Formes Berlin
デザインファンの皆様、
今回の記事では、ドイツフェスティバルで好評を博したある製品についてぜひ記述して欲しいというお客様のご要望にお応えしたいと思います。読者の皆様にもぜひ気に入っていただけることを期待しつつ、ベルリン・クロイツベルク地区に工房を構える formes-berlin 社のポストカードをご紹介しましょう。
特に好評を博したのは、まだ創立して間もない当社の製品、ヒマラヤスギを使った3D ポストカードです。このカードが特別なのは、貴重な素材が使われているからではなく、受取人が(あるいは購入者自身が)指で押し出して簡単にモチーフをくり抜き、3D カードに形を変えることができるからです。こうして、カードそのものや差出人にまつわる思い出を、長いあいだとっておくことができるのです。今、とても人気があるのは、心を込めて製作されているクリスマスカードです。これは大部分がクリスマスツリーのオーナメントとしても使えるようになっています。
当社が創立された経緯も、この製品同様にとても興味深いものです。2人の創業者、ニックとヘンリーケに、ベルリンの工房であらためてお話をうかがいました。
ニックはプロダクトデザインを、ヘンリーケはグラフィックデザインをそれぞれポツダム単科大学で学びました。ニックが在学中にアルバイトしていた企業は、建築模型も受注していました。そこではレーザーカットの技法が使われていましたが、その技法がもつ可能性にニックは魅了されました。
もともと自然素材、リサイクル素材、サステナブルな素材などが好きだったニックは、木材を使うことにしました。リサーチやテストを重ねた結果、しなやかで割れにくいヒマラヤスギを選びました。
3D ポストカードの着想を得たニックは、まず製造業者を探しましたが、非常に高額な製造コストがかかることが判明しました。夢の実現のためにはさらなる試行錯誤が必要でした。結局、カードを自ら製造するより他に方法はありませんでした。
ニックはポツダム単科大学在学中に、まず手始めに大学のプログラミング講座で学び、レーザーカット工法のプログラミングを始めました。
2009 年に古いレーザープロッターを購入し、電気部品をすべて取出して、自作のプログラムと新しいレーザーを組み込みました。プログラミングを手がけ、カスタマイズしたこの機械が、現在に至るまでオフィスや工房でポストカードの製造に使われています。
手作りのレーザーカッターは、約一年後、十分に機能するようになり、カードの製造が始まりました。試しにマーケットで販売してみると、あっという間に売り切れました。
これをきっかけに、本格的な製造が始まりました。その頃、プライベートでもビジネスでもニックのパートナーとなったヘンリーケが加わりました。いくつかの模型を携えて、ヘンリーケは3ヶ月にわたってドイツ、オーストリア、スイスのショップを巡り、製品を紹介しながら取引先を募りました。知人や親戚、知人の知人などに泊めてもらいながら続けた旅でした。
このPR ツアーは功を奏しました。製造ボリュームは増え続け、新たな3D モチーフがラインアップに加わり、新規注文も増えました。
現在では常にフル稼働。すでに二台目の印刷機も導入し、2013年にはより大きなオフィスと工房に移転しました。移転先の「オラーニエン・ホーフ」には、新しく若い様々なカンパニーが集結しています。
新オフィスを構えてから3 年が経過し、バリエーションが豊かになると同時に、ポストカードの需要も高まっています。現在、formes-Berlin 社は世界中にポストカードを出荷しています。カードの買い手もそれぞれ、各地にお祝いや挨拶のメッセージを送ります。そして、受け取り手は、グリーティングカードをもらうだけにとどまらず、ちょっとしたクラフトの楽しみを味わい、カードと送り主への思いをずっと取っておくことができるのです。