クラシック音楽と最新テクノロジーの未来を考える「カラヤン・ミュージック・テック・カンファレンス」とは?
どうも、wasabi( wasabi_nomadik)です。
今春より新しく、HOTなドイツのテクノロジー関連のニュースをお届けする連載「ドイツのテクノロジーNOW!」を担当させていただくことになりました。
私は普段ドイツ国内外をあちこち飛び回っているので、現地に住んでいる私だからこそお届けできる旬なテクノロジーネタや日常で見つけたドイツらしいテクノロジーについてみなさんにお届けできたらいいなと思っています!
早速第一弾は、先週ザルツブルクで開催されたクラシック音楽と最新テクノロジーの未来を考えるテック・カンファレンス、「Karajan Music Tech Conference」についてご紹介します。
カラヤン・ミュージック・テック・カンファレンスとは?
みなさんは、ヘルベルト・フォン・カラヤンという指揮者をご存知でしょうか?クラシック音楽が好きな方ならきっとご存知の方も多いはず。彼はベルリンフィルやウィーン国立歌劇場などの指揮監督を務めたこともある20世紀のクラシック音楽界における代表的な指揮者です。
今回カンファレンスが行われたオーストリア・ザルツブルクは彼の生まれ故郷であり、あのモーツァルトが生まれた場所でもあります。そんなクラシック音楽の聖地とも呼べるここザルツブルクで、「Eliette and Herbert von Karajan Institute」とザルツブルク・モーツァルテウム大学がHerbert von Karajanのイースター復活祭50周年を記念してコラボレーションを果たしたのが今回のイベントです。クラシック音楽と最新テクノロジーが融合した本イベント、一体どんな内容だったのか気になりますよね?
クラシック音楽と最新テクノロジーの未来を考える
カンファレンスはザルツブルク・モーツァルテウム大学のホールで行われ、会場はパネルディスカッションと展示ホールの2つに分かれていました。
パネルディスカッションでは「クラシック音楽とデジタル革命」、「音楽認知とビッグデータ」、「神経科学とAIの観点から音楽を理解する」、「VRと音楽体験」などのテーマでトークが繰り広げられました。
個人的に興味深かったのは「音楽認知とビッグデータ」に関するディスカッション。
人間と音楽の関わり合いは非常に直感的なもので、音楽は人の感情に直接作用します。それは一見理屈では語れない領域のようにも感じますが、この従来の人間と音楽の関わり合いに、ビッグデータが入るとどうなるのでしょうか?
ビッグデータを利用して、個人の音楽の好みをアルゴリズムで算出してその人に合った音楽を提案するアプリ「Pingtrax」を開発しているベルギーの会社Musimapは、まさにデータを使って音楽という目には見えない不思議な力を解体し、より良い音楽体験を提供しようと試みているそう。
すでにSpotifyなどの音楽配信サービスでもこのような「おすすめ機能」というのは利用できますが、Musimapは社会心理学、音楽学、語彙論など人間の技術と自動アルゴリズムが面白く組み合わさったテクノロジーによってより人間の感情に響く選定ができるのだそうで、こういう技術が洗練されていく将来、自分の音楽の聴き方がどう変わっていくのか想像するのはとても楽しいです。
ドイツ&オーストリアの音楽関連最新テクノロジーが集結!
展示コーナーではさまざまな会社が音楽関連のサービスや製品を展示しており、それらを実際に体験することができました。ゲヴァントハウスオーケストラで有名なライプツィヒ出身のスタートアップ「Klassik Underground」は、ライブハウスやクラブで若者が気軽に音楽を楽しむようにクラシック音楽を楽しんで欲しいという理念のもと、小さな地下のライブハウスでクラシックコンサートを開催し、映像制作をしている会社です。
Klassik Undergroundが制作したVRのクラシックコンサート動画を体験してみたのですが、とても不思議な感覚!
生のオーケストラを見るのとは全然違う感覚でしたが、また違ったタイプの臨場感がありました。
VRでコンサートが体験できると実際のコンサートのチケットが売れなくなってしまうのでは?と最初は思っていたのですが、どちらかというとVRで体験できるようになったことでクラシック音楽に興味を持つ入り口が増えて、結果としてコンサートに足を運ぶ人も増えるのではないか?と感じました。
実際私もこのイベントに来るまでクラシック音楽は自分とは遠い存在のように感じていましたが、VRでコンサートを体験したり、慣れ親しんだアプリなどの媒体からクラシック音楽に触れることによってより身近なものに感じて興味を持つことができました。
たとえば、クラシック音楽に特化した音楽配信サービスを提供するアプリ「Grammofy」は、クラシック音楽の従来のイメージとはまったく異なるポップでキャッチーなUIを売りにし、若者向けに自然にクラシック音楽を楽しめるように設計されています。
こんなふうにして、ドイツではクラシック音楽という伝統的な文化とテクノロジーが共存していく未来を垣間見ることができます。
今までクラシック音楽には縁がなかった私ですが、いろいろな人と話してクラシック音楽の魅力を熱く語ってもらった後は「せっかくドイツにいるのだからもっとクラシック音楽を楽しまなきゃ損だな〜」と思いましたよ!
テクノロジーによってその入り口が広く開かれることはとても良いことだなと感じますし、今回のイベントによって私なりに音楽との関わり合いを考える良い機会にもなりました。
今後もこんな感じでドイツの新旧交わる今をお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いします!
【 wasabi のプロフィール】
ドイツ・ライプツィヒを拠点に活動中のフリーランスのライター・翻訳家。ブログ「WSBI」ではフリーランス関連情報、ノマドなライフスタイルを発信中!