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大学在学中にベルリンでインターン 草野美木さん

ベルリンでインターンを経験した草野さん

大学在学中にベルリンでインターン 草野美木さん

大学在学中に、ドイツでインターン。

「そんなのハードル高すぎ!」と思いますか?

日本の大学に通う草野さんは、昨年ベルリンのスタートアップで3ヵ月間のインターンを経験。

そこで得たのは仕事のスキルだけでなく、ドイツ流ワークスタイルやライフスタイルなど、現地で暮らさなければわからない視点でした。

ベルリンでのインターン、いったいどのような内容だったのでしょうか。



■ネットが身近な子ども時代

草野さんは現在大学4年生。卒業後はIT分野で働くことを目指して、日本で就職活動のまっただなかです。

子どもの頃からインターネットが大好きだった草野さんは、小学校高学年のときには既に自分のブログを始め、そこで知り合った人とネット上で交流をしていたのだとか。

高校生在学中には、将来の働き方を考えたくて、自発的に企業にアポイントメントを取って会社を訪問。
私が高校生だったときには、自分から会社訪問をしようとは、想像すらしませんでした。すごい行動力だと思います。

そんなふうに、早くから自分の将来像を考えていた草野さん。日本ではインターンを経験したので、海外でも挑戦してみたかったそうです。

そんなときにベルリン在住の日本人女性と東京で出会い、草野さんの中でベルリンが選択肢として上がるように。ベルリンのスタートアップとのコラボを図るBistreamという会社も知っていたことから、ベルリンでのインターンが一気に現実的なものになりました。

■ベルリンのスタートアップでインターン

ベルリンでは4〜5年ほど前から、スタートアップが続々誕生しています。インターナショナルなIT系が多く、第2のシリコンバレーになるのでは、とも言われています。
Bistreamはこうしたスタートアップを支援し、現地で活動できる場を日本に紹介しています。

昨年草野さんはそのBistreamを通して、ベルリンのスタートアップで3ヵ月間のインターンを経験。職場のチームは、草野さんとオーストラリア人女性以外はドイツ人でしたが、仕事上での会話はすべて英語でした。

草野さんは高校時代にカナダに1年間留学した経験があり、英語はそこで身に付けていましたが、やはり現場で働く前は不安もあったそうです。
インターンが決まってからは、ドイツへ渡る前にスタッフとスカイプを使って英語でミーティングを行い、感覚をつかみました。

「実際に現地で働き始めたら、ドイツ人の英語はわかりやすかったです。考えてみれば、ドイツ人にとってみても英語は外国語なのですから、働きやすかったですね。口頭で伝わりにくいときは、チャットでコミュニケーションしたりもしました」

草野さんがインターンをしたスタートアップは、カメラの手ブレをを防止するハードウェアを開発する会社。クラウドファンディングで資金を募り、プロダクトを作っていました。
そこで草野さんは、プレスリリースの日英翻訳をしたり、PR動画制作サポートも行っていました。

スタートアップのチームで、草野さんは唯一の日本人だった

スタートアップのチームで、草野さんは唯一の日本人だった



■ドイツ人の効率的な働き方を学ぶ

インターンを通じて印象的だったのは、「ドイツ人の合理的でフレキシブルな働き方」だった、と草野さん。
「オン・オフがはっきり区別されていて、仕事を家に持ち帰ることはありませんでした。仕事中は集中するので、息抜きに仕事と関係のないネットサーフィンをやることもなかったですね」と話します。

仕事の進め方も整然としていたそうです。同僚のデスクの上には、案件ごとに分類された書類の山がいくつかあり、それをひとつずつ終わらせて、すべて片付いたらその日は帰る。毎日そういう繰り返しだったそうです。

出社時間は、スタッフそれぞれの進捗状況によって、みんなバラバラ。忙しいときは早くから出社したり、「今日はプールに行くから早く帰ります」「雨なので今日は在宅勤務にします」など、自由度が高かったとか。
草野さんも自分のペースで勤務時間を調整していました。

「ドイツでは仕事の成果が大切です。夜遅くまでがんばって働いても、評価にはつながりません」

自分のペースでフレキシブルに進めながらも、集中して働いて成果を出す。そんなドイツのワークスタイルが、とてもよかったそうです。

■暮らしやすかったベルリン

働き方だけでなく、ベルリンの暮らしも気に入ったとか。
「自転車専用レーンがあるから自転車通勤が快適ですし、みんなスポーツをやったりして、健康的な印象でした」

食事面では、以前はドイツ料理というと肉料理のイメージが強かったそうですが、実際に住んでみて、ドイツの典型的なライ麦パンのおいしさとヘルシーさを知ったそうです。

ベルリンは緑が多いですし、東京に比べて人口が少ないですから、極端な通勤ラッシュもありません。自転車で通勤すれば、スポーツやリフレッシュ効果もあります。
メリハリのあるワークスタイル、緑の多い環境、シンプルでも食材本来の味がする食事は、ベルリンだけでなくドイツ全体に言えることではないかと思います。

チームで訪れた、ベルリンのクリスマスマーケット

チームで訪れた、ベルリンのクリスマスマーケット



■留学? それともインターン?

何となく「海外に行きたいなあ」と考えている人は多いのではないかと思います。でも具体的にどうすればいいのか、迷うのではないでしょうか。

草野さんのアドバイスは明確です。
「具体的に勉強したいことがあるなら留学。現地での生活を体験したいのなら、インターンがおすすめです」

インターンなら、働くことを通じて多くのことを学べます。そこで得た経験は、今後どこで生活することになってもきっと生かされるはず。

就職活動中の草野さんは、IT分野でグローバルに働くことが夢。将来は海外で働くことも視野に入れているそうです。インターン経験によって、夢への実現にまた一歩近づいたところです。

文中写真/草野美木
文/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)など。近著に『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)。http://www.kubomaga.com/

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

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久保田 由希