」を見た時、そのタイトルに笑ってしまいました。「お嫁に行く」という極めて日本的ないい回しをフランス人に当てはめているところが面白いですね。同本ではフランスのPACS(事実婚)の進歩的な制度やそのほかステキな部分を紹介しながらも、「ゴミのポイ捨て」に代表される人間性の問題などフランスのシビアな部分にもキチンと触れていて現実的で良い本だなと思いました。

 

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・・・と結果的になぜだか「フランス本」の宣伝をしてしまっている私ですが、実は日本のみならず【ドイツ】に関しても昔からある種のフランス崇拝は存在するのでした。「フランス人は10着しか服を持たない」というような内容の本はあまり流行らないものの、そしてフランスとドイツの歴史を見ても両国のあいだには戦争がたびたび繰り広げられてきた過去があるものの、ドイツを含むヨーロッパではかねてより【知的さ】と【フランス語】が結び付けられて考えられていました。かつて、良家のお嬢様・お坊ちゃま(貴族)がフランス語を習っていたせいか、【フランス語ができるのはステキ】という空気というか雰囲気のようなものが今の時代もドイツには確かに存在するのでした。ところが残念ながら、それはドイツによる片思いの部分が強く、フランス国内において「ドイツ語ができるのがステキ」という話はあまり聞いたことがありません。歴史的なことも複雑に絡んでの結果なのでしょうが、まあなんだかんだで【フランス】の文化や言語は世界の多くの人々を【片思い】という形で魅了してきたのでした。

日本政府観光局の【世界各国、地域への外国人訪問者数ランキング】を見ても、観光客の多さについてフランスはドイツを抜いて堂々の【1位】です。そんなこんなで世界的に見てもフランスはいつの時代もブームであり、いわゆるフランスブームは日本だけの現象ではないのかもしれません。

 

ちなみに本のタイトルというものは、著者が本をまるまる一冊書き終えてから、発売直前に出版社の営業の人がつけることも多いのですが、「フランス人は●●をしない」とか「フランス人は●●をする」というタイトルがこんなにも多いということは、やはりそれだけ需要があるのですね。この【フランス人気】、ちょっぴり悔しいのだけれど。・・・ドイツというバックグラウンドを持った者としては悔しい!というお話でした(笑)

 

長いつぶやき(?)におつきあいくださり、ありがとうございます。次回はまたドイツ情報を発信いたします。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン