通訳の秘密兵器
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ドイツ総領事館に居候しているリョウちゃんから久しぶりにメールが届いたよ♪
今日の話題は・・・=^_^=
大使館・総領事館の仕事は色々 ― ドイツに行く人のビザやドイツ人のパスポート、婚姻・出産届けなどの「お役所仕事」から、政治家の訪日時のアテンド、日本の最新動向の分析、市民レベルでの日独交流のお手伝い、そして皆さんにドイツを知ってもらうための情報発信(←とっても大事=^_^=) ― で、それぞれに担当職員がいるんだけど、そこでしっかり業務を支えているのが、縁の下の力持ちとも言うべき語学の達人「通訳」さん。
通訳さんたちは、いろんな場面で大活躍。
よく目にするのは、式典での挨拶や会議で、後ろの方で目立たないように通訳をしている姿だけど、それ以外にも様々な文書の翻訳や、事前準備に大忙し。
通訳さんたちの語学力が素晴らしいのは当然だけど、でもバイリンガルの人がすぐに通訳できないってのはよく聞く話。
じゃ、通訳さんとバイリンガルさんの違いはなんだろう・・・っていつも不思議に思ってる人も多いんじゃないかニャ?
そこで、通訳部長のオステンさんが職員向けに通訳講座をするというので、ちょっと潜入=^_^=
今回の講座のテーマは「ノートテイキング」。
テレビで、通訳の人が小さいノートにメモを取っている姿をよく見るけど、これは別に速記してる訳じゃなくて、話している内容のエッセンスを書いてるんだって。
通訳の作業として、話の内容をじっくりと聞きながら、その内容を分析しつつ、必要な内容をぎゅっと凝縮してノートに取り、ノートを見ながら訳して話すっていう一連の作業が通訳なんだけど、このうちの「内容を分析しつつ、必要な内容をぎゅっと凝縮してノートに取る」のが「ノートテイキング」。
この作業は一語一句を書いていく速記とは全然違って、「分析・訳」という作業も入るから大変!
日本語の話を聞いて、必要なことをノートして、日本語で再現するだけでも大変なのに、それを「分析・訳」するなんて・・・=T_T=
って思ってたら、秘密兵器「ノートテイキング」がやっぱりあったんだ!
ノートテイキングでは、語句を記号や略語やシンボルに置き換えつつ、その配置で文の構造を表現しながら、内容をノートしていくんだ。
例えば、Freundschaft(友情・親善)は「友」、ich bedanke mich.(感謝します)は「xie(中国語の『謝』の音)」や「dank」、Ich freue mich.(うれしく思います)は「☺」、強調する言葉には下線を引く・・・
「Ich freue mich sehr hier zu sein und bedanke mich für Ihre Freundschaft.(この場にいることを非常にうれしく思い、また皆さまの友情に感謝いたします)」は、
☺ hier
+ xie 友
になるんだニャン!
この記号やシンボルの中でもよく使うものは決まりがあるけど、通訳さん自身のオリジナルなものもあるし、聞いた言語で書くのか、それとも訳す言語でノートしていくのかは特に決まりはないんだって。
そして、このノートテイキングの技術を頭で理解しても、習得するのに必要なのは「練習あるのみ!」
自分のスタイルを確立するには数年かかるし、日々使い続けないといけないんだ。
だから、「バイリンガルの人や両方の言葉に精通している人=通訳」じゃない理由もここにあるんだ。
そして、このノートのスゴイところは、これを見れば誰が何を言ったのかが一目瞭然なこと。
例えば首脳会談などで、首脳と通訳さんしかいない場でもそのときの会談の内容はこのノートに残るので、通訳さんは次の日に内容を聞かれても、ちゃんと確認できるんだって!
通訳さんは「2つの脳(それぞれの言語の脳)」を持つっていうけど、その橋渡しをするのが「ノートテイキング」なんだニャン=^_^=
(20. Juli 2016)
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