妊婦さんは読んじゃダメ!
これまでの積読を反省し、手元にある本を片っ端から読もうと決意!
先月の『幽霊ピアニスト事件』の次に選んだのが、シャルロッテ・リンクさん作、浅井晶子さん訳の『沈黙の果て』上・下巻(東京創元社)。
そしてボクにとってはかなりの短期間で読了。
意識して速く読んだのではなく、自然にスピードが増し、もう次が気になりお風呂に浸かりながら読んだことも!
今回もドイツミステリ。
といっても舞台の中心はイギリス。
では、なぜドイツミステリかというと、作家のリンクさんがフランクフルト出身だから。
実はこんな説明をするのは野暮で、リンクさんといえば下巻最後の訳者あとがきに浅井さんが記すように「ドイツでは知らない者がいない、超のつく人気作家」なんだって。
なるほど!
ドイツの読者もボクと同じくらい惹きつけられたんだ、きっと!
ドイツ語のタイトル “Am Ende des Schweigens“ はEndeが「終わり」でSchweigensが「沈黙」。
物語はいきなりその「沈黙」から始まる。
それはこの上なく重苦しい、恐怖の沈黙・・・
あんまり詳しく書くとネタバレしちゃうから書きたいけど書けない・・・けどちょっとだけ。
冒頭の沈黙は凄惨な殺人、それも複数の人間が殺された直後の現場の描写で、最初は誰が登場してるのかわからない。
どうやら「彼女」と表記されてるのでおそらく「登場人物紹介」の中の誰かだろう。
そして最初の死体を発見したその「彼女」は少なくともパトリツィアではなかった・・・
その後、章を追うごとに経緯や登場人物についての説明がまるで覗き見でもしているかの様に(これでもかというくらい)細かく描写され滔々と続いていく。
そして重要人物それぞれの過去にグイッと深く迫り、殺人事件の動機の深層を抉り出していく。
倒置法の様に結果をボーンと出して、複数の人物の過去や生活を明かしながらじわじわっと話を繋げて謎解きしていく手法で、もちろん一番の関心は「誰が犯人なのか?!」だけど、殺人に至った動機にも更に関心が。
嗚呼、何度無実の登場人物を疑ったことか。
そんな読者をも巻き込んでいくこのドイツミステリ。
最後の最後までスリリングな場面が続き手に汗握るとはまさにこのこと!
みなさんもぜひ!と言いたいところだけど、「ある」表現がボクにはちょっと抵抗を感じたから、妊婦さんにはオススメできないかも・・・=^_^;=
(11. Februar 2016)
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