HOME/Culture/ドイツデザイン最新事情/Manufakturenstrasse – Direktorenhaus Berlin
ドイツデザイン最新事情

Manufakturenstrasse – Direktorenhaus Berlin

デザインファンの皆様、

 

新年の幕開けに、二本立てのような記事をお届けしましょう。「マニュファクチュア街道」と「ハンドメイド・オン・ツアー」を紹介しますが、実は、この2つのトピックはとても密接に関りあっています。

いずれもベルリンの「ディレクトーレンハウス(Direktorenhaus)」が手がけているたいへん興味深いプロジェクトです。「ディレクトーレンハウス(Direktorenhaus)」は、2010年にパスカル・ヨハンセン(Pascal Johanssen)とカチア・クライン(Katja Klein)によって創立され、応用美術、デザイン、建築と現代美術をコネクトする活動を展開しています。

パリおよびチューリヒのイラストレーティブ・ビエンナーレ (Illustrative Biennale) や、サンクトペテルブルグ、モスクワ、上海、モナコ、深セン市でのハンドメイド・ワールドツアー(Handmade Worldtour 来月の記事のテーマ)に出展してきました。アートマガジン「Objects. Journal of Applied Arts」も刊行し、今回の記事のテーマである「ドイツ・マニュファクチュア街道」プロジェクトの本部でもあります。「ドイツ・マニュファクチュア街道」とは、ドイツ全16州を通る4本の「街道」で、全長2500キロメートルのルート沿いに、300 軒以上の工房(マニュファクチュア)が名を連ねています。

以下、私の言葉で説明するよりも、ディレクトーレンハウスのプレス記事を引用しましょう。

「ドイツ・マニュファクチュア街道」は、ドイツの工場制手工業が担う重要な無形文化財としての役割を広く知らしめ、保護と振興を享受できるよう、働きかけるイニシアチブです。

手工業の製品は、人間の知恵と技によって生み出されるもので、発明の精神と伝統的な手工業の双方を体現し、アイデンティティーを表現しています。手工業の知識は世代を越えて伝承され、常に新しく形成されています。

ドイツに息づいている文化の表現形態としての手工業を維持してゆくために、「ドイツ・マニュファクチュア街道」プロジェクトが立ち上げられました。見どころの多いルート(街道)沿いに、主要な手工業の工房(マニュファクチュア)どうしのコネクションを築き、活発なネットワークを構築しています。

 

(画像1 選りすぐりの工房の所在地)

(画像1 選りすぐりの工房の所在地)

「ドイツ・マニュファクチュア街道」

→ 技術的にも美的にもクオリティーの高い「ものづくり」を重視し、今後も維持してゆくことを目指す工房の連携です。

→ 主要なドイツの工房をつなぐ、見どころが豊富なルート(街道)です。

→ 伝統的な手工業と、現代および未来の可能性を統合し、なおかつエコロジー、経済性、そして社会的サステナビリティーの観点からも責任あるものづくりを振興します。

→ 地域の文化多様性の維持をめざす活動を展開します。

→ 工房、店舗と顧客の交流を可能にし、クオリティーや製造法についての知識を提供します。

→ 非営利組織 (NPO) です。

 

(画像2 北西ルート)

(画像2 北西ルート)

 

(画像3 北東ルート)

(画像3 北東ルート

 

(画像4 南東ルート)

(画像4 南東ルート)

 

(画像5 南西ルート)

(画像5 南西ルート)

「ドイツ・マニュファクチュア街道」の工房は、実際に見て触れて、ディテイルにも愛情を注ぐ目線で選び抜かれた工房ばかりです。「マニュファクチュア街道」は、一人旅でも、グループ旅行でもめぐることができます。個人旅行なら、アプリやオンラインのポータルサイト、ローカル・マップなどが道案内に役立ちます。グループ旅行の場合は、ガイド付きのツアーです。工房のオーナーと直接、個人的に話ができるように、グループは少人数で組まれます。工房や見学可能なファクトリーは、古城や農場、港の穀物倉庫、あるいは大都市の一角の中庭にひっそりと立つかつての馬小屋などに設けられていますので、訪問先のみならず、旅の途上で目にする風景や町なども、きっと思い出に残ることでしょう。

旅にはおいしいものが欠かせませんから、「マニュファクチュア街道」のルートに、グルメ・マニュファクチュアが名を連ねているのは、偶然ではありません。きわめてクオリティーの高い、ローカルな特産品の生産者ばかり。素敵な旅は、数々の美食の楽しみが加わることで、さらにスケールアップします。三ツ星レストランや田舎風料理店。ワイナリー所有のワイン畑でテイスティングしたり、ジルト島の漁師の家で生ガキを堪能することもできます。「ドイツ・マニュファクチュア街道」の、食品生産者やレストランも、クオリティーと高級感を重んじる、少数の選りすぐりの業者だけが選定されています。

(画像7 グルメコーナー1 より)

(画像7 グルメコーナー1 より)

 

(画像9 ガラス、陶磁器、瀬戸物コーナーより)

(画像9 ガラス、陶磁器、瀬戸物コーナーより)

 

(画像9 ガラス、陶磁器、瀬戸物コーナーより)

(画像9 ガラス、陶磁器、瀬戸物コーナーより)

 

(画像10 家具コーナーより)

(画像10 家具コーナーより)

ウェブサイトはドイツ語のみですが、現在、英語版の作成が急ピッチで進められています。その他の言語も予定されています。

http://deutsche-manufakturenstrasse.de/

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

トルステン・ヒューレン

Torsten Hueren

 

Merken

Merken

著者紹介

Torsten Hüren

トルステン・ヒューレン(Torsten Hüren)ドイツデザインと日本市場を専門とするプロダクトデザイナー。6歳で柔道を始め、日本に興味を持つ。2005年、愛知万博のドイツパビリオンでドイツ文化を紹介し、日本におけるドイツのイメージを身をもって体験。ベルリン及びポツダムでの大学在学中、独日青少年協会の交換留学プログラムに参加するなど日本を8回訪問。その成果である論文『日本市場におけるドイツデザイン』でディプロマを取得。ベルリンの国際的デザインフェスティバル『DESIGNMAI』(現在のDMYフェスティバルの前身)の共同企画者。その経歴から、ドイツの最新デザインシーンに詳しく、また新進気鋭のデザイナーと幅広い親交がある。現在は日本とドイツのデザインを専門としたアドバイザーおよびライターとして活躍。昨年、日本にドイツのプロダクトデザイン専門オンラインショップ、ヒューレン・ベルリン(www.hueren-berlin.jp)を開店。ドイツデザインのショウルームとして、また総合情報ポータルとして、日々最新事情を発信している。

Blog : http://www.hueren-berlin.jp/

Category カテゴリ

Archive アーカイブ

Mail Magazine

ドイツの最新情報を配信!

メールマガジンに登録