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DMY2015 ベルリン国際デザインフェスティバル

DMY2015 ベルリン国際デザインフェスティバル

6月の第3週に、第13回目となる「国際デザインフェスティバル(DMY)」がベルリンで開催されました。今年のモットーは「バック・トゥ―ザ・フューチャー」でした。

このイベントの理念は、若いデザイナーや才能ある新しい人材のために、重要なプラットフォームを作ることです。このため、多くの大学からデザイン関係の学科が参加していました。その中には、欧州各国の著名な大学も含まれていました。もちろん、有名ブランドやデザイナーも、フェスティバルに参加しました。

 

Stühle   Stand HTW Berlin HTW Stand

フェスティバルに並行して、講演会やインタビューなど、専門家のための様々な催しがありました。その中のワークショップでは、参加者も実際に作品を作ることができ、ウタ・コロツェクや、デザイナーのミリヤ・ザイペルなどの手ほどきで、器を制作しました。

Milia Seyppek Porzellan Design

workshop    workshop II
今回の会場も、スペクタクルな雰囲気の場所でした。東ベルリンの旧火力発電所だった建物は、70年前に建設されたものです。長い間空き家状態でしたが、2006年にテクノ音楽のクラブがオープンしました。大規模な改修、改築工事が行われ、現在この個性ある場所は、イベントや展覧会に利用されています。

Heizkraftwerk Mitte     Kraftwer II

特に気に入った、ハイライトとなる作品を紹介します:

ハンブルク芸術大学の学生、バスチアン・アウスターマンによる斧の作品は、『スプリッティング・ウッド』というタイトルです。一見するとありふれた斧のようですが、よく見ると全体が木で作られています。作者は、木という素材と取り組んでいるうち、非常に固いユソウボク材を使って斧を作り、斧のように研磨することを思いつきました。クラスメートは最初笑っていましたが、実際に使ってみると、完璧に斧として機能しました。

Splitting Wood Bastian Austermann         Splitting Wood II

またサムリ・へラボは、将来どうやったら人類に十分な食糧を供給できるのか、そしてその時、デザインには何ができるのか、という命題と取り組み、『PUPA』というものを開発しました。PUPAは陶器製の容器で、その中でミールワーム(甲虫の幼虫)を養殖することができます。そのコンセプトは、容器デザインが良い印象を与えることで、食糧として利用可能なのに、ほとんど知られていないこの虫のイメージを、良いものに変える、というものです。ミールワームはタンパク質が豊富で、将来の栄養源として重要視されています。

Samuli Helavo PUPA     DSCF8799

この容器は蓋を90度回せば空気が遮断されるので、他の一般的な用途にも使用できます。

料理のデモンストレーションには大きな関心が集まりましたが、試食となると、皆ちょっと勇気が足りない様子でした。

Samuli Helavo cooking live       tasting insects

『Local Artifacts』は、デジタル製造技術と、場所によって異なる素材の関係をテーマにしました。工業用ロボットを使って樹脂を砂の中に射出するもので、技術的には3Dプリンタと似ています。砂は場所によって組成が異なり、例えば、海辺の砂は貝殻を多く含んでいます。このため出来上がったものは、使用した砂の組成に応じて、異なった外観になります。展示されていたのは、様々な大きさや形のボウルでした。

Samuli Helavo cooking    Schalen Local Artifacts

『Daily Expeller』というタイトルの、未来的で美しい作品は、台湾の台南からの出展で、毎日自宅で新鮮なオイルをしぼれる搾油機です。これは高品質な食品を作ることを目的とするもので、工業的に大量生産される製品の対極にあります。

Daily Expeller

今年も多くの新しいアイデアが展示され、今回もまた、見て楽しいフェスティバルでした。ご紹介したのは、その中のほんの一部です。もっと見たい人にはホームページDMYをお勧めします。

もう少し、会場内の印象を紹介します。

saraheiselt   University Copenhagen

 Glasbläßer Am Stand von Balvenie   DSCF8856

1500newtableware   WEN-HSIN

new testile   DSCF8866

 

Felix Sandberg

シュトゥットガルト近郊の田舎町育ち。15歳のときヴィジュアル表現の形として写真に目覚める。その後すぐに家具を初めて手作りする。大学時代をイエナで過ごし、その間にミュンヘン・ニューヨークなどにも立ち寄る。ミュンヘンでは特に建築に、そしてニューヨークでは日々デザインに没頭し、物の美しさへの情熱と美的感覚を養う。 その定義づけに関わらず、物の見た目・形そのものに興味があり、建築でも家具でも家電でも、外見こそが重要。その姿かたちから良い感覚が自分の中に沸いたとき、初めてそれが私にとってデザインとなり得る。 経営学を学んだ後、繊維業界でインターンおよび勤務経験あり。繊維商社では仕入れ・および販売部にて従事。今年の初めからは自らの情熱にすべてをささげている。

Felix Sandberg