ベルリン自転車展
3月にはいって3回目の週末、第6回ベルリン自転車展が開催されました。自転車をテーマにした、一般公開の見本市です。プロ仕様のレース用自転車から、ゆったり走れるシティ・サイクル、そして愛好家にとっては宝物のようなハンドメイドの一点モノまで、展示品は多岐にわたり、どんなニーズもかなえてくれます。このほか、様々なウェアやアクセサリーも展示され、いろいろなイベントも開催されました。
開催場所は、以前は駅だった「Station Berlin」 で、ここは今、主に大規模イベントに使用されています。
私は最初、自転車フリークやスポーツフリークを対象にした展示会だと思っていたのですが、夏ベルリンで乗る、ちょっとスピードの出るバイクを探していたので、のぞいてみることにしました。
すぐに気付いたのは、ターゲット層に関する私の想像が完全に間違っていたということです。来場者は多種多様で、セルヴィッジ・デニムやおしゃれな眼鏡などトレンドをおさえた格好のいかにもベルリンという感じの人々が多くいます。出展ブースもおしゃれなものが多く、木材を使っているものが目立ちました。DJが音楽をかけているところもあり、会場は、五感全てで楽しめました。どの製品ジャンルにも、美しいデザインの製品がありました。
今の大きなトレンドは、50年代から90年代のオリジナルのまま手を加えていないヴィンテージやリプロダクションで、その多くはレース用自転車です。珍しいコレクター向けのものは、価格が数千ユーロになることもあります。
ヴィンテージ自転車のトレンドを背景に、レトロなデザインで新しい自転車を作ることに特化したメーカーも数多くでてきています。多くが、木製ハンドルや、おしゃれなベル、革製ドリンクホルダーなど、ディテールに凝っています。
2つの出展企業が、自分で作る竹製自転車のキットを展示していました。最初はきっと「自転車オタク」のアイデアだった変わった素材が、商品化されたのでしょう。
「美しさ」を一番感じさせてくれたのは、小さなメーカーのブースにあった製品です。大半がハンドメイドで、一点物であったり、ごく限られた数しか製造されていなかったりする自転車です。
自転車用のファッションやアクセサリーも重要です。例えば、一見するとスポーティーな革靴に見えるサイクリングシューズは、履いた状態ではサイクリングシューズだとは判りません。オンとオフを両方楽しむ都会人に、ぴったりです。
街でふつうにおしゃれに着られて、同時に運転時の安全に配慮したウェアもとても人気があります。例えば、裾の裏にリフレクターがついているジーンズもその一つです。リフレクターは、裾をすこし折り曲げると、初めて姿を現します。
また別のメーカーでは、背中のタックの中にリフレクターが隠されたジャケットを出していました。普通の姿勢ではリフレクターは見えませんが、自転車に乗って前傾姿勢をとると、見えるようになっています。
展示以外にも、トラックレース、サイクルポロの試合、BMXのための障害物コースなど、様々なイベントがありました。
自転車や自転車関連商品は、都会人のライフスタイルに欠かせないアクセサリーとなっています。メーカー側は、優れたデザインの自転車や、デザイン性と機能性を組み合わせたサイクリングウェアで、新しい消費者の関心を喚起することができました。この戦略で私もすっかり良さに納得しました。今回は、自分が買いたい自転車を見つけることはできませんでしたが、この見本市で色々なものを見てますます欲しくなりました。引き続き探しますし、また次回の見本市にもきっと来ると思います。