映画祭リポート! グルメに映画祭を味わっちゃおう&桃井さん助演作、受賞!
ベルリン映画祭も終わってしまいました……
まっ白な灰に燃え尽きてしまった(?)河内です。
土曜日には様々な賞の受賞者も発表されました。
金熊賞(コンペティション部門から選ばれる、グランプリ作品)にはジャンフランコ・ロッシ監督の難民をテーマとしたドキュメンタリー「Fuocoammare(Fire at Sea)」が選ばれました。
まさに今年の映画祭、いまのドイツを反映した受賞だったと思います。
残念ながら日本映画の受賞はなかったのですが、
桃井かおりさんが助演した、東日本大震災後の福島を舞台にしたドイツ映画「フクシマ・モナムール」(ドリス・デリエ監督)は国際アートシアター連名賞、ハイナー・カーロウ賞を受賞したほか、パノラマ部門の観客賞2位を受賞しました。もちろん映画に対しての賞ではありますが、観客賞は福島の、そして全ての被災者の方への励ましの一票ではないかなと思いました。
さてさて。
ベルリン映画祭の楽しみは映画を見るだけではありません。
今年10回目の開催となる、「グルメ映画部門(kulinarisches Kino)」では、食や農業をテーマとする映画の上映&映画からインスピレーションを受けた料理が頂けます♪
「Berlinale goes Kiez」では、映画祭メイン会場のポツダム広場を離れ市内に点在するミニシアターが上映場所となるので、気になる単館系の映画館の発掘もできちゃいます。
どちらも毎年すぐチケットが売り切れてしまうほどの大人気!
今年は、気になっていたヴェディング地区の映画館がグルメ映画部門会場となると聞いて、さっそく覗きに行ってみました。
色ガラスの天井が渋かわいい〜!
当時西ベルリンのフランス占領地だったヴェディング地区。このCitykino Weddingは、フランス・カルチャーセンターの劇場映画館として1960年にオープンしました。
なんとここ、内装は60年代初頭のままなんです!
昨年からオーナーが代わり、アートハウス系、マニアックな上映ラインナップに。ヴェディング在住の人はもちろん、市内外からの来場者も多いのです。
オーナーのヴィプケさんとアネさんと一緒に、今日の上映映画監督の一人、デトレフ・ブックも「ベルリナーレ・ベアー」熊のポーズ!
映画鑑賞の後は、監督を交えてのQ&A、そしておまちかねのディナー!
映画館に隣接するフレンチビストロでの3皿コースです。グルメ映画部門では毎年ミシュランの星付きシェフが料理を担当し、ポツダム広場近くの特設テント内で開催され、映画のチケット込みで95ユーロ(!)もするんですが、ここは40ユーロ。
また、今年もメイン会場近くにカフェやチーズ・シュペッツェレなどのフードトラックが出たのですが、そのうちの1つはベルリンの難民サポート団体「Über Tellerrand kochen」のもの。
難民の人たちと一緒に料理を通じてお互いの文化を知り、仲良くなろう!と料理教室を開催するこの団体。このフードトラックでも難民の人たちが料理を作ってくれました。
いまのドイツ世界が抱える問題を提起しながらも、あくまでも楽しく、そして美味しく。ベルリン映画祭は続いていきます!
河内秀子(かわちひでこ)
東京都出身。2000年からベルリン在住。
ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』