ユースサミットで日独交流!
こんにちは。ベルリン在住ライターの久保田由希です。
今回はいつもと少し趣向を変えて、8月29日にベルリン日独センターで開かれた、「ハロードイツ・ユースサミット2015」の発表会の様子をレポートしたいと思います。
もともと私がこの「ドイツで羽ばたく日本人」というコーナーを始めた理由の一つは、日本の若い人にドイツをもっと身近に感じてほしいと思ったからです。
たとえば、日本からドイツにいきなり移住するのは、きっと勇気がいるでしょうし、いろいろな理由から、それができない人もいると思います。
でも、移住や留学だけが、ドイツに触れる方法ではないと私は思います。大切なのは、興味を持つこと。どの国にいても、ドイツや世界に興味を持って、今いる自分の環境でできることに取り組むことが、とても重要だと思います。それがいつか、留学や移住につながるかもしれません。
このユースサミットは、ドイツとつながる一つの方法です。日独がもっと近づけることを願って、今回はこのユースサミットをご紹介します。
■独日青少年協会によるユースサミット
このプログラムは、ベルリンを拠点に非営利団体として活動している、独日青少年協会(DJJG)が主催しています。毎年ドイツと日本の交互で開催されており、9回目を迎えた2015年は、ドイツで8月20日〜30日に開かれました。
ユースサミットの内容は、日独両国の若者が5つのグループに分かれ、それぞれ掲げたテーマにしたがってグループワークを行うというものです。
デュッセルドルフからハノーファー、ヴォルフスブルクへと移動を続けながら活動し、最後はベルリン。各地で企業や施設を訪問、専門家にインタビューをし、その成果を発表する場として、29日に発表会が開かれました。
■時代に合ったテーマでグループワーク
各グループの人数は10名程度。メンバーはドイツ人と日本人。どのグループにも2名のグループリーダーがおり、リーダーを中心に活動を進めます。
今年の各グループのテーマは、次の5つです。
「政治‐世界におけるドイツと日本の役割」
「教育‐卒業証明書=就職保証?」
「文化‐ドイツと日本の食文化」
「環境‐ドイツと日本の再生可能エネルギー」
「社会‐ドイツと日本におけるメディアの変化」
どれも、とっても面白そうじゃないですか?
29日の発表会では、各グループが活動してまとめた内容を、図表を用いてメンバー全員が発表しました。
メンバーは日本学を学んでいるドイツ人や、ドイツに興味のある日本人ですから、発表はドイツ語か日本語。スクリーンに映し出される資料も2カ国語です。座席にはヘッドホンが用意されており、同時通訳を聞くこともできます。
私はすべての発表を聞いていて、まずテーマの選択がいいと思いました。どれも当事者意識の持てる、時代に合った内容ではないでしょうか。
特に私の職業柄、「社会‐ドイツと日本におけるメディアの変化」は、身につまされました。インターネットの無料コンテンツが広がる状況下で、新聞や雑誌などの紙媒体が縮小し、危機的状況に陥るのでは、というテーマです。グループメンバーは、ドイツの新聞や雑誌編集部を訪れ、インターネットと紙媒体の関係を調査していました。個人的に、とっても参考になりました。
発表会の様子は、インターネットで生中継されました。現在もYou Tubeで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=MZ9iOF_YgHw
■来年は日本で開催
お互いの国について勉強しているメンバーとはいえ、誰もが相手の国の言葉をペラペラに話せるわけではありません。グループワークの過程では、思うように話せなかったり、お互いがわかり合えないシーンも多々あったことでしょう。
それでも1週間以上ともに過ごすことで、相手の考え方、行動の仕方について、きっと理解が深まったのではないかと思います。それこそがまさに、このプログラムの目的ではないかな? と思います。
期間中は、カラオケやバーベキュー大会もあったそうです。
こうした経験を通して、外国が身近になったり、広い視野を持った若い人が増えることが、日本とドイツ、そして世界にとって大きなプラスになることは間違いありません。そうした人が、これからも増え続けていってほしいと願っています。
このユースサミットは、来年(2016年)は8月26日〜9月4日に東京で開催される予定です。興味のある方は、独日青少年協会に問い合わせてみてください。
独日青少年協会HP: http://djjg.org/ja/
文・写真/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)など。近著に『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)。http://www.kubomaga.com/